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1-7【FP3級】日本の年金制度の全体像
日本の公的年金制度は、老後の最低限の生活を保障するために設計されています。その仕組みは「2階建て構造」と呼ばれ、全員が共通で加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2層で成り立っています。ここでは、FP3級試験でも頻出のポイントを解説します。
1. 2階建て構造とは?
日本の年金制度は、以下の2つの層に分かれています。
1-1. 1階部分:国民年金(基礎年金)
• 対象者:日本国内に住所を持つ20歳以上60歳未満の全員が加入(自営業者、会社員、公務員、専業主婦も含む)。
• 目的:全ての人に老後の最低限の生活を保障するための年金。
• 保険料:定額(2024年度は月額16,520円)。
FP3級試験で問われるポイント
• 国民年金に加入する義務がある年齢範囲(20歳~60歳)。
• 保険料の金額や免除制度(学生納付特例制度や全額免除制度など)。
• 老齢基礎年金の受給資格:保険料を10年以上納付していること。
1-2. 2階部分:厚生年金
• 対象者:会社員や公務員が加入(給与所得者が対象)。
• 目的:基礎年金に上乗せして、所得に応じた年金を保障するための制度。
• 保険料:報酬比例(給与やボーナスに応じた額を本人と事業主で半額ずつ負担)。
• 給付内容:老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金など。
FP3級試験で問われるポイント
• 厚生年金の加入対象者(原則として、法人事業所や一定の個人事業所で働く人)。
• 老齢厚生年金の給付額は、報酬や加入期間に応じて計算される。
2. 公的年金の目的
日本の公的年金は、老後の最低限の生活を支えるために設計されています。試験では「公的年金の意義」についても出題されることがあります。
2-1. 最低限の生活保障
国民年金(基礎年金)は、全員が平等に受給できる金額を支給することで、老後の最低限の生活を保障します。
• 老齢基礎年金の受給額(2024年度)
年額:約78万円(月額:約65,000円)。
※受給額は保険料の納付期間に応じて調整されます。
FP3級試験で問われるポイント
• 老齢基礎年金の受給資格と金額の計算方法(満額を受け取るには480か月の納付が必要)。
2-2. 所得に応じた年金給付
厚生年金は、報酬比例の仕組みによって、現役時代の収入に応じた給付を受け取ることができます。これにより、働いている間の生活水準をある程度維持できるように設計されています。
• 老齢厚生年金の計算式(報酬比例部分)
報酬月額 × 給付乗率 × 加入期間
FP3級試験で問われるポイント
• 報酬比例部分の計算方法。
• 厚生年金が上乗せされることで、国民年金よりも給付額が多くなる仕組み。
3. 年金制度の補足ポイント
FP3級では、公的年金制度についてさらに深掘りした内容が出題されることがあります。以下の補足ポイントも押さえておきましょう。
3-1. 第1号被保険者、2号被保険者、3号被保険者の違い
1. 第1号被保険者:自営業者、農業従事者、学生など。
2. 第2号被保険者:厚生年金に加入している会社員や公務員。
3. 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦など)。
FP3級試験で問われるポイント
• 各被保険者の違いと加入する年金制度。
3-2. 公的年金制度の財源
• 国民年金:主に加入者の保険料と国庫負担金(税金)。
• 厚生年金:加入者と事業主が半分ずつ負担する保険料。
FP3級試験で問われるポイント
• 国民年金の保険料と国庫負担の割合(保険料の約50%は税金で賄われる)。
【FP3級試験を意識したまとめ】
1. 年金制度の2階建て構造を理解する
• 1階:国民年金(全員共通)
• 2階:厚生年金(会社員や公務員対象)
2. 国民年金の基本を押さえる
• 加入義務のある年齢:20歳~60歳
• 老齢基礎年金の満額受給には480か月の保険料納付が必要
3. 厚生年金の仕組みを理解する
• 報酬比例の仕組みで、現役時代の収入に応じた年金を給付
4. 被保険者の違いと対象を覚える
• 第1号:自営業者や学生
• 第2号:会社員や公務員
• 第3号:第2号被保険者に扶養されている配偶者
FP3級では「年金制度の全体像」や「公的年金の仕組み」が頻出です。この基本を押さえれば試験対策だけでなく、自分自身の将来設計にも役立ちます!