岡田有希子さんの命日に
38年前の今日、1986年4月8日、岡田有希子さんは18歳で自ら命を絶った。
全国コンサート『Heart Jack』が始まってわずか3日目のことだった。
私は彼女のファンで、レコードやカセットテープや写真集を持っていた。
握手会に行き、そのやわらかな手に触れさせてもらったこともある。
それなのに、あの悲しい出来事を思い出すと苦しくなるという理由で、彼女の歌を聴くことがなくなってしまった。
1月に『岡田有希子さんのAIボイス』という記事を書いたのを機に、頻繁に彼女のことを思い出すようになった。
そして、レコードや写真集をすべて処分してしまったことを悔いた。
なんて薄情なファンなんだろう。
ごめんな、有希子さん。
何か有希子さんのものを手元に置いておきたい。
そう思い、先日ネットを探していたら、見覚えのある写真集が目に留まった。
かつて自分が持っていたものと同じものだった。
迷うことなく即座に注文した。
届いた写真集を開くと、見覚えのある写真の数々が目に飛び込んできた。
穴があくほど何度も見ていたはずの写真なのに、すっかり忘れていた。
これを買わなければ、生涯思い出すことはなかったと思う。
この笑顔。
まぶしい水着姿。
有希子さんの字。
そうだ、こんな字だった。
「悲しい」とか「苦しい」というような胸の痛みはもうない。
ただただ、懐かしい。
本のコンディションは驚くほど良かった。
約40年の年月を経て、更紙のページこそかなり変色しているが、カラーページは「数年前に印刷されたものだ」と言われてもわからないくらいだ。
さらに、いわゆる「本の開きぐせ」がまったくついていない。
大切に扱われてきた本なのだろうと想像する。
このきれいな本が私のもとに届くように、有希子さんが取り計らってくれたようにも思える。
有希子さんが生きていた時代に印刷された写真集。
ネットでダウンロードしてきた写真とは、やはりその「重み」がまったく違う。
「取り戻した」と思った。
何を取り戻したのかは、自分でもよくわからない。
ただ、いろいろなものを失っていくばかりだった近年、そして、これからもいろいろなものを失っていくばかりだと思っていた人生。
そんな中でも「取り戻せるもの」があることを知った。
トップ画像引用元:YouTube/yukko forever