宮坂久美子さん(ミスDJ)
宮坂久美子さんのことをここに書いていいものなのか、しばらく悩んだ。
おそらく、彼女はもう長いこと表舞台に立つような仕事はしていないと思う。今どんな暮らしをしていて、「ミスDJ」だった頃のことをどう思っているのか、ご家族がこの記事を読んだらどう思うのだろうかなど、私には何もわからないのだ。
それでも書こうと思ったのは、年齢を重ねるとともに少しずつではあるが確実に、自分の記憶が失われていっていることを感じているからにほかならない。
死ぬときにすべてを失うのは仕方ないが、生きているうちに美しい思い出を忘れきってしまうのは、あまりに寂しい気がした。
まだ覚えているうちに記録して、できれば同じ思い出を共有している人たちにも読んでもらいたいと思った。
高校時代に最も人気があったラジオ番組のひとつが、文化放送の『ミスDJリクエストパレード』だった。
のちに芸能界で活躍されるようになった千倉真理さん、川島なお美さん、向井亜紀さん、斉藤慶子さんなどもこの番組でDJをしていて、学習院大学の学生だった宮坂久美子さんは水曜日を担当していた。
久美子さんの声は、今の私が好きな林美沙希さんや片山美紀さんのような低く落ち着いた感じとは違い、なにかキュンキュンと弾むような、甘くかわいらしい、思春期の少年をたまらない気持ちさせるものだった。
いかにも女子大生らしい長い髪、大人びた顔立ち、すらっと伸びた長い手足。
「男子高校生が憧れるお姉さん」を絵に描いたような人だった。
私は水曜日の『ミスDJリクエストパレード』にせっせとハガキを書いて送り、久美子さんは常連リスナーである私の名前を覚えてくれていた。
「出た、XX君!」と名前を呼ばれると、ラジオの前で飛び上がってよろこんだ。
当時の文化放送は四谷(東京都新宿区)にあり、そこへ差し入れのプレゼントを届けに行ったこともある。
高校生のすることなので、今思えばセンスのない恥ずかしい贈り物だったと思うが、久美子さんはそれに対してわざわざ直筆の手紙を送ってくれた。
私はその手紙を何度も封筒から取り出しては読み返し、ときにはベッドの中でいっしょに寝たりもした。
しかし、今はもうその手紙は残っていない。
自殺未遂をする前に、死後に人から見られたくないものをすべて処分してしまったのだ。
これにはほんとうに後悔しかない。
数年前に、YouTubeに『ミスDJリクエストパレード(水曜日)』の音声がアップされているのを見つけた。
テーマ曲、ジングル、そしてあのくすぐったい声を聴いたら、10代だった自分に一瞬でタイムスリップした。
高校時代の私の中にいつも久美子さんの声が響いていたことに、今ごろになって気付かされた。
現在はその動画は削除されてしまったが、録音状態のあまり良くない別のものは見つかった。
この記事を書くにあたってネット上で画像を探してたとき、久美子さんが出ている「雑誌の切り抜き」を販売している古書店を見つけた。
これは天からのプレゼントと思ってすぐに注文し、今届くのを待っているところだ。
ビキニ姿の写真なので、このページに載せるかどうかは追って検討したいと思う(もったいないので、自分だけの宝物にしようかと思っている)。
トップ画像引用元:@Takepon41
追記(2024年2月12日)
久美子さんが出ている「雑誌の切り抜き」が届いた。
自分だけの宝物にしようかとも思ったが、この喜びをみなさん共有することにした。
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