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カフェ起業女性の思い~「濃ぃヒー」参画オーナーに聞く~

「応援が力に、自ら選ぶ道が未来を拓く」

「濃い人生」を応援するコーヒー

濃ぃヒー」は一杯のコーヒーです。エスプレッソのような濃いコーヒーというわけではなく、「濃い人生を生きている人」を応援できる飲み物です。

カフェで「濃ぃヒー」を飲むだけで気軽にシングルマザーの応援ができるこの「濃ぃヒープロジェクト」プロジェクト。購入代金の3%が、彼女たちの起業や就業を応援する活動への募金になる仕組みです。

「濃ぃヒープロジェクト」の仕組み

シングルマザーは一人で二役こなす「濃い人生」を歩み、チャレンジをしている人たち。そんなポジティブな見方も広まってほしいとの意味を込めた、「濃ぃヒー」でした。

シングルマザーの経済的自立を支援しているグラミン日本としても、初めてだったこの取り組み。東京や大阪などの合計10店舗が「国際女性デー」である3月8日から約2カ月の間、思い思いにオリジナルの濃ぃヒーを提供してくださいました。グラミン日本では、この取り組みを今後も継続的に実施していきたいと考えています。

今回は、協力してくださった2店舗のオーナーにお話しを伺いました。両名とも会社員を辞めて昨年カフェを開業した女性です。寄付金を受け取りに行った際に初めてお会いし、若い女性であることに驚いたと同時に、起業を考えているシングルマザーの参考になりそうだと、インタビューをお願いしました。

濃ぃヒーのことはもちろんですが、起業のきっかけや、実際に取り組んだ準備、周囲の反応はどうだったかなど、たっぷりと質問をしてきました。明るく朗らかなお二人のお話し、ぜひご覧ください。

https://www.instagram.com/1016_toirocoffee/

https://www.lapincafe.com/

「すごくいいことをやっているね」

――濃ぃヒーを提供してみて、いかがでしたか。

はまじ:SNSを見てきたお客様が、店に入った瞬間に「濃ぃヒーはありますか」と尋ねてくださったことがありました。あと、出張などで山梨や東北などの遠方から来て、このコーヒーを出しているお店を回ってるという方にもお会いしました。どちらの例もすごくうれしかったし、こんなに反響があるのかとびっくりもしました。

コーヒーを買ったら募金になるという仕組みは、気軽に参加できる点がいいなと思いました。

小野寺:私の店では、たまたま立ち寄った方がポップを見て、すごくいいことやってるねと、コーヒーを買ってくださったのが嬉しかったです。

濃いヒーをお渡しする小野寺さん

――濃ぃヒーを知ったきっかけは何ですか。

小野寺:大学時代の同級生がこのプロジェクトを知って、声をかけてくれました。自分の商品をきっかけに何かを考えていただけるとか、誰かのために貢献できることってなかなかないですし、非常に貴重な機会なので、是非にと思いました。

はまじ:偶然ですが、私も同じく大学の友人から教えてもらいました。誰かを元気づけたり、応援したりすることの一つのピースになれたらうれしいなと思い、断る理由もなく賛同を即決しました。

飲食業とは無縁だった

――起業する前はどんなことをしていましたか。またなぜカフェをやりたいと?

小野寺:ドラマや映画で、主人公がよく行く飲み屋さんやカフェで、オフになる瞬間がありますよね。自分も誰かにそういう場所を提供できる人になりたいなと、以前から思っていました。

ただ現実問題として、それを仕事にするのは難しいとも思っていましたし、小学校から大学まで女子サッカーを本格的にやっていたので、その経験を活かしたくて、大学卒業後はとあるスポーツブランドに就職しました。なので今の事業を始めるまでは飲食業界とはほとんど無縁でした。

はまじ
:私は大学時代にパン屋さんでバイトをしていたとき、あるお客様がふと「ここに来る時間が私の唯一のなんか癒しなんだよ」とおっしゃって、私も泣きそうになってしまった経験があって。そういう空間が日常のすぐそばにあるってすごく大切だなと思ったのが、最初のきっかけでした。

とはいえ、私も飲食や経営の経験がまったくない状態でした。大学を卒業した後はコンサルティング会社に就職していました。だけどフラっと立ち寄った本屋で「我慢して生きるほど人生は長くない」(鈴木祐介著)という本を見つけて、めちゃくちゃ感銘を受けたんです。やりたいことを老後じゃなくて、いま始めたいなと、東京の国立市でカフェをオープンしました。

開業時は何が分からないかも分からず、不安に

――自分のお店を開いてみて、楽しいと感じることや、逆に苦労していることはありますか。

小野寺:お客様のいろんなお話しを聞けたり、リピートして通ってくれるお客様がいるときに、少しずつ理想に近づけていると実感がわきます。

大変なことはいっぱいありますが、自分でやりたいと決めたことだから、苦労とは違う気がしています。ただ、何も経験がないところから踏み出すのはすごく不安でした。自分が何を分かっていないかも分からず、どこから情報を取ればいいのか、それを信頼していいのか、手探りで準備期間は特に不安でしたね。

まだ会社員だったときに、同時進行で飲食店経営に関する半年間の座学のコースを受けました。知識を増やしつつ、知り合いも作って悩みを共有したり情報交換したりして、ちょっとずつ不安を解消していきました。

あと私はキッチンカーで営業をしているので、移動して、準備して、営業して、片付けてという運転をこなすのは、体力的にズシっとくるところがあります。それから予期せぬトラブルも起きるので、臨機応変な対応が求められる場面も多いです。いろいろと数字上のシミュレーションをしてはいるのですが、天気などにも左右されますし、その場の適応力が問われるなというのは常に感じています。

1016 TOiRO COFFEEのキッチンカー
最初は不安だったと話す小野寺さん

ワクワク感が勝って、ハイ状態

はまじ:私の場合、開業にあたっては不安もいっぱいあったと思うんですけど、ワクワク感が勝って、ハイのような状態でした(笑)背水の陣じゃないですけど、瀬戸際に立たされて、すごいがむしゃらにやりました。苦労はずっとあるけれど、でも楽しい苦労なんですよね。

私のお店は年齢層が広くて、うちで出しているベトナムのサンドイッチ「バインミー」を小さい子が食べに来てくれたり、お仕事の合間にスーツ姿の人が来てくれたり、そういう「お客様一人一人の日常」になれているのが嬉しいですね。

Lapin cafe名物のバインミー

ちなみにバインミーはもともと大好きだったのもありますが、SNSで写真映えする点が商品選択の決め手になりました。ベトナムへ実際に行って修行する時間はなかったのですが、都内のお店を回ってたくさん研究しました。

小野寺:私も会社を辞めてから半年ぐらい、都内の飲食店でバイトをして、生計を立てつつ、飲食店のノウハウを学びました。個人経営のサンドイッチ屋さんと、ハンドドリップでこだわりあるコーヒーのチェーン店でした。

常に複数のプランを持って生きる

――女性は結婚や出産で仕事が思うようにできなくなりやすいですよね。将来のライフプランも考慮されたのでしょうか。

小野寺:もし失敗しても、年齢的にもまだ軌道修正できるタイミングかなと思って踏み切ったところはあります。今も半年後には全然違うことをしている可能性もゼロではないです。柔軟に、プランA、B、Cと複数の選択肢を持ちながら動いています。

はまじ:私も今後、結婚や出産をするかもしれないですが、そういう人生のイベントが起こったときにも対応できるよう、お店の経営スタイルを整えておきたいと思っています。ずっと私が現場に立ち続けるのは難しいであろう中で、この空間をこの地域に残していくために、同じ精神を繋いでくれる人を探したいと思っています。

それから、私もカフェ1本でやっていこうとは考えていないです。逃げ道じゃないですけど、いろんな選択肢も考えつつ、目の前のカフェ運営に取り組んでいます。

――開業にあたって、助けてくれた人はいましたか。

はまじ:立川市によく飲みに行っていたんですが、飲食店の方とすごく仲良くなって、内装のアドバイスをもらったり、厨房を見せてもらったりしました。 この間もちょっとおつまみのレシピを学ばせてもらったりと、先輩方にはすごく助けられています。

それから起業に関する相談やセミナーをしているTOKYO創業ステーションや、国立市にある同種の機関で、アドバイスをもらいました。

国立市にはこれまで縁もゆかりもなかったので、受け入れてもらえるのかなという不安もありました。でも、意外に応援してもらえるといういいギャップがありました。開業前から知ってたよと言ってくださった人や、夢を追いかける姿を面白く見てくださる人もいらっしゃって。

物件の契約も、軽いノリでしました。「ここ空いたからお店やらない?」といわれて即決して、次の日に会社に「辞めます」と伝えました。もともとはコンサルで上まで行ってやろうと思っていたので、会社には最初ウソだと思われました(笑)

とにかく楽しい様子が伝わってくる、はまじさん

――今後の夢は?

小野寺:今は移動販売という形ですが、はまじさんのように拠点を構えて、もっと日常的に気軽に立ち寄っていただける空間を作りたいです。それがカフェであるかどうかは、今後やっていく中でもしかしたら変わるかもしれないですけれど。誰かを支えたり寄り添うにはまた違った手もあるのかなと、濃ぃヒーの企画を通して学びました。

はまじ:今の店舗をより素敵にという夢はあります。それから、若い人たちや夢を持っている人たちが、 それをちゃんと形にできるための下支えをしたいんです。たとえば私が会社を興して、社内起業という形でやってもらうとか、私が周りの人に支えられて自分の夢を実現できたように、 応援する側になりたい。そのためには、私も自身の人生に説得力を持たせられるような生き方をしないといけないなと思っています。

始めるハードルは意外と低い!

――起業を考えているシングルマザーに一言お願いします。

小野寺:起業でもなんでも、始めるのは割とハードルが低くて、お金と時間さえあれば正直できちゃうものもいっぱいあると思うんです。だけど継続と成長をさせていくことが大変だなと、私もいま実感しています。だからビジョンとパッションをいかに忘れずに持ち続けられるか、目標を達成するために、がむしゃらにやっていく姿勢が自分を支えてくれるのかなと思います。

はまじ:起業という言葉自体が、 ハードルを高くしてる気がしているんですが、実際は応援してサポートしてくれる人もいっぱいいるから、起業は意外にやりやすいよというイメージを広めたいです。私自身も気づいたら起業していたという感じで、もともと起業するぞという意気込みがあったわけではなかったので。それから口に出して宣言してしまうのもいいですよね。後に戻れなくなるので(笑)

小野寺:私も宣言していました。やらないといけない、っていう気持ちになりますよね。

初対面にも関わらず、インタビューは楽しく進みました

編集後記

グラミン日本の担当者が寄付金を受け取りにそれぞれの店舗を訪れた際に思いついたこのインタビュー企画。お二人とも、10名ほどのスタッフに囲まれながら、楽しそうに起業までのストーリーを語ってくださったのが印象的でした。
グラミン日本として初めての試みが、新しい出会いを生み出すきっかけとなりました。寄付キャンペーンにとどまらず、「女性の起業」というテーマを通じてさらなる出会いが広がることを期待し、今後も「濃ぃヒープロジェクト」を続けていきたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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