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「魚の釣り方は教えるけど、魚はやらない」と言う人

ごきげんよう。皆さん久しぶりですね。
最近、小学生の息子がすっかり魚釣りが好きになったようで「釣りに行きたい」とうるさく、奥さんも手を焼いているようです。
買ってもらった「はじめての釣り」という本を大事に何度も何度も読んで楽しみにしているとのこと。
元々は2度ほど息子と息子の友達数名を釣りに連れて行ったのがきっかけで、息子や友達の何人かもすっかり釣りを好きになってしまった様。
僕はほっと胸を撫でおろし、やはり何かを教えるというのは最初が肝心だよなと改めて思ったのでした。

僕は若い頃は釣りトーナメントに出たり、釣り番組に出たりするくらいの魚釣り好きだったのですが、この15年程は仕事や子育てで忙しくしていてほとんどフィールドに出ることはありませんでした。
だけど最近子供も大きくなり、パパ友なんかから「子供達を魚釣りに連れて行ってあげませんか?」的な話があって、ならば、、と、子供達に釣りを教えるべく久しぶりにロッドを握ったというわけです。

実は、魚釣りを「教える」ということは非常に難しいと僕は思っていて、あまり気乗りがしませんでした。

何が難しいか。というと、純然たるスポーツなどと違い、真剣にやったり、練習したからといって必ずしも結果が出ないというのが一番大きいのです。
当たり前で、魚の方からすれば初心者だろうが、子供だろうが釣られてやる義理はないわけですからね。
更に魚釣りの難しい点を掘り下げると以下のようになります。

1.集中力が必要である。これが難しい。
2.限られた時間内での試行錯誤が必要である。これが難しい。
3.(天候や季節によっては)置かれた環境が過酷な場合がある。これが難しい。
4.それでもかなりの確率で釣れない場合がある。これが難しい。

これは大人でもかなり辛いのですが、子供にやらせるのは相当しんどいのです。

僕が上に挙げた4点は実は「餌をつけるのが気持ち悪い」「道具の扱いが難しい」といった「釣り方」の話しではありません。
「不確定(釣れるか釣れないか分からない)なゴールに向かって粘り強く集中力を絶やさず、試行錯誤を繰り返すことが出来るようにならないといけない」というのが子供には、いや大人でさえ難しいということです。
で、これが出来るようになるために何が必要かというと、やはり成功体験を基にしたイメージなわけです。
つまり「釣れる」というイメージを持てないと、まず「面白くない」となります。逆に言えば「釣れる」というイメージさえ持っていれば、傍目から見て微動だにせず水面を眺めているだけでも釣り人にとってはとても楽しい時間なわけです。
だから子供達の「初めての釣り」はかなり苦心しました。連れて行ったのは、秋の一番よい気候の朝一番、事前に入念に釣果情報を調べて船長と連絡を取ってポイントを定めました。
幸い、思惑通りなんとか全員が魚の手ごたえを知ることができ「自分なりの試行錯誤」で魚をキャッチすることができました。

面白いのが、その後、必ずしもコンディションが良くないタイミングの釣りになった時でも、「釣れたイメージ」を頭の中に描ける子供達は魚が釣れなくても圧倒的に集中力が長く持つわけです。

「魚釣りに連れてって」となった時に、時期を選び、場所を選び、朝早くでなければ「連れて行かない!」と頑なな僕に、奥さんや友人のパパ達は「まぁ近場で昼からでもいいんじゃないの?」と眉をひそめたのですが、釣りをキライになる為に釣りにつれていくのはやっぱり嫌だったんですよね。
なので子供達が魚釣りをすっかり釣りが好きになってくれ、自分で試行錯誤しながら「小さな釣り名人」になってきてくれていることは本当に嬉しいことです。

さて、僕たちビジネスパーソンの世界でも人材のトレーニングに関して「魚の釣り方は教えるが魚はやらない」と言う人がよく居ます。
成果を出す人を早期に育てるには「釣り方を教える」だけで良いのでしょうか?釣れる前提条件や環境を整えることも「釣り方」に入っているでしょうか?
魚の居ないフィールドで釣りをさせたり、環境が良くないところで釣った経験のない人に釣りをさせていないでしょうか?
やはり「成果を出す自分」や「手ごたえ」をイメージなしに、集中力をもって試行錯誤を一定期間続けることは難しいのが普通の人です。
特に営業活動やマーケティングなど、様々な環境パラメータによって成果が出るとは限らないことは、その中で粘り強く成果を出せる人材を育てるというのには魚釣りと同様、最初が肝心であるとも思います。
後々の集中力の支えとなる「最初の一匹」を早い段階で自分なりの試行錯誤で釣り上げてもらって本人の中に「イメージ」を作る。その為の万全な環境を用意してあげることが大事では無いかなと思います。
もちろん、イメージがなくても言われたことをやり続けられる人もいるでしょうが、そういう人の方が珍しい人であり、そういう人が他の人を教えると平気で水たまりでキャスト(釣り竿を振って仕掛けを投げること)をやらせるようなことをしているような気もします。
ビジネスの世界で「魚釣り」を例え話にする人は多いのですが(この人魚釣りしたことあるのかな?)と思ったりもしますね。

かなり無理やりビジネスの話しに持っていきましたが、僕が言いたいのは息子と垂らす釣り糸は最高だということです。

暖かくなったら。魚釣りに行きたいですね。
それまで持ち場でがんばりましょう。

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