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友達と、家業を訪問し合ってみたら家業の本当が見えてきた。お茶屋とお米屋の家業クロストークをしてみて

グラフトプレナー図鑑に登場してくださった府中にあるお米屋が家業の小澤さんと、高田馬場にあるお茶屋が家業の清水さん。グラフトプレナーのイベントで出会った彼女達はお互いの父親が三代目で同世代なことや、専門店という共通点をきっかけに意気投合し、お互いのお店を訪問し合いご両親にお話しを聞いたのだそうです。一見珍しく思えるお米屋とお茶屋の家業クロストークですが、想像以上に面白かったと話すお二人にお話を聞いてきました。

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──クロストークをされたのはいつごろだったのでしょう?

小澤:2019年の7月と9月ですね。

清水:2019年の6月くらいにグラフトプレナーのイベントで小澤さんに初めてお会いしました!そこで意気投合して、まず小澤さんが高田馬場にある私のお茶屋に、その後に私が府中にある小澤さんのお米屋さんに伺いました。

小澤:私の知人でお茶屋さんなどの特殊な業態の商流を勉強したい方がいて、清水さんのお店はお茶屋さんで雑貨も扱われてらっしゃるのでお話しを聞かせてもらえないかお願いしたら、快く引き受けてくださったんです。私も同席させていただいてお話しを聞いていたら、お互いの家業には共通点が多くて話が面白くて、今度はぜひうちに寄ってくださいとお誘いしました。

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お茶屋とお米屋、専門店の共通点と工夫

──清水さんのお茶屋さんではどんなお話をされたんですか?

小澤:父同士の世代が近いことや、地域密着でお店をやっていること、おじいさんの時期からどういう苦労があって今の形になったかなどの話を聞かせていただきました。お互いお茶屋さんとお米屋さんで生き残っているのは珍しいですから。

清水:絶滅危惧種ですからね。

小澤:お互い両親が営んでいるというのも共通点でしたね、自ずと生まれる父と母の役割の違いの話とか。

清水:確かに役割分担ってありますね。

小澤:うちのお米屋さんは接客、精米は両方が、母が事務作業、父が配達を主に担当しています。

清水:私のお茶屋さんお父がお茶、母が雑貨を担当しています。

──お茶屋さんの雑貨販売はいつ始まったんですか?

清水:雑貨販売を始めたのは父の代になってからで、母の提案で始まりました。ちなみに父の提案で始まったのがカフェ。もともとカフェ好きの父がお茶屋を継ぐ事になった時、自分の好きなこともやりたいと思ってカフェを併設したみたいです。両親ともお茶だけでなく自分の好きなことを通してお店を盛り上げています。

小澤:うちのお米屋さんも物を売る以外に何かできないかなという話題になったりするのでそういったところも興味深かったですね。


初めて知る家業の歴史や業界の商流

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──清水さんが印象的だった話はありますか?

清水:小澤さんが来てくれた時、話をしていた父がこんなに店のことを話すんだって驚きました。この1年間でよく家業のことを話すようになりましたが、やっぱり娘には店の話を深いところまで話してくれないんです。でも小澤さんとご友人の方がいらっしゃった時に色々と質問をしてくださったので私も知らなかった家の歴史、商流を知ることができたのが印象に残っています。
その中で印象的だったのは、日本茶業界の商流は一般的なビジネスの感覚ではない商流を持っていること。今まで違和感がなかったことも問いかけてもらったことで当たり前じゃないことに気づく事が出来ました。

小澤:「初めて知った」ってたくさん言っていたよね。

清水:お茶屋さんを始めたきっかけもこれを機会に聞いて驚きました。曾祖父が高田馬場でお茶屋さんを開業する前は、葛飾・水元で農家をやっていたんです。でも次男だったので食いっぱぐれてしまう。そこで出稼ぎでお茶をやろうと思ったのがお茶屋さんを始めたきっかけらしいんです。水元の農家は自家菜園でお茶を栽培していたらしくて、そこからインスピレーションを得てお茶屋にしたという話を聞きました。東京でお茶を栽培していたことにも驚きましたし、おじいちゃんがそこでインスピレーションを得たという偶然も衝撃的でした。

──清水さんが小澤さんの実家に行ったときに印象に残っていることは?

清水:お父様がすごくこだわって米の農家さんを見極められているので、感銘を受けました。今実家で販売しているお茶は基本的に卸問屋さんから仕入れているのですが、これからは私が農家さんから直接お茶を仕入れられるようになりたいと思っているので、かなさんのお父さんが先にやられている事と合致したんです。どうやって農家さんを開拓したかを聞けたのがすごく良かったですね。最終的には自分の足で稼げというアドバイスをいただきました。そういう先輩の話を聞けたのが私の中ではすごく有り難かったです。これから活かしていきたいです。

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小澤:私はパッケージの話が印象に残っています。うちのお米って、私が小学校に入る前まではビニールがメインでしたが、父が私が小学生ぐらいの時にせっかく計り売りをするんだったらクラフト紙にしてお客様ごとに保管をさせていただくということを始めました。そうすればリサイクルできるしお客様も愛着を持って使ってくださるので。そのあと、2合入りのお米を販売するために小さい袋を探してて一番良かったのがお茶の袋だったみたいで。実は父は今もお茶の袋を愛用をしてるというを初めて聞きました。清水さん自身がパッケージの会社でもともと働かれていたこともあってすごく盛り上がりました。

清水:お茶の袋は外側はあまり特徴がある訳ではないですが、フィルムは物によって、最大7層構造になっていたりします。お茶は光と湿気と匂いにとても弱いのでなんとか品質を保つためにいろんなフィルムを重ねて丈夫な袋にしているんです。お米もきっと同じですよね。

小澤:そうだね。お米も湿気と光にさらしてしまうと良くないので、そのあたりを父が気に入ったみたいです。

清水:私も袋のトークで盛り上がるとは思っていなかったです、地味な知識が活きました(笑)

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家族以外からの問いや投げかけが良い刺激になる


──このクロストークをやってみて、ご両親はどんな反応でしたか?

清水:うちの父は、娘や家族以外の人が店に興味を持ってくれたこと、若い人から声をかけてもらうっていうのは頭の刺激になったって言っていました。歳だから固定観念が強すぎて、娘から何か言われるとイラッとしてしまうんだけど、別の若い人から話が聞けるとフラットに考えを相対化できると話をしていました。母も面白かったそうです、すごい緊張したらしいんですけどね(笑)。父は最初ムスッとしてて最初ヒヤヒヤしちゃいました

小澤:聞きにくい事も、あえてこういう形で聞き出してみるのは他の方にもオススメです。

──親ってあまり自分達のことを喋らないですもんね

小澤・清水:そうそう(笑)

小澤:あとは違う業種で話してると、何か一緒にできたらいいねっていう話が出るんですよね。だからこういうコミュニケーションをとると思いがけないところでコラボレーションが生まれる可能性があると思います。

清水:そうですね、楽しみです。小澤さんのお家に行ってまたお話を聞きたいですし、別のグラフトプレナーの方のお家に行ける機会があったらまたお話を聞きに行きたいです!

小澤:中学生の職業体験に似ているかもしれませんが、大人になった今は自分の仕事や家業などで問題意識があるからこそ、すごく為になる時間でした。

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