金貸し父さんと信頼の米びつ【バックナンバー集04】
僕は大阪に本社を置く機械商社の新社長に挨拶をする為に先方の応接室を訪れていた。
部屋の中には僕を含め3人の男がソファに身を沈めている。
今回社長から一気に相談役に退いた老創業者は絵に描いたようなナニワの喰えない商売人という感じではあったが、その中にも人情味を感じるとても味のある人物だ。
一代で50億円規模の商社に自社を育て上げ、兼ねてから65歳で引退すると宣言していたのでこの度の社長交代となった。
30代前半の長男はまだ若い為、常務管理本部長へ昇格はするもののまだ修業は数年続くとのこと。
僕も旧知の創業以来から創業者に仕えてきた番頭格である専務が社長を引き継ぐことになったそうだ。
2代目が育つまでのいわゆる「つなぎ登板」である。
流石に手堅い人事で前々から引退を意識して準備していたことを伺わせる。
新社長とは翌日個人的にゴルフをする予定だ。
「まぁ、よろしく頼んますよ。ひきつづき社長を助けてやってや。」
※この記事ははてなダイアリーで2015-12-05に公開された記事のバックナンバー記事です。
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