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スピか
同志Aからのお題:ドーナツ
「おとーさん、どんな夢見た?」
朝食時、小2娘の質問にドキッとした。というのも、三遊亭遊雀師匠の落語「天狗裁き」を動画で視聴したばかりだったから。娘は動画を見ていないのだが…スピリチュアルの門が開いたのか。
うたた寝している亭主。何やらいい夢を見ているよう。妻が起こして「あんた、どんな夢を見たんだい?」と聞くが、見ていないと言う。夫婦喧嘩になり、仲裁に入った隣人や大家、奉行までもが夢の話を聞きたがるが、ぐるぐる巻きにされて松の木に吊り下げられても、見ていない夢の話はできない。最後は高尾山の天狗に助けられ…という噺。
父に夢の話を尋ねる娘。もしかして、もしかすると、この先にはリアル天狗裁きが待っているのか。内容はさっぱり思い出せないが、いい夢ではなく、妙な夢を確かに見た。でも「見ていない」と言うと、親子喧嘩になり、夫婦喧嘩になり、大家を巻き込み、裁判所まで行き、そして天狗様が現れるならば面白い。悪い癖で、怖いもの見たさが勝った。呼吸を整えた後「何も見てないよ」とやや小さな声で答えた。さあ、さあ、さあ、幕は開いたかね。
しかし、娘の返事は「ふーん」と実にあっさりしたもの。「おとーさん、そんなこと言わないで。ちょっと教えてよ」と追及してほしいのだが…「あのね、夢にね、でっかいイモ虫が出てきて、嫌だったの!」と自分の夢の話を始めた。あれれ、天狗様には会えないのか。緊張して損した。
同志Aから今回のお題「ドーナツ」をもらった直後の週末にも、こういうことがあった。
妻「おやつ何を作ろうか」
娘「ドーナツ!」
またまたドキッとする私。スピってる。スピりまくってる。
ドーナツを揚げては「マルコビッチの穴」ならぬ「ドーナツの穴」から私の脳に入り込み、コントロールする作戦かもしれない。あれこれ難癖つけては、お小遣いを渡さない父への反撃か。
あきれ顔の同志Aの声が聞こえてきそうだ。
「あんた、どんな白昼夢を見てるんだい?」
と、書いたら、義母がドーナツを土産にやって来た。やっぱりスピってる。婿包囲網、恐ろしや。