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「うちの子、もしかして…?」——思い込みに振り回されないために
「え? うちの子、もしかしてADHD?」
ある日、SNSで「片付けができない子はADHDの可能性が…」という記事を見かけた。
その瞬間、心がざわつく。
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うちの子は、確かに片付けが苦手だ。
毎晩、おもちゃを豪快にぶちまけ、「ちゃんと寝る前に片付けようね」と声をかけると「うん!」と元気に返事をする。
——でも、いざ寝る時間になると、知らんぷり。
「お片付けしなさい!」と言っても、まったく動かない。
それを見た妻もため息、私もイライラ……。
そんな状況で、この「片付けできない=ADHD」の情報を見たら、やっぱり気になってしまう。
「うちの子もそうなのかもしれない……」
でも、少し冷静になって考えてみた。
「いや、ADHDの子が片付けできないだけで、片付けできない子がADHDなわけじゃないじゃん。」
相関関係と因果関係は別もの
私たちは、日常の中でさまざまな「相関関係」を目にする。
そして、そこに因果関係を勝手に結びつけてしまいがちだ。
たとえば、こんな話を聞いたことがないだろうか?
「成功者ほど高級腕時計をしている」
確かに、経済的に成功した人の多くは高級腕時計をしている。
でも、「高級腕時計を買えば成功できる」というわけではない。
むしろ、「成功したから高級腕時計を買う余裕がある」のかもしれない。
また、ワインと年収の関係についても、こんな話がある。
「ワインをよく飲む人ほど年収が高い!」
でも、ワインを飲めば年収が上がるわけではなく、単に高級ワインを楽しめる経済力があるだけかもしれない。
こういった「相関関係をまるで因果関係があるかのように見せる」ことを錯誤相関という。
そして、私たちは知らず知らずのうちに、その罠にはまってしまう。
育児の情報は、冷静に分析しよう
最近、育児の悩みに関する情報があふれている。
特に、「〇〇な子は発達障害の可能性が…」というような記事は、親の心を揺さぶる。
たとえば、SNSで「うちの子、じっと座っていられない。もしかして発達障害?」と書かれた投稿を見ると、心当たりがある親は不安になる。
「うちの子もそうかも…」と。
でも、本当にそうだろうか?
子どもは、もともとじっとしているのが苦手な生き物だ。
興味のあることには夢中になるけれど、興味がないことにはすぐに飽きる。
それは、大人とは違う発達段階にいるから。
もちろん、発達の専門家が判断する必要があるケースもある。
でも、単に「じっと座っていられない」「片付けができない」といった行動だけで、すぐに発達障害と結びつけてしまうのは危険だ。
「今の状態が未来も続く」と思い込んでしまう心理
私たちが育児の情報に過敏に反応してしまう理由のひとつに、プロジェクションバイアスがある。
これは、「今の状態がずっと続くだろう」と思い込んでしまう人間の心理的なクセだ。
たとえば、お腹が空いているときにスーパーに行くと、つい食べきれないほどの食材を買ってしまう。
「今こんなにお腹が空いているんだから、これくらい食べられるはず!」と、未来の自分を過信するのだ。
育児でも同じことが起こる。
「今、片付けができないから、この子は一生片付けができないのでは?」
「今、じっと座っていられないから、小学校に行っても授業中に立ち歩いてしまうのでは?」
そんなふうに、今の状態を未来に投影してしまう。
でも、実際には子どもは成長する。
いつまでも片付けができないわけではないし、いつまでも落ち着きがないわけでもない。
「冷静になる」ことが、親にとっての武器になる
私たち親は、どうしても子どもの未来を心配してしまう。
だからこそ、育児に関する情報を見たときには、**「本当にそれって相関関係? それとも因果関係?」**と冷静に考えてみることが大切だ。
・「〇〇な子は△△の可能性が…」という情報を見たら、一度立ち止まる
・「今の状態が未来も続く」と思い込んでいないか、自分に問いかける
・「そもそも子どもはまだ成長途中だ」という視点を持つ
このちょっとした意識の違いで、育児の不安は少しだけ軽くなるかもしれない。
私は、育児に悩むあなたの味方です
もし、あなたが今、子どもの行動に悩んでいたとしても、決して一人じゃない。
そして、「今の状態がずっと続くわけじゃない」ということを、どうか心の片隅に置いてほしい。
「うちの子、もしかして…?」
そんな不安を抱えたときは、一度深呼吸してみよう。
育児は、間違いなく悩みの連続だけれど、ちゃんと子どもは成長する。
だから、大丈夫。
あなたは、ちゃんと良いお母さんだから。
私は、育児に悩むあなたの味方です。
今回の記事はこちらの本を参考にさせていただきました。