【昨今の災害に一抹の不安を覚える経営者必読】備えあれば憂いなし!とは言いませんが、減ります。そんなお話です。
お読みいただきたい方はこんな方
災害対策しないと、と思いながらまだできていない経営者または会社勤めの方
直近の地震や台風、大雨で事業運営に危険を感じられた経営者または会社勤めの方
平時の準備がなぜ必要なのか?
2024年(今年)の自然災害覚えていますか?
長い長いコロナ感染症の影響がひと段落し、パリでは有観客のオリンピックが2大会ぶりに開催されました。一方で、今年が今日(8月31日)で3分の2終わったところですが、振り返ってみると、穏やかな天気だと思っていた元旦の夕方、突如大きな地震が発生したところから始まった2024年でした。一気に不穏な年明けになったことを昨日のことのように思い出す方も多いのではないでしょうか。直近では、まだ8月に入ったばかりの頃、立て続けに台風が来るかと思っていたら8月8日は宮崎で南海トラフ地震の発生がありました。初めての南海トラフ臨時情報が発出されて、1週間の特別な注意の呼びかけがありました。ようやく落ち着いたと思ったら今度はまた台風です。先週発生した台風10号は、なんとジョギング並みのスピードで日本列島を縦断しようとしています。この台風10号、noteを利用されているほとんどの人が経験したことのない、65年前の史上最大の被害をもたらした伊勢湾台風並みのものだそうです。当時のインフラということもあるでしょうが、その時は2000人以上の方が亡くなった台風と同じと聞くと、戦慄が走ります。
いつどこで起きるかわからないからこそ、今のうちに
この台風でも線状降水帯や、竜巻が発生している状況です。台風の間接的な影響で各地にこうしたことが時に局所的に起きています。今こうしている間、お仕事を通常通りにできている方々はぜひそうした今のうちに、こうした災害に対する策を講じておいてほしいと思い、急ぎ投稿をしています。ここからの話は、自然災害だけでなく、コロナなどの感染症や、局所的におきる事故(火災など)にも関係するものです。ぜひ最後までお読みいただければと思います。
どんな準備をすれば良いか?
対策といっても、ことが起きてみないと何が起きるのかなんてわからない、という方もいらっしゃるかと思います。そこで、以下の順番で考えてみることをお勧めします。決して難しいものではありません。順を追ってやっていけば必ずできるものです。
想定される災害は何ですか?
最も多くの方に関係する自然災害を例に取り、話をしていきます。
まずは、想定される災害の種類の検討をしましょう。自然災害の想定リスクについては地域ごとにハザードマップがあります。
「ハザードマップポータルサイト」「NHK全国ハザードマップ」などで検索すると、自身の会社、家があるエリアの洪水、土砂災害、高潮、津波などのリスクに関して情報を取ることができます。
こうしたものも使いながら、災害の種類によっては自身の会社特有が起きる可能性(火器を使う工場などでは火災、特殊な原料を使う工場などでは人体被害など)も視野に入れておくようにしてください。
その災害に対して起きうる被害は何ですか?
災害がもたらす被害は、大きく「ヒト」「モノ」「カネ」そして「情報」この4つに分けると整理がしやすくなります。
ヒトは従業員そのものですね。災害により、出勤できない、連絡が取れない、といった状況は安否に加えて事業運営にも影響を与えることがあります。地震などの突然の災害はともかく、台風など事前にある程度の予測ができるものに対しては、連絡が取れない場合にはどうするか、など予め決めておくなどは大切です。
モノは、範囲が広いです。製造施設、事務施設だけでも考えることが違いますし、災害の種類によっても対策が違い、とにかく想定しておかないといけないことが多いです。ですので、まずは「モノ」といった時に自身の会社では、何がありうるのかを従業員の方々と一度検討会を開いてブレーンストーミングをするなどしてみるのもオススメです。こうすることで従業員の防災意識も上がります。
カネは、リスクファイナンスとも言われるもので、一番わかりやすいのは保険です。災害の可能性に対してしっかり保険を検討しているかが初動です。他には、記憶に新しいところでコロナのような感染症で事業を縮小しないといけない事態が起きた時の資金が確保されているかの点検などは常に見るようにすると良いでしょう。例えば、月商の3〜6ヶ月分の運転資金があるかなどをチェックしておくとキャッシュが緊急事態で尽きることは避けられるでしょう。
情報については、一番に考えておきたいのはデータです。データ保管の種類は、紙、ローカル端末、サーバー、クラウドなどがあるかと思います。この中でクラウド以外に関しては、注意が必要です。
被害やリスクの可能性については、中小企業庁の「事業継続力強化計画策定の手引き」に以下のようなリストの凡例があるので、参考にしてみてください。
取りうる対策は何ですか?
想定される被害が特定されたら、次はそうした被害に対しての策を考えていきます。対策については、発生直後から、発生からしばらく経つまで、時間の幅で考えることを意識してください。具体的には、発生直後、1週間後、1ヶ月後、この辺りまでは想定しておきたいところです。さらに大事なことは、発生を見越して事前にできることをつぶしておくことです。このことにより、発生後の対応負荷が大きく減っていきます。
また対策は自社内だけでなく、他エリア他社との連携ということも視野に入れてみてください。特に製造業系などでは、遠いエリアにある近似の企業との連携は、災害時の復旧スピードを高める際には有効と言われています。
こうした対策についても、参考がほしい場合は事業継続力強化策定の手引きを参照ください。一部を下にコピーしておきます。全編は最下部まとめのところに添付しています。
ここまで読んでいただいた方なら、オススメがあります
ざっくりと意識を変えていただくために、アウトラインを記してきましたが、ここまでお読みいただいて、事業における災害対策が重要だと思われた方に知っておいてほしい国の施策があります。ちなみに、ここまでに述べてきたことを一言で言うとBCP(緊急時事業継続計画)と言います。そして日本では経済産業省及び中小企業庁が企業のBCP普及を促進しています。
事業継続力強化計画認定制度って知っていますか?
中小企業が事業継続力を強化するために策定する計画を認定する制度です。
「中小企業庁 事業継続力強化計画」で検索すると出てきます。https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/index.html
事業継続力強化計画は何をするものか
みなさんの企業それぞれで災害対策を考えていただき、それに対して認定をするものです。フォーマットがあり、それに沿って内容を考えていくものになっています。上述のプロセスに沿っていますので、従業員の方と一緒に(従業員の方は経営者と一緒に)考えることで共通の防災意識とBCP意識が高まります。お手伝いが必要であればいつでもお手伝いします。
事業継続力強化計画を認定された時の5つのメリット
計画を立てて、認定されてもそれが何になるの?と思われる方も多いと思います。当然、メリットはあります。
その1)従業員の安全確保、災害対策意識向上
BCP策定をすることの第一の意義は何よりも、大切な従業員の安全確保につながる点です。災害時社内は得てして混乱しがちです。そんな時でも、事前に想定をし、それに対する対策を練り、さらに言えば訓練を行なっておくことで、間違いなくリスクの低減はできます。そしてこうした一連の動作を定期的に織り込んでおくことで従業員一人一人の災害への意識が向上すること、これはとても大事です。そしてこうしたことが事業継続性を高める最大の厳選となります。
その2)万が一の際の早期復旧
先に述べた、想定される被害、リスクをリスト化しそれらに対して策を講じておくことで、災害発生時の復旧スピードは格段に上がります。
その3)企業の信用力
BCP策定をしている、そしてそれを認定されている、ということは企業の信用力に関わります。何かあった時に、すぐに復旧できるところとそうでないところとあったとしたら、どちらと取引したいでしょうか?答えは明白ですよね。特に新規の取引をする際に帝国データバンクや東京商工リサーチで与信をかける際に、こうしたことがわかれば、信用度は一段高いものになると言えます。
その4)税制や融資での優遇
「特別償却制度」「中小企業防災・減災投資促進税制」といった税制優遇があります。詳しくは下記に内容を添付しておきます。
また、融資についても日本政策金融公庫による低利融資などの申し込みができるようになります。こちらも詳しくは下記添付を参照ください。
その5)補助金での加点
多くの事業者が申し込まれている補助金に関しても加点となります。現在、事業継続力計画認定を受けている企業はまだまだ少ないです。BCP策定をして、いざという時に備えつつ、補助金でも加点される一石二鳥も狙うことができます。参考までにここでも加点が狙える補助金の一覧を添付しておきます。
ちなみに日本企業の事業継続力計画(BCP)策定率は18.4%(2023年現在)です。地震大国、台風大国と言われている中で、低いものだと言わざるを得ません。
一社でも多くの企業が、万が一に備えることが、事業継続及び日本の国力向上につながるものになるのではないでしょうか。
まとめ
昨今の自然災害から、事業継続への不安意識が少しでもある方にとっては、BCPはとても大事なものとなります。国の施策に乗ることが大事なのではなく、御社の継続に役立つことが大事という観点で、今回は事業継続力強化計画認定制度をご紹介しました。ご紹介したように、これを取ることで得られる副次的なメリットもたくさんあります。ぜひ、この機会に取得をお勧めします。最後にこの制度の概要と手引きを添付しておきます。興味はあるけれど、支援がないとできないよという方はDMいただければ相談にお乗りいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?