#6. CDボックス(鄭秀文『去愛吧』)
これも台湾人のT君がくれたものだ。
私が食い入るように熱心に見ていたから、よほど写真の女性を気に入ったと思ったのだろう。
裏面はこんな感じ。
厚みが25 mmもあるので、最初に見たときは2枚組みのCDかと思った。
写真の美女にはたいへん失礼な言い方になってしまうが、私が見入っていたのは印刷とデザインのほうである。
特殊印刷を駆使して贅沢に作られていて、デザインも非常に優れていると思う。
外箱は『パール印刷』だろうか、見る角度によって粒子がキラキラと光る。
「鄭秀文,去爱吧。」の文字や「to Love」のロゴの輪郭線は少し盛り上がり、ツヤツヤしている。
こちらは『UV厚盛り印刷(グロス)』か。
ロゴの「去爱吧」の部分を見ると、なぜか繁体字(愛)ではなく簡体字(爱)が使われている。
さらにその「爱」だけが既成のフォントのように見えるのだが、これは意図的なデザインなのだろうか?
元デザイナーの職業病で、そんなことが気になってしまう。
オレンジ色のベタ面の部分も同じく『UV厚盛り印刷(グロス)』のようだ。
この部分にはパールのキラキラはなく、少し盛り上がっている。
文字だけが凹んでいる(厚盛りになっていない)のも、なかなか良い感じだ。
ボックスを開けると、いろいろなものが入っていて楽しい。
右はブックレットで、左はまさかのマウスパッドである。
中国語でマウスパッドのことは「滑鼠墊」というらしい。
ねずみ(マウス)を滑らせるクッション……なんだか可愛らしい。
ブックレットの本文ページでも、『UV厚盛り印刷』と思われる特殊印刷を贅沢に使っている。
写真や線描の部分だけが少し盛り上がり、光沢のある質感となっていて、マットな紙との対比が美しい。
CDの盤面のデザインも良い。
この記事を書くにあたり、初めてこの歌手について調べた。
鄭秀文さんという名前を検索すると、日本語のWikipediaページが見つかり、日本では「サミー・チェン(Sammi Cheng)」と呼ばれていることがわかった。
香港出身。中華圏芸能界で活動する女性歌手、女優。
1972年生まれなので、このCDが発売された当時の年齢は28歳くらい。
このアルバムについてのWikipediaページ(中国語版)もあった。
自動翻訳によれば、これは彼女の19枚目のアルバムだそうだ。
YouTubeには、CDの収録曲がアップされていた。
20年以上の時を経て、初めて彼女の動く姿を見た。
写真で見るよりもずっと美しく、思っていたよりも私の好みのタイプであった。
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