幻の駄菓子「ラメッツ」
テレビ番組の『懐かしの駄菓子特集』で決して紹介されることのない駄菓子。
それが『ラメッツ』である。
あまりにも話題にならないので、「あれは自分の記憶が作り上げた架空の駄菓子だったのではないか」と疑いたくなるほどだが、ネットで検索してみると、同じように思っている人が存在することがわかる。
私の母校『中野区立桃園第三小学校(現・桃花小学校)』では、ラメッツは1位、2位を争う人気の駄菓子だった。
学校近くにある駄菓子屋『ともだ(友田)』の前でたむろする子供たちの手には、いつもラメッツがあった。
ラメッツは2袋で10円だった。
1袋5円で売ってくれることはなく、なぜか2袋をセットで買う決まりになっていた。
安さとともに、単純においしいということが人気の理由だったと思う。
サッポロ一番の麺を粉々に砕いたような感じを想像してほしい。
競合商品の『ラメック』は1袋で10円だった。
同じ10円なのに1つしか手に入らないこと、麺の表面に醤油のような色がついていて味も少しクドいことから、ラメッツの人気には及ばなかった。
『ベビースターラーメン』は1袋で20円だった。
内容量が少し多いとはいえ、もはや貴族の食べ物である。
私も友達もこれはほとんど食べなかったし、食べたいとも思わなかった。
あれほど子供たちを熱狂させたにもかかわらず、ラメッツの画像はネット上でまったく見つからない。
私は自分の記憶をもとに、ラメッツの絵を描いてみることにした。
パッケージ(パリっとしたビニール袋)は名刺くらいの大きさで、無色透明。中身(粉々のインスタントラーメン)が見えていた。
インキは赤の1色で、商品名の「ラメッツ」と、ラーメン丼の縁に描かれているような模様(雷紋/らいもん)が印刷されていたと思う。
書体がどんなふうであったのか、さすがに50年前の子供時代にはまったく意識していなかった。
もっといえば、縦書きであったか横書きであったかも定かではない。
ラメックの画像に影響されて、横書きだったような気がしていたが、『Yahoo!知恵袋』で「縦書きだった」という証言をしている人がいたので、今回は縦書きで作成した。
こんな感じである。
この画像を見たことで、みなさんの脳に「誤った記憶」を上書きしてしまったとしたら、ほんとうに申し訳ないと思う。
ただラメッツのことを忘れてほしくない、という一心である。
50年前の子供たちの「ラメッツ愛」が、元製造者の方に届きますように。
追記(2024年1月23日)
X(Twitter)で「ラメッツ」を検索したところ「龍の絵が…」という投稿が見つかった。
ああ、龍! あったかもしれない!
しかし、どんな龍なのか、何匹なのか、どんなレイアウトだったのかは、まったく思い出せない。
取り急ぎ龍を配置したバージョンを作ったので、ここに公開しておく。
(もっと線が細いものだったような気もしている。)
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