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#21. 無料のポストカード(2)―バスキアの個展をタダで見た話
昨日に引き続き、無料で入手したポストカードを紹介したい。
これはアパレルショップ『A.P.C.(アー・ペー・セー)』のカードで、20数年前に代官山か新宿の店頭でもらったものだと思う。
さりげなく撮られているようでいて、妙に気になる写真だと見た瞬間に思った。
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サイズ:105 × 150 mm
採取場所:東京(日本)
採取年:2001年ごろ
詳細情報:© A.P.C./Photo: Takashi Homma
裏面のクレジットを見ると、写真はホンマタカシさんによるものだった。
ホンマさんは『第24回木村伊兵衛賞』を受賞されたり、東京造形大学大学院の客員教授をされたりしている、有名な写真家である。
当然知っていたかのような言い方をしたが、じつはこのカードに書かれた名前をネットで調べるまで、私はホンマさんのことを存じ上げなかった。
「誰の作品かわからないけど、なんだかいいなあ」と思ったものが高い評価を受けているクリエイターの手によるものだとわかったときは、「ああ、自分の見る目は間違っていなかった」とうれしくなる。
もう一点のカードは、ジャン=ミシェル・バスキアのポートレートである。
アートディレクターの柿木栄さんのアシスタントをしていた時代(1993年)に入手した。
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サイズ:150 × 105 mm
採取場所:東京(日本)
採取年:1993年
詳細情報:galerie sho/Photo by © James Van Der Zee/
Courtesy of Galerie Bruno Bischofberger, Zurich
窓から東京タワーが見える『柿木栄広告事務所』でJ-Waveを聴きながら広告の版下を作っていたとき、散歩から帰ってきた柿木さんがうれしそうな顔で「すごいのやってるよ!」と言った。
聞くと、近所のギャラリーでバスキアの絵が展示されているという。
30年前とはいえ、バスキアはその頃はもうすでに有名だった。
近所のギャラリーで無料で展示されているとはにわかに信じられなかった。
私にとってバスキアは5本の指に入るくらいに大好きなアーティストだったので、仕事もそこそこに、柿木さんと女性のデザイナーと私の3人で見に出かけた。
ギャラリーは地下1階にあり、うす暗い会場には、版画ではなく肉筆のペインティングやドローイングの作品が何点も展示販売されていた。予想していたより大きなサイズの作品もあった。
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画像引用元:Amazon
私たち以外の客がほとんどいない静かな空間で、好きなだけバスキアの絵を見ることができた。
柿木さんは「俺がいいと思ったやつが一番高かったよ。」と自身の鑑識眼の確かさを喜んでいた。
もちろん私が買えるような代物ではなかったが、前澤友作さんが買ったときの62億円とか123億円とか、そんなとてつもない値段ではなかったと思う。
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もしこのポストカードが手元に残っていなかったら、「あれはもしかして夢だったのではないか」と思うかもしれない。
トップ画像引用元:Amazon
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