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2025明治安田J1リーグ第1節vs町田ゼルビア戦~試合評価~
みなさんこんにちは、Aiはらです。
遂に開幕した明治安田Jリーグ。キャンプの成果が否応なく出る開幕戦。果たして広島はスタートダッシュを切れるチームになれるのだろうか。作業BGMを聴くような気持ちで読んでもらえると嬉しい限りだ。
※予想以上に試合評価の文字数が多くなったので、急遽2部構成にしました。
https://note.com/grand_cedum7228/n/n2f95cd73a812
上記のリンクから選手採点の記事に移動できますのでよろしければ拝読よろしくお願いします。
※評価基準
10:礼賛
9:絶賛(9.5:大絶賛)
8:称賛(8.5:手放し称賛)
7:高評価(7.5:流石)
6:及第点(6.5:好評価)
5:心配(5.5:もう少し)
4:猛省(4.5:反省)
3.5以下:実力不足
―:評価なし
結果
広島2-1FC町田ゼルビア(町田GIONスタジアム)
得点者:’26相馬勇紀(町田) ‘58トルガイ・アルスラン ‘77中村草太
試合評価:6.5
この試合の前半は、3連戦目で準備不足が否めなかった広島と始動からしっかりと対策を立てて準備万端で迎え撃つ町田の構図であった。広島の攻撃の生命線は、相手陣内や中盤エリアでのボール奪取によるカウンター攻撃と見られがちだが、実際は東・中野の両WBのクロスによるチャンスメイクにあるため、その戦術を知り尽くした町田の有馬ヘッドコーチによる効果的な広島対策は、彼の狙い通りの展開で広島の攻撃を鈍化させた。
特に、前半の相馬の動きが秀逸で、守備時は最後尾のワイドポジションまで戻り中野の進入を防ぎ、攻撃では最前線に張り付いてオセフンの衛星となってボールを回収。26分の先制ゴールは、クリアボールを回収した白崎のヘッドから相馬が受け、そこからプレスを掛けてきた塩谷を振り切りながら中野・川辺を次々と抜き去り、一気にペナルティエリア内に進入し左足を一閃。対広島戦で初の先制ゴールを奪い、理想的なゲームプランの実現に大いに貢献した。
一方で、前半はワイドのチャンス構築の活路が見出せなかった広島だが、後半は東から菅に代えて、中野と共に低い位置で望月・中山を迎撃し、加藤は攻撃時に両サイドに顔をだして両WBのフォローに回る。また、トルガイと川辺を状況によってポジションを頻繁に入れ替えて、トルガイのマークを緩めさせる方法を選択。さらに、攻撃のオプションもクロスの位置を縦に切り込む深い位置からではなく、抜き切らないミドルレンジ付近の浅い位置に変更し、前線に選手を多く配置する形となった。そして、これが功を奏する結果となる。
後半は広島の狙い通り、WBが低い位置を取ったことで、今度は相手のWBの攻撃が停滞し、空中戦では圧倒的に優位に立つ状況で相手の苦し紛れのクロスを跳ね返し、それを田中と川辺が回収。そこからワイドに展開してWBに渡ると、両CBの佐々木・塩谷が積極的に上がってフォローすることで攻撃に厚みを加える。すると、徐々に攻勢を強めていき、それまで機能していなかったWBが再び躍動し始めた。
そして、58分に中野の積極的な仕掛けから得たFKに菅がクロスを供給し、一度は跳ね返されるが、スクランブル状態の中で加藤が正確なヘッドで町田ディフェンスの裏を取ると、それに一速く反応したトルガイが相馬を背負いながらも右足のダイレクトボレーでゴールネットを揺らして同点に追いつくことに成功する。
そこからは、広島がギアを更に1段上げて町田の攻撃を封殺し、ロングボールを弾き返しながら、今度はボールポゼッションを強めてジワジワと全体的なポジションを押し上げていく。さらに、71分に加藤に代えて中村草太を送り込みスキッベ監督は勝負に出た。初速の速さで裏を狙う中村を警戒し、町田のDFラインは明らかに下がっていく。これによって全員が自陣に籠るようになり、それまで広島に対して効果的に力を発揮できていた相馬と白崎の存在が消えてしまい、空中戦で荒木に悉く負け続けたオ・セフンも加えて町田は仙頭、ナ・サンホ、藤尾の3枚の交代カードを切る。
そして、町田が交代直後のばたつきでボールを失うと、田中が前線にロングボール。一度は奪われるが、中谷の中途半端なトラップを見逃さなかったジャーメインのプレスでボールが中野に渡る。中村が即座に裏への動きだしを開始すると、慌てた町田ディフェンスがラインを下げるが、それによって生まれたCBとボランチのスペースにジャーメインがポジションをとり、それを見た中野がタイミングを見計らってパスを出す。受けたジャーメインが小さくトラップしてCBの間に振りの早い強烈なシュート。手前で変化したボールに町田のGK谷はたまらず胸で弾くと、こぼれ球に反応した中村が右足を振り抜き、中山の手に当りながらもゴールネットに突き刺して逆転に成功。スキッベ采配ズバリの攻撃で広島が試合をひっくり返した。
その後も広島はボールを支配して町田の攻撃回数を減らし、守備時は絶え間ないプレスで相手の自由を奪う。85分にトルガイから越道に代えて、前線の圧力を強めてロングボールに逃げさせて得意の空中戦に持って行く。そして、手札の消えた相手を最後まで封じ切り、試合終了。幸先の良いスタートを勝ち取り、昨季では達成できなかった逆転勝利を見事に達成させた。
この試合では連戦による疲労と相手の対策に苦しめられた前半だったが、すぐに戦術を修正して交代カードを巧みに使い、難しい試合から見事勝利を手繰り寄せた。この日もスキッベ監督の采配が光り、同時に期待に応え続ける中村のポテンシャルは、ルーキーからは逸脱した実力を発揮しており、今後のJリーグの台風の目となってくれるだろう。
選手評価に続く・・・。