火薬とロケット弾
火薬が破裂し、パーンという乾いた音が公園に響き渡る。
ただそれだけのことに、なぜあれほど興じていられたのだろうか。
小学生時代の私たちは、毎日のように飽きることなく火薬で遊んでいた。
大きな音が出る玩具には、爆竹、かんしゃく玉(クラッカーボール)、ロケット花火などもあったが、一番人気は「ロケット弾」だった。
子供のころには単に「ロケット」と呼んでいたような気がするが、正式名称は「ロケット弾」あるいは「ジャンプ弾」というらしい。
まず、このような赤いシートの火薬を1つ分切り取り、ロケット弾の金属部分に挟む。
それをブロック塀などに勢いよく投げつけると、衝撃で火薬が破裂し、「パーン」と音が鳴るのである。
この火薬は、引き金を引くと音が鳴る「火薬鉄砲」でも使える。
シートではなく、ロール状に巻いてある商品もあった。
箱の注意書きには「ほぐして火薬を集めないこと」「何枚も重ねて使わないこと」と書かれているが、そう言われるとやりたくなるのが子供である。
当然、2枚、3枚と重ねて、ロケット弾に装填したりする。
それでも飽き足らなくなり、シートを重ね折りし、コンクリートの土台に置き、大きな石でガツンと叩いたりもする。
音も火花も桁違いなので、周りで見守っていた子供たちも大興奮である。
もう長いこと、この火薬の音を聞いてこないように思う。
スマホ世代の子供たちはこんな原始的な遊びを楽しいとは思わないのだろうか。
「近所迷惑」とか「危ない」とかいった理由で廃れていったのだとしたら、それは寂しいことだ。
トップ画像引用元:芳栄堂
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