#7. 変なポストカード
今日紹介するような「型破りなポストカード」のことを総称してなんと呼ぶのだろうか?
「ギミック(gimmick)」とは少し違う気がする。
「anomaly(例外/変則/特異)」とか「unorthodox(非伝統的な/型破りな/普通でない)」と名付けるべきだろうか。
まあ、今日のところはわかりやすく、「変なポストカード」と呼ぶことにしよう。
まず1点めは、「空気を注入するポストカード」。
10年以上前に新宿のオシャレ雑貨店で買ったような気がするが、詳しくは覚えていない。
中央部分に「空気の吹き込み口」のようなものが付いている。
息を吹き込んで膨らませるということらしい。
カードにプリントされている『inflate』と、包装ビニールに貼ってあったシールの『TRICO』を検索してみたところ、Webサイトが見つかり、しかもこのポストカードは現在も販売されていた。
サイトの説明には「Inflate(インフレイト) は、数々の受賞歴を誇るロンドンに拠点を置くクリエイト集団です」とある。
知らなかった(自分の鑑識眼にご満悦)。
「これがほんとのエアメール」というダジャレを言いたいだけで作ったのか思っていたが、同じように空気で膨らませる「ランプシェード」などの商品ラインナップを見ると、クリエイターの「空気注入」へのこだわりは本気のようだ。
販売サイトの説明によると、「120円切手を貼れば、膨らませたまま郵送可能」。
そして、「暑中お見舞いとして、避暑地の涼やかな空気を届けてはいかがでしょう?」とある。……これはどうだろう。送り主の呼気が入っているわけだから。
林美沙希さんが膨らませたものなら欲しいが。
空気を吹き込むカードがあれば、液体が入っているカードもある。
これもかなり前のことなので、どこの店で買ったのかをまったく覚えていない。
透明なビニールの中に、青色の液体が密封されていた。
夏に送るには涼しげでよさそうだと思った。
しかし時を経て、水分はすべて蒸発し、現在では「液体っぽく見える」だけである。
丈夫そうな素材ではあるものの、「よくこんな商品をよく作ったな」と、その勇気に感心する。
私だったら「万が一破れてほかの郵便物を汚してしまったら大変だ」と考え、アイデアを思いついてもボツにしてしまうだろう。
ここに書かれている『BIZARR』は、ポスターやカードなどで有名なドイツの会社である。
次の「もふもふカード」もBIZARR社のものだ。
豹柄のプリントではなく、フェイクファーの実物が紙に貼り付けてある。
裏面はこんな感じ。
「PRINTED AND HANDMADE IN GERMANY」とある。
バウハウスの国ドイツで、手作業でせっせとファーを貼り付けているところを想像すると、ちょっと微笑ましい。
調べてみたところ、ほかにもフェイクファーのカードが多数作られていた。
なかには、もっと派手な色のものも。
こういった「変なポストカード」が好きだ。
難しい理屈抜きに、誰もが「おもしろいな!」と思えるパワーがあると思う。
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