終電の後
終電を逃してしまった。
隣には最近よく遊ぶ彼。
付き合ってはいないが、彼からは既にいつも
告白されている。
私は何となくはぐらかしながらも
今日も飲みに行っていた。
そしていい気分の私たちは
まんまと終電を逃してしまったのだ。
どこに向かうでもなく、ぶらぶらと
どうでもいい話で笑いながら歩いていると
頬に雨粒があたる。
ポツポツポツポツ 少しずつ強くなってきた。
とりあえず雨宿りにシャッターの降りた店の
軒下に避難して座り込む。
雨が降る前は穏やかな気候だったのに
今は少し肌寒く感じる。
そんな私に気づいた彼は
自分の上着をそっと私にかけながら
包み込んでくれる。
どれくらい時間は過ぎたのだろう。。。
そのままの体勢で、彼は何も手を出しては来ない。
彼の温かで真面目な愛を思わず感じてしてしまう。
周りに言わせると、優しくて
見た目も悪くなく、仕事に対する姿勢も
尊敬できる。
何より一緒にいると、安心できて楽ちんだ。
私がこだわっていた事が、急に小さく思えてくる。
彼がずっと差し伸べてくれている手を
握ってみてもいいのかも知れない。