『少女トラベルミステリ』における『少女』『トラベル』『ミステリ』は何なのか問題
『少女トラベルミステリ』でどんな内容を扱うか、人によっては解りにくい可能性があるなあと最近思ったので、ちょっとこのタイトル周辺について説明しようと思います。
『少女トラベルミステリ』とタイトルはもろに『少女』『トラベル』『ミステリ』をそのまま並べたものであり、『少女』+『トラベル』、『少女』+『ミステリ』、『トラベル』+『ミステリ』でもあり、『少女』向けの『トラベルミステリ』について書くということでもあります。
このあたりについてそれぞれ説明しようと思います。
まずは『少女』についてです。
『少女』とは基本的に「探偵役となる少女主人公」です。
現時点では「社会人として自分で生計を立てていない」「自分の職能で生活していける状態ではない」ことを大前提としています。つまり職業探偵、女性警察官や、保険会社の社員など、プロフェッショナルな調査員ではなく、アマチュア探偵ということです。
他には「親や保護者ではなく、性的関係のある配偶者が生計を担っている」若い女性は現時点ではどれだけ若くても範疇に入れていません。(歴史ものの場合は性的関係がない婚姻の場合どうするかなどは今のところ考えていません)
近代日本が舞台の場合、基本は学生を想定しています。
ただし無職、遺産などで経済的に一切不自由しないお嬢様というパターンも現時点では少女に入れていますが、職業作家、プロの俳優などの場合は自分で生計を立てているので範疇から外しています。(ここは考え直す可能性があります。子役タレントがものすごくお金を稼いでいる場合、彼女は「少女ではない」のかをまだ検討していません)
尚、主人公が少女であっても、探偵役が男性の場合はなし。解決するグループの中に男性が混ざっている場合、相手の権威などを利用する場合などはOKとします。
女性の探偵役が存在するシリーズ内でスピンオフ的に男性が解決する場合、シリーズ自体はありでも、優先度は下がります。
次は『トラベル』についてです。こちらは「事件がメインで起こる舞台がほぼ現実の世界を踏襲していること」です。山村美紗先生の京都ものの場合「舞台が最初から京都」パターンもありますが、これはありにしています。そこをOKにした都合上、観光地でなくてもOKです。事件が起こらない、主人公の居住地などは架空の場所でもOKです。
何故『トラベル』で「主人公が移動していなくてもOKにしたか」については、その場所に「読者が移動できるか」を前提にしているからです。
ミス・マープルものでセント・メアリー・ミード村は架空の自治体ですが、そこではなく実在の場所で起こった場合はトラベルの範疇として考えます。実在の場所であることが前提なので、ファンタジィ作品で事件が起こる場合は軒並みNGになります。
架空の場所に行くことは想定していません。読者がそこへ行くことができないからです。
『ミステリ』ですが、基本的には「探偵役の有無を問わず、謎が生じ、その謎が登場人物、もしくは状況によって解決され、それが読者に提示されること」です。かなりざっくりめに定義しています。「探偵役のキャラが事件を解決する」というような探偵役が存在するか否かはフィルタとして採用しませんでした。
これはごくシンプルに『星子ひとり旅シリーズ』は必ずしも主人公の流星子が事件を解決していなかったり、状況的に謎が解るようなオチになっていたりするものもミステリの範疇に入れているからです。
ちなみに探偵「役」ではなく探偵が出るかどうかについては、かなり優先度を下げています。これは「職業探偵ではあるキャラが全く探偵役としての機能を持っていなかった(狂言回し的な役どころですらない)」作品を読んだため、探偵である、能力、状況的に探偵だと言われているかどうかは条件に入れませんでした。
超常要素については作中で読者に納得のいく形で説明さえあれば現時点では「あり」としています。
『少女』+『トラベル』。こちらは要するに「少女主人公が、実在する場所に行く」ことです。
『少女』+『ミステリ』。「少女が主人公となっているミステリ」ということです。どれだけ重要なキャラであっても、主人公であるキャラが男性の場合は範疇に入れていません。
『トラベル』+『ミステリ』については「実在の場所で事件が起こるミステリ」です。実在であれば「(架空の)自宅から、実在の商店街などの場所に移動した」でもトラベルミステリと定義します。
既に廃線になっている電車、既に取り壊されている施設などが舞台となっていてもありとします。
『少女』向けの『トラベルミステリ』──こちらはこれまでの定義とやや違う扱いになっています。「実在の場所に行く」ことは同じですが、探偵役が男性であっても少女向け作品としては充分有り得るだろうと思ってのことです。(例えば高階良子『マジシャン』の探偵役である葵昌吾は男性の天才マジシャンで、ヒロインの由貴は巻き込まれ役、狂言回し的なポジションです。ただし『マジシャン』はほとんどが実在する場所ではありません)
『少女』向けの『ミステリ』──これが一番悩みます。架空の場所であってもファンタジィ要素があってもミステリとして読めればOKですし、男性が探偵役でも主人公が女性でも「探偵役の有無を問わず、謎が生じ、その謎が登場人物、もしくは状況によって解決され、それが読者に提示されること」が満たされれば問題ないと思います。
いろいろぐだぐだと悩んでいますが、ある程度多くの視点から切り出していこうと思っています。