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「もどかしい世界」

生まれたてのbugたちの
電子音に導かれ、
世界は新たな音を重ねて
ぼくらの前を素知らぬ顔で
過ぎて行く。

バンドは無意識下に
傷んだヒトビトの住む
この「もどかしい世界」に
ダイナミックなパワーコードを
畳み掛けて押し寄せる現実を
手なずけようと試みる。
今にも壊れてしまいそうな
はかない世界」を
邪悪で野蛮なものから
遠ざけるかのように
ザックリと刻み込む
迷いのないギターソロ。

ヒトのサガを言葉に置き換える。
コヨーテバンドになってからの楽曲では
言葉の載せ方が絶妙に深化してる

奇をてらった言葉じゃないけど
ポップ音楽では聞きなれない
言葉や言い回し。

辻褄つじつま 
羨むうらやむ 
貶めるおとしめる 
もどかしい 愛しいと思う理由
行きたいと思う道

緻密なサウンドの中、
言葉はラフにグルーヴする。

慌ただしい朝のラッシュ時
似たものどうしがすれ違う
駅のコンコース。
この新しい楽曲「銀の月」が
耳元でずっと流れてる。
生まれたてのbugたちの電子音は
今朝も無邪気に漂うけれど、
バンドは新たな音を重ねて歩いて行く。

そして、
陽は暮れて疲れ果てた帰り道。
満月に照らされた銀色の住宅地。
覚えたての「銀の月」を
マスクの中でくちずさみながら、
君は朝が来る前にくぐり抜けるための
新しい窓を探しに行く。

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