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ラジオが欲しい
「ラジオが欲しい」
自分の心の中にいる「もう一人の自分」がそんなことを言いはじめた。
彼は幼い少年のようである。
私「radikoでいいじゃん、スマホもPCもあるんだから」
少年「鉱石ラジオみたいなやつ。電池がいらないから、災害のときにも役立つよ」
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私「あれはアンテナが場所を取るし、屋内には電波があまり届かないし、だめだよ」
少年「あ、これカッコいい」
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画像引用元:Amazon
私「まあ、たしかにカッコいいけど……。これは結局電池が必要だし、AMしか受信しないよ」
数ヵ月間、そんなやり取りを「内なる少年」とした結果、二人の妥協点として「小型のラジオ」を買うことに決めた。
子供の頃に父から買ってもらった小型ラジオのことを思い出していた。
赤い、シャープ社製のものだったと思う。
あんな感じの、手のひらサイズのやつがいいだろう。
今の時代はきっとUSB充電もできるのだろう。
結果として購入したのがこれである。
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モノクローム AM/FMラジオ
USB充電 乾電池 電源切替式 シルバー SAD-M726/S
画像引用元:Amazon
レビューもしておきたいと思う。
【良い点】
値段が安い
高くても良いものを買って長く使う主義だが、今回の場合は安価なもので十分だった。USB充電ができる
「micro USB typeB」のケーブルが付属していないのは残念だが、私はこれをすでに持っていたので問題なかった。アナログ表示である
できるだけシンプルな構造のものがよかったので。中国メーカー丸出しの変な社名が入っていない
「Monochrome」もどうかとは思うが、「Gelielim 」とか「Gkeni」とかいった、どう発音してよいかわからない名前よりはだいぶよい。
【悪い点】
デザイン、特に全面の透明プラスチックの角丸の具合が気持ち悪い
Microsoft Wordで描いた「吹き出し」ような、センスのない曲線。作りが雑
目盛りが周波数にきちんと合っていない。
たとえば、J-WAVEの「81.3 MHz」は「80」の目盛りの真下あるいはやや左くらいになる。
また、チューニング位置を示すオレンジの棒が傾いている。ストラップを取り外せない謎仕様
このように悪い点を書き並べるとボロクソ言っているように聞こえてしまうが、総合的には十分に満足している。
年齢のせいか、早朝に目覚めてしまうことがある。
そこで起床して活動しはじめると、なぜか体調を崩してしまうので、仕方なく布団の中で無為に横たわって過ごすことにしていた。
この無駄だった時間に、ラジオが楽しみを与えてくれるようになったことが一番ありがたい。
そしてやはり、充電して使えるのがとてもよい。
このラジオは乾電池でも使えるようになっているが、乾電池には「切れかけてきたときのストレス」、「買いに行くときの面倒」、「捨てるときの面倒」という弱点がある。
音質は、radioと比べたら相当にガビガビである。
「そういえば昔のラジオってこんなだったなあ」という感じだ。
ステレオでもないし、特にイヤホンで聴くのはしんどい。
そういうものだと思って楽しんでいる。
ラジオ局によって受信状態の良し悪しがあることも、「そういえばそういうものだったな」と思い出せば、納得できる。
私がよく聴く「J-WAVE」と「AFN(アメリカ軍放送網)」は、ここ東京都中野区ではよく受信できている。
放送休止中の「サー」という雑音だけが聞こえる時間。
試験電波の「ピー」という音や、「こちらは⚪︎⚪︎放送です。周波数⚪︎⚪︎kHz、出力⚪︎⚪︎kWで……」というアナウンス。
かすかに聞こえる韓国語の放送。
radioでは聴けないものも存在していたことを思い出させてくれた。
私の中の少年も満足してくれたようで、その後「ほかのラジオが欲しい」とは言ってこない。