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はじめての根津美術館と琳派〜南青山の癒し〜

南青山に通い始めて1年ちょっと、根津美術館にはじめて行ってきた。会社から徒歩5分なのに。

オシャレな和風美術館

11月も終わりの日曜日。わざわざ休日に会社近くに行くのもアレだな、と思っていたが、根津美術館で国宝と重要文化財を集めた展覧会をやっていたので、重い腰を上げることにした。

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表参道駅を出て、ハイブランドの旗艦店を横目に通りを進んでいたら、しっとりとした雰囲気の黒い建物が見えた。あとで調べたら隈研吾の設計だそう。弊社隣のパイナップルケーキ屋も隈研吾による建築だ。彼のデザインは上品なのにどっしりと存在感があって好きだ。

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受付でチケットを買ったら、双頭羊の壺のイラスト。外観はハイエンドなのにめちゃくちゃ可愛いことするじゃん…。

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ちょっとナメてた、根津美術館の収蔵品

私立の小さな美術館でしょ、と思っていたが、実際入ってみるとその規模に驚いた。

建物は地下1階から2階まであり、展示室は6つ、そして日本庭園がとても広い。(土地代えぐ、、)

コレクションの総数は7,420件に及び、そのうち国宝が7件、重要文化財88件、重要美術品94件を数える。その大部分は実業家だった初代根津嘉一郎(1860~1940)が集めた品だそう。彼の審美眼と財力、作品を長年守ってきた人々の努力に気が遠くなった。

IMG_0129のコピー

琳派の傑作『夏秋渓流図屏風』

今回目当ての作品は、琳派の画家・鈴木其一(きいつ)の『夏秋渓流図屏風』だ。詳しく知っていたわけではないが、この作品の展示期間が11月末までだと知り、気になって訪れた。正直に言うと、鈴木其一どころか琳派にあまり興味がなく、ほとんど知識がなかった。「尾形光琳と俵屋宗達がヘッドライナーで、派手な金色を使う流派でしょ」くらいの認識だ。其一の名前も今回はじめて知った。

しかし『夏秋渓流図屏風』を前にして、その大胆かつ精緻な描写に目を奪われた。6曲1双の屏風は名前どおり、夏と秋の渓流のようすを描いている。

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金と青と緑のコントラストが驚くほど鮮やかで、流れる川の表現が艶かしい。木々や岩に生える苔は細かく点描され、紅葉した桜の葉とヤマユリの美しさは言わずもがなだ。手前のねちっこい描写とは裏腹に、奥にのぞくクマザサはのっぺりと平面的に描かれている。

少し離れて屏風を見ると、グッと空間が見えてくる。背景は金一色なのに、ダイナミックな構図と描写力が為せる妙だ。

夏と秋、それぞれの森の匂いと、勢いよく流れる水の音が聞こえてくるようだった。

ひそかに慕う

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『夏秋渓流図屏風』は今年、国の重要文化財に登録された。鈴木其一は琳派の代表格として見直されているようだ。

おそらく初めて琳派の大作を見て、心の窓に風が入ってきた気持ちになった。少し調べると、琳派には「私淑」という考え方があるそう。直接弟子になって教えを乞うわけではないが、その人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶことだ。其一も尾形光琳に対して私淑していた。

私も私淑している人物は何人かいるな、名前を思い浮かべる。漢字からして美しい言葉だし、ロマンチックで好きな考え方だ。

根津美術館には光琳画の国宝『燕子花図屏風』も所蔵している。今度は午後休でも取って、ふらりと足を運んでみようか。名品がきっと静かに迎えてくれる。


展覧会チラシ、『夏秋渓流図屏風』画像引用元:根津美術館ホームページhttp://www.nezu-muse.or.jp/



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