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家業が体現していた働き方が僕自身のキャリアに繋がっている──竹元 亮太

「家業を継いでいなければ、家業はまだ関係ないこと」「サラリーマンとして働いているから、家業は関係ない」。こんな常識を一度疑ってみよう。家業と無関係に思えるキャリアや今の仕事にも、ひょっとすると家業がいきているのかもしれない。

今回インタビューするのは、デジタルアートのプラットフォーム「NEORT」を経営している竹元 亮太さん。実家は愛知県の三河で洋花の栽培をしている。一見家業と今のキャリアは全く関係ないように思えるけれど、実は彼のキャリアには家業のエッセンスがたっぷりつまっているようだ。

プロフィール
名前:竹元 亮太
年齢: 31歳
家業:愛知県で洋花の栽培
代:父親が創業者で兄が継いでいる
事業承継:継ぐ予定はないが将来的には力になれたらと思っている
現在:デジタルアートのプラットフォーム「NEORT」の代表取締役

まずは、彼の家業の話から、現在のキャリアについて聞いてみよう。

毎月学校に飾ってもらった家業のお花

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──家業はなんですか?

東京や大阪の市場に花を売る農家です。愛知県にあって、ニイノミ園芸といいます。

──小さい頃など、家業との思い出はありますか?

僕が小学生の時、新聞紙で包んだ花束を親に持たされていた記憶があります。学校に持って行って「これ飾ってください」と先生に言うのが恥ずかしかったです。先生はすごく喜んで飾ってくれましたね、今思い出しても花を作っている家ならではだなと思います。

──竹元さんはどんなお仕事をしているんですか?

「NEORT」というデジタルアートのプラットフォームを運営しています。
デジタルアートは新しいアートの形だと思っています。絵画や彫刻のような伝統的なアート作品に対して、デジタルフォーマットで作られた新しいアートのことを「デジタルアート」と呼んでいます。アニメーション作品や、センサーで人の動きに反応してビジュアルが変わるメディアアートなど、デジタルテクノロジーがアートの表現の幅を広げていくはず。そういう作品が集まるプラットフォームを作っています。

日々の生活の中で作られた"好き"のルーツ


──もともとアートがお好きなんですか?
綺麗なものやかっこいいものを見るのは好きで、自分自身が作るのも好きです。
僕はエンジニアですが、システマチックなものを作るよりも、ビジュアルが綺麗なものを作るのがもともと好きでした。キャリアを重ねるうちに、プログラミングを使って綺麗なもの、面白いものを作りたいという方向に進み現在に至ります。

──綺麗なものを見るのが昔から好きだったのは家業の影響もあるのでしょうか?
生活の中にいつもお花がありましたし、母はガーデニングが好きで花壇を作ったり自然なものを取り入れて空間を良くすることを日常的にやっていました。そのため綺麗なものや可愛いものを空間の中においておく習慣は昔からあって、その影響を受けているんだと思います。

──作ることが好きなのも影響しているのでしょうか?
そうですね。小さい頃はお花を作る仕事も手伝っていたし、庭づくりに関しても大工仕事からちょっとした手入れまで一緒にやっていました。両親は何かを作る事がすごく好きで、そういうところは自分のルーツになっているのかもしれません。

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──就職活動をしている時、面接で家業を持っていることを話しましたか?
聞かれたら話していましたが、積極的に自分からは話してないです。僕は家の仕事を継ぐという思考が1%もなかったので、自分の家業を意識して話すことはなかったですね。

──家業を継いで欲しいと家族から言われたりした事はありませんでしたか?
ありません。好きなことをやりなさいと言ってもらっていました。兄と弟の三人兄弟ですが、現在は兄が事業を継いでいます。

両親が体現していた柔軟で自由な働き方


──家業にいまの事業が影響を受けている事はありますか?
事業自体が影響しているわけではないと思うのですが「働き方」は影響を受けています。自営業だったので、両親が、僕たち子供の相手をする時間をやりくりしてメリハリつけて家族の時間を確保してくれていたのを覚えています。そういう柔軟な働き方をずっと見てきたので、今自分で仕事を始める時もそういう感覚で「自分で決めて動く」点は影響を受けているかもしれないですね。僕の両親が自由な働き方をしていたからこそ、違和感なく自分もそういう考えになったのかな。

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今まで積み上げてきたものを、これからは家業のキャリアに還元したい


──今の仕事に家業が生きていると感じたことはありますか?

あまり家業と繋げて考えたことがないです。今僕がやっているのはテクノロジーなので、今後、家業に活かせるかもしれないと考えることはあります。例えばホームページを作ってあげるなどです。家業は、今はお花を作って市場に出品するビジネスモデルですが、オンライン上でダイレクトにお客さんが買えるようなマーケットプレイスの構築もできますし、お花を作品として使うこともできます。たくさんの可能性があるなと感じています。

──竹元さんがやって来たことが家業に活かしていける、と?

いつかはそういう風にできたらいいなって思います。
田舎でITを学び始めて、テクノロジーを使うとこんなことができるというのがわかって、それがめちゃくちゃ面白いと思った原体験があるんです。ITの可能性をわかっているからこそ、今度はそれを僕が育った場所に持ち帰るのもいいなと思っています。一見、全く異なる領域ですが、僕は田舎ならではの魅力も、テクノロジーの可能性も分かるので、将来的には融合できればいいなと思います。

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