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夏休みという束縛

夏休みが嫌いだ。

嫌いになったのはいつからだろうか。
具体的にはわからないけれど、いつしか私にとっての夏休みは、自由という名の束縛を思う存分に味わわされる苦痛な時間となっていた。

休みという言葉とは裏腹に、何かをしていなければならない時間。遊びにいそしむのも勉学にいそしむのもよし。部活動や課外活動でもいい。何なら趣味でもいいし恋愛だっていい。
何かに没頭する夏休みがたたえられ、何にも没頭できず、画面を眺めてアイスを舐めているだけで過ぎていく夏休みには、世は何の価値もくれないのだ。

だからこそ、私は夏休みが近づくと憂鬱に感じるようになった。
夏休みに何をしようか、どこへ行こうか考えることは、本来とてつもなく楽しいことであったはずだ。


「私、夏休み嫌いなんだよね...」


と、夏休みを満面の笑みで迎えている世の大多数に対して、斜に構えた態度をとるのが少し気持ち良い
という、素晴らしくこじらせた感情もあるのは事実だ。

わかっている。そんな態度何の意味もないことなんてわかっている。

ああ、悲しいかな夏休み。


私だって、本当は普通に夏休みを満喫したい。
24時間テレビを見ながら、今年の夏は楽しい予定ばかりであっという間だったな~と振り返ってみたい。

なのに、いつもいつも、
予定を詰めなければ!誰かに会わなければ!やりたいことを全て夏の内にやらねば!!!
と、どこからかの強迫観念の追われながら、静かに夏は過ぎていく。

社会に出れば、こんなに長い休みはないらしい。
それはそれで寂しい。嫌いなまま消えてしまう時間ほど寂しいものはない。


ああ、悲しいかな夏休み。


今年こそは、あなたを好きになりたいのです。


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