パブロフの犬は吠えるがPCR検査は進む~第6波考
同志Aからのお題:2022年の抱負
その昔、未来学者のアルビン・トフラーは人類の歴史における技術革新を「波」と表現。第一の波「農業革命」に始まり、第二の波「産業革命」を経て、第三の波「情報革命」が来る、と説いた。
例のウイルスは「第六波」の真っ最中である。彼らの変化の速さたるや、人類の比ではない。まさに恐れ入り谷の鬼子母神。人間界では、コーヒーも今のところ「サードウェーブ」止まりだというのにね。自然界の猛者を相手に「打ち勝つ」なんて言っていた責任者には、国民を代表して磯野波平さんから「バカモン!」と雷が落ちるぞ。
週末の家族のお出かけも様変わりした。禍の前であれば都心の公園で楽しく過ごしたものだが、今じゃPCR検査へ。なんともはや。
今回の波、子どもたちの間でも感染が急拡大している。わが子のクラスは複数の陽性者が出て学級閉鎖に。クラスメイトに濃厚接触者はいないというが、習い事の先生からは、対応が厳しい私立校を例に、教室通いをやんわり拒まれる事態(オンラインで参加)。そんなわけで、感染していないことを確認しようと、家族でPCR検査を受けることにした。
無料の検査会場を探すが、有名な企業グループが運営している会場はすでに予約がいっぱい。薬局チェーンは「検査キットの在庫がありません。次の入荷日も未定です」とか「郵便の関係で週末は実施していません」というところばかり。郵便によるキットの配達・返送で対応しているクリニックもあるが、結果が分かるまで時間がかかる。
もはや、これまでか…と思ったところで、穴場の会場を発見した。知名度は抜群ながら、医療とは無縁のような大企業が運営している。自慢のロボット技術を検査・解析に活用したようだ。結果も最短で翌日に出るという。ただ、面倒なウェブ登録が一因なのか、混んでいない。
家族でバスを乗り継ぎ検査会場へ。土曜日のシュールなお出かけ。
小さなつくねのような綿棒を舌の下に挟むこと3分間。これを見て唾液を出すように、と梅干しやレモンの写真が貼られている。そんなもんじゃ俺の唾液腺は刺激できねえぜと強がってみるが、パブロフの犬のごとく、じゅわっと流れ出るのがしゃくに触る。
結果は翌日の昼前に出た。幸いにも家族全員が陰性。ほっと一息つく。
南の島の海底火山噴火で、リアルな大波も到達する。さざ波立つ心を鎮めるために、今年は波平さんにならって盆栽をたしなむことにしようかのう、と思う2022寅年の初頭である。
そうそう、1月16日は喜劇俳優・古川ロッパの命日だった。ろっぱ、ろっぱ、と騒がしい現世。悲しき晩年を送ったという往年の大スターは「人気再来か?」と泉下で耳をそばだてているかもね。