『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』
2017年のアメリカ・イギリス合作の歴史・恋愛映画。
監督は、ジャスティン・チャドウィック。
原作は、デボラ・モガーの「チューリップ熱」
出演は、アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、クリストフ・ヴァルツ、ホリデイ・グレインジャーなど。
今週のテーマ「チューリップの球根」を題材にした映画を探すの大変そう……
チューリップが出てきたらよしとするか。
球根が出てきたらよしとするか。
なんて考えながら調べたら、完全にありました。
『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』
おお!チューリップがフィーバーするんだな!キタコレ!ん?肖像画に秘めた愛?ナンダコレ?
っていうのがタイトル見た時の第一印象です。
そもそも、「チューリップバブル」と呼ばれる時期が1636年〜1637年にあって、チューリップの球根の価格が高騰し、最終的に暴落するという出来事があったんですねえ。まったく知らなかった。最古の金融バブルと言われているとかいないとか。
中でも、縞模様のチューリップは特に高価で、色割れ(ブレイカー)と呼ばれたそうです。コレが出ると、一気に大金持ちってなわけです。
この映画は、そんなチューリップバブル期のアムステルダムを舞台にした、史劇的大恋愛映画です。
お察しの通り、ブレイカーのチューリップが人々の人生を狂わせていきます。
まず初めに、主な登場人物を名前だけあげていきます。
こちらの方々です。
ソフィア・サンツフォールト
コルネリス・サンツフォールト
ヤン・ファン・ロース
マリア
ウィレム・ブロック
修道院長
ヨハン・デ・バイ
ソルフ
ヘリット
マテウス
これだけ見るとなんのこっちゃですよね。
横文字覚えるの苦手な方からすると、見たくもない文字列かもしれません…。
修道院長だけ名前が出てきていなかった気がするので、この並びだと1発で覚えますね。
ただ、この登場人物に説明を加えるだけで、あら不思議。この映画のストーリーが大体予測できます。
ソフィア・サンツフォールト
孤児院育ちで、コルネリス・サンツフォールトの妻になった美女。この物語の主人公。
コルネリス・サンツフォールト
ソフィアの夫で、香辛料の王と呼ばれるお金持ち。跡継ぎの息子が欲しく、ソフィアと日々子作りに励むが、なかなかできない。
ヤン・ファン・ロース
若き画家。酒を飲まず、しっかりと仕事をこなす。コルネリスから夫婦の肖像画を描いてほしいと頼まれる。
マリア
サンツフォールト家のメイド。ウィレムの恋人。ウィレムが頻繁に会いに来るので、サンツフォールト家の食事魚料理になりがち。
ウィレム・ブロック
魚の行商人。長髪でダンディな男。マリアの恋人。チューリップの球根で1発当てようとする。
修道院長
ソフィアが育った聖ウルスラ修道院の院長。聖ウルスラで昔からチューリップの栽培をしている。
ヨハン・デ・バイ
チューリップオークションでいつも高額で競り落とすお金持ち。とにかくお金持ち。
ソルフ
子供を授からせることができると噂の医師。女性に対するセクハラがすごい。
ヘリット
ヤンの助手。脚が悪く、酒呑み。
マテウス
ヤンの友人。コルネリスにヤンを紹介した人物。
どうですか?
なんとな〜くストーリー分かりましたか?
はい、そうです。
ソフィアとヤンが恋に落ちてしまうんですね。信じられないくらい愛し合います。This is the 逢瀬です。
どうですか?思った通りじゃありませんか?
で、コルネリスはどうしても子供(できれば息子)が欲しいと。毎晩ソフィアと交わっていると。けれども、いつまで経っても子供ができない。となると、予想できる展開は…
ソフィアがヤンの子供を授かる。
ではないんです。
ここは少しベタから外してきましたね。
では一体どういう展開になるのか?
ここから先はネタバレを含みますので、予めご了承ください。
この後の展開で大きく関わってくるのが、マリアとウィレムのカップルの存在です。
こちらのカップルも、ソフィアとヤンに負けないくらい熱々の大恋愛をしております。
で、お待ちかねチューリップの登場です。
劇中では、酒場でチューリップのオークションが行われています。
オークションが行われていることを知ったウィレムは1発当てるために、なけなしのお金18ギルダーで白いチューリップの球根の権利を競り落とします。
そしてウィレムは、その白いチューリップを作っている聖ウルスラ修道院にチューリップを受け取りに行きます。
そこでなんと奇跡が起きます。
購入した球根50球の中に1つだけ、ブレイカーがあったのです。そう、とんでもなく高値で取引されるやつです。真紅と白の希少種です。
さっそく競売にかけると、どんどん金額が上がっていき、最終的にデ・バイが競り落とした金額、なんと驚きの920ギルダー!ウィレムは18ギルダーで買ってますから、約51倍に。
で、ウィレムここでまさかの、自分には十分すぎる値段だ、と。800ギルダーでいい、と。残りの120ギルダーは修道院に寄付する、と。ウィレムとても良い人でした。
そしてそして、ウィレムはそのお金でマリアと一緒になることを決意します。
がしかし、思わぬ出来事が起きてしまいます。
ウィレムは大金を手にしたことをマリアに伝えに行こうとする途中、街中でマリアの上着を着た人物を見かけて追いかけます。
しかし、このマリアの上着を着た人物はマリアではなく、ソフィアだったのです。ソフィアがヤンに会いに行くために、変装としてマリアの上着をこっそり着て、ヤンの家に向かう途中だったのです。
もうお気づきですね?
ソフィアはヤンの家に着き家へ入ります。
それを見ていたウィレムは、ソフィアだと気がつかず、マリアが浮気していると思ってしまったのです。
自暴自棄になったウィレムは、酒場で女性に暴言を吐いてしまい、その女性の兄に連れていかれ、海軍へと連行されてしまいます。
マリアはそんなことが起きているとは知らず、急にいなくなったウィレムに怒っています。それもそのはず、マリアは妊娠していたのです。父親はウィレム。しかし、そのウィレムはどこかへ消えてしまった。
妊娠したことをソフィアに伝えるマリア。コルネリスが知ったらどうなるか。マリアはソフィアに私を追い出そうとするなら、こちらもあなたの不倫をバラします、と。マリアにはソフィアの不倫、筒抜けでした。
ソフィアはヤンにこのことを伝えます。マリアが私達の関係を知っていて、夫にバレてしまうかもしれない、と。
そこで、とある計画を立てます。
まず、ソフィアが妊娠したとコルネリスに伝えます。コルネリスは大喜びです。しかし、ソフィアは妊娠なんてしていません。
どういうことかと言うと、マリアが子供を産んで、その子供をコルネリスの後継ぎにさせるという計画です。
ソルフ医師も巻き込んで、巧みにコルネリスを騙して、あたかもソフィアが妊娠しているかのように振る舞います。
そして色んな人の協力もあり、無事に子供は産まれるんですが…
という展開です。
前置きが長くなってしまいましたが、こんな感じです。
これ読むと、結構映画を観た気分になるかもしれないんですけど、これに付随する出来事も見応えあります。
特に登場人物の感情が人間関係によって変化していく様がものすごく伝わってきて、観ている側の感情揺さぶってきます。
個人的見所ポイントは、コルネリスとウィレムの愛することへの真摯さ、そして紳士さですね。
その見せ方の演出もまた上手いんですよ。
真面目で好青年なヤンが、情熱的にソフィアを愛してしまい、一攫千金を狙いチューリップの球根にどっぷり浸かってしまうのに対して、最初は子供が欲しいだけに見えたコルネリスは、過去の経験からソフィアを愛することを誓っており、チューリップに関してもすぐに値が下がると目先の欲にとらわれません。ウィレムも最初はただただチャラいロン毛の兄ちゃんって印象だったんですけど、実際はマリア一筋でお金も無駄にしない、ただただ良い奴でした。
ヤンと対照的な2人がこの映画を支えている気がします。
もちろん、それもすべて、ソフィアがいてこそ生じる関係性で。
ソフィアの心情の変化も本当に素晴らしいんです。
コルネリスに対する気持ち。
ヤンに対する気持ち。
彼女の中で揺れ動く気持ちが、伝わりすぎて、伝わりすぎて、それはもう、伝わりすぎて。
最後なんて、「コルネリスーー!!」って言いたくなりますよ、きっと。
とまあ、なんだかまとまりのない文章になってしまいましたが、かなり見応えのある映画だと思います。
まだ観たことない方は是非。
チューリップ・バブルのような、知らない出来事を知ることができるのも、映画の良いところですよね。
映画って最高ですね。
以上、海上の映画noteでした。