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台湾の「からすみ」
台湾人のT君は手土産に「ピーナッツクッキー」だけでなく、「からすみ」もくれた。
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中国の墨「唐墨」に形が似ているから「からすみ」と呼ばれるが、中国語では「烏魚子」というらしい。
「烏魚」とはボラ(鯔魚)のことである。
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食べ物をくれるときはいつも、T君はその調理方法や食べ方についてとても熱く語る。
「からすみ」の食べ方は、おすすめ順に以下のとおりだという。
1位:リンゴのスライスといっしょに食べる
2位:ニンニクのスライス(またはニンニクの芽)といっしょに食べる
3位:焼いた餅といっしょに食べる(海苔や醤油は不要)
4位:大根のスライス(または大根の漬物)といっしょに食べる
餅は正月に買った1キロ入りのものをようやく食べ切ったばかりだから、ここでまた新たに1袋を買うのはしんどい。
生のニンニクは、食べた後の臭いがたいへんなことになりそうだ。
リンゴと大根はちょうど家にあるから、まずはこれを試してみることにしよう。
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私は「パイナップルの入った酢豚」や「生ハムメロン」のようなものにまったく抵抗がない。
「リンゴ+からすみ」もそういった感覚の組み合わせで、とても美味しい。
リンゴの大きさを変えてみたら、味わいも変わった。
上の写真よりも少し大きめに切ったほうが「からすみ」の塩味とのバランスがよさそうだ。
「しょっぱいもの+果物」が苦手な人は、大根のほうがいいだろう。
「からすみ」のしょっぱさを大根がやわらげてくれる感じである。
なにもつけずにそのままでも食べてみた。
結局、これがいちばん美味しいような気がした。
T君の父親はよく、「からすみ」をかじりながらウィスキーを飲んでいたそうだ。
これは間違いない。抜群に合うことだろう。
長崎の「からすみ」の場合、私は軽く火であぶってお茶漬けにするのが好きだ。
T君は「いやいや、この台湾のからすみは焼かないで」と強く否定したが、彼には内緒でフライパンで焼いてみた。
やはり、焼いたものもおいしかった。
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