産後クライシス解決策をデザイナーが考えたらこうなった。デザイナーの育休。
こんにちは。育休明け社員、アートディレクターの狩集です。前回の投稿から引き続き、育児についてのお話です。新しい家族が増えて、新しい世界が動き出す。そこには戸惑いや悩みがつきものです。今回は少し重たいテーマ「産後クライシス」についてデザイナー視点で明るーく軽ーく考えてみようと思います。
予めお断りしておきますが、一介の美大卒デザイナーの考察ですので、医学的・心理学的論理はいっさいございません。
産後クライシスはなぜ起こるのか。
育児中のみなさん、乳幼児のお世話って目まぐるしいですよね。1日の終わり(なんてあるのか?)にはもう疲労困憊です。なのに何ひとつ片付かなくて、今日1日を振り返ってみると「今日私何やってたんだろう…」なんて思ったりします。だっこしておんぶして、オムツを替えて、授乳して、食べ物飲み物をこぼされて、イヤイヤ〜!と泣かれて……
実は超濃厚な毎日を過ごしているのに、ひたすら反射的に対処しているので、時系列で思い出すなんてできないんですよね。そもそもそんなことする時間があるなら寝ていたい。たまにはトイレだって好きなタイミングで気兼ねなく行きたい。1分1秒すら惜しいです。なのにパートナーから「ずっと家にいるのに何やってたの?」と言われた!なんてツイートやブログも散見されます。今日はあんなこと、こんなことがあってね、大変だったんですよ…なんて思い出すことも難しいのに身近なパートナーに伝えることすら叶わない毎日です。
「家が荒れてるのは子どものせいなの?」ええそうです。ズバリ。
「子どもがかわいくないの?」そんなことありません。
愛しいから辛くてもがんばっちゃうんです。
「今は手がかかるけど、大きくなったら手を離れてしまって寂しいよ」
「小さくてかわいいのは今だけ。だから楽しんで!」
そんなアドバイスに励まされもしますが、疲れきった心では焦りも感じてしまいます。「楽しんでる余裕がない。楽しみたいのに!今だけなのに!」…育児をする人の心の中は、外からは見えない複雑な葛藤や悩みを抱え、それを誰かに伝えられずどんどん膨らませてしまう。そして手に負えないほど大きくなって爆発した結果が「産後クライシス」だと私は思うのです。
未就学児がいる家の家事は「ー(マイナス)から0(ゼロ)に戻す」こと
ただいま〜。と帰ってくると笑顔で迎えてくれる(もしくはスヤスヤ寝ている)子どもと妻(あるいは夫)。
いつもの家。当たり前の家庭の風景です。だけどそれって本当に当たり前でしょうか?
あなたが立っているその床、1時間前はこぼれたジュースでびしょびしょだったかも。
ニコニコ遊んでいる子ども、数分前までは謎のギャン泣きだったかも。
何気なく入ったトイレ、昼間は無限に引出されたトイレットペーパーの山だったかも。
いつもの食卓、拒否されてゴミ箱直行になった悲しい手料理が乗っていたのかも…
飲み物をこぼす、しょっちゅうです。ギャン泣き、毎日です。トイレ、常に汚すもんです。料理、いつもダメもとで作ってます。こんなこと育児を担当している方は愚痴をこぼすことすら面倒に。だから粛々と片付けます。
普段の家事にも見えない部分はたくさんあります。今ちょっと話題になっている「名もなき家事」というやつです。「料理」と一言でまとまってしまう家事にも、献立を考える→買い物に行く→買ったものを冷蔵庫にしまう→炊飯器を仕掛ける(おかずなら下味をつける)…などなど、見えない下積み作業があって成り立っています。「献立を考える」なんて、アートディレクターの私から言わせてもらえば「アイデア出し」そのものです。クライアントの求めるものが明確にある時はいいですが、子ども相手だとほぼ毎日ヒントなしの自主提案。常に頭の片隅には食べ物のことがあります。笑。
こういう名もなき家事や子どもが起こすアクシデントへの対処は、できなかった時はじめて目につきます。逆を言うと、できていると「いつもの状態」を保っているため誰も気づかないのです。時には無我夢中で対処した自分すらも。
私はこれを「ー(マイナス)から0(ゼロ)に戻す」ことだと思っています。
朝「いってきまーす!」の時の家の状態が0(ゼロ)ベースだとすると、間に何か起きてー(マイナス)状態に陥ってもそれに対処していれば、夜「ただいまー!」の時には家の中は朝と同じ状態に戻っており、パートナーにとっては「今日は何事もなかった」という認識になるわけです。それはきちんと対処できている結果として素晴らしいことですが、心と体の疲労は確実に蓄積しています。朝よりも綺麗になっていたり、何かが完成するといった+(プラス)の状態にまで持っていくと気づいてもらえたり、自分自身の達成感にもつながり疲労も多少解消されますが、なかなかそれは難しく、0に戻すのが精一杯な現状です。そう、育児中は「達成感のなさ」これも大きな問題なのです。
人は病気になったとき、初めて健康に感謝します。回復した後しばらくは元気な自分に幸せを感じるでしょう。苦労の差し引きがないと、なかなか今を幸せとは思えないものですよね。では、今大変なあなたが幸せをたくさん感じられるためには、どうしたら良いのでしょう。そこでデザイナーの私ができることを考えてみました。
「いつもの家といつもの家族」を支えるものって?
ただいま〜。と帰ってくると待っているいつもの家といつもの家族。それは当たり前のことじゃない。それをパートナーにちょっとでも理解してもらえたら、実はそれだけでも幸せなんじゃないでしょうか。でも疲れて帰って来た相手に「ねえちょっと聞いてよ〜。グチグチグチ…」なんて本当は誰もやりたくないし、そんな時間すらもったいない。少しでも寝てください。じゃあどうすればいいか。そこで考えました。テッテレー「家事マイナスカウンター!(ドラえもんが言ってる風)」
上の画像をプリントアウトして冷蔵庫に貼ってください。冷蔵庫のサイズに合わせて、横位置と縦位置をご用意しました。A4サイズで100%出力すると、センチメートル実寸定規にもなる優れものです。それから100均などで売っているフレークマグネットを用意してください。種類豊富なので絵柄はなんでもお好きなものを。
あとは、その日起きたアクシデントとそのレベルに合わせて、フレークマグネットを貼っていくだけ。
そう。マイナス状態に陥った回数とその酷さだけがわかるシンプルな仕組みです。あとは冷蔵庫に飲み物を取りにきたパートナーが見て「この-20ってなんだったの?」と聞かれたら笑い話として伝えるもよし、夜に一度自分で見て「ああ、こんなに頑張ったんだ」と今日1日の総括とするもよし。
前者の場合はちょっとした夫婦間のコミュニケーションツールになります。後者の場合は忙しすぎる育児中に起こりがちな虚無感「今日私何やってたんだろう…」に少しでも達成感を与えるツールとして役に立ちます。え?もっと語りたい?いやいや、このくらいシンプルじゃないと続きません。大丈夫。自分が印をつけたマイナススケールを見れば、その時何が起きたのかフラッシュバックしますよ。イヤでも。それをネタに自分の育児日記でもブログでも、書き殴ったらいいんです!記録的なマイナスカウントの日は、そのマイナスまみれのカウンターを写真に撮り、インスタグラムにアップしましょう。時が経てば良い思い出となること間違いなし。
愛しいけれど時に辛い育児。産後クライシスは誰にでも起こり得ます。コミュニケーションを少しでも楽しく可愛くして、明るく乗り切る力になれたら嬉しいです。