文系のための大学院進学準備 その2 スケジュールをたてよう
【大学院入試に向けた準備】
1、基本的な仕組みを理解しよう(その1)
2、スケジュールをたてよう(今回)
3、研究室の情報を集めよう
4、研究室や指導してほしい教員に連絡してみよう
5、試験対策を始めよう
6、本業の研究は怠らずに
7、さあ、試験本番
※「文系のための大学院進学準備 その1」の続きです。
今回は「大学院準備 その2」ということで、大学院入試に向けたスケジュール設定について書いてみたいと思います。
前回同様、基礎の基礎からお話ししますので、「もう知ってるよ!」という方はそっと閉じて研究や受験勉強に打ち込んでください。
①大学院入試の時期を確認する
前回(「その1」を参照)お話ししたように、大学院試験は基本的には2回あります。
1,「前期(夏季)試験(9、10月ごろ)」
2,「後期(冬季)試験(1、2月ごろ)」
いずれも受験年は、大学四年生の年度です。
後期試験しか受験しないとなると、進路未決定のまま年を越して、3月の卒業間近まで不安に苛まれることになります。
学部の入学試験を例に考えると、一学部でも「一般試験」「センター利用」のように何度も試験を受けられたりもしますよね。
大学院の場合は基本前期、後期それぞれ一回ずつです。
定員は前期・後期ごとにわかれているよりは、「前期・後期合わせて○人」といった募集が多い印象です。その場合、大学学部入試と同じく 「前期
のほうがメインで、後期は残り人数で合格を出す」場合が多いようです。
大学によっては、後期(冬季)試験のみの場合もあります(文学研究科でいうと、東京大学や京都大学など)。
※(余談)
ちなみに、「博士課程(博士後期課程)」の試験は、「冬季試験」の「年に一回のみ」です。前期(夏季)試験はありません。
②出願時期を忘れないように
出願時期に関しては、これまで高校や大学学部の入試を経てきた方にはよくわかっていると思います。基本的には試験の1~2か月前が相場といえるでしょう。
しかも、願書受付期間が1週間くらいしかないなど、事前準備も必要になってきます。
具体的に試験の日程を確認しつつ、出願時期を見てみましょう。
先ほど紹介した「前期(夏季)試験」と「後期(冬季)試験」にわけてみてみましょう。
・前期試験の出願期間例(北海道大学大学院文学院)
まずは、「前期(夏季)試験」です。
ここでは事例として北海道大学大学院 文学院をみてみます。試験日程は以下のとおりです。
※2023年度入学者募集要項を参考にしています。
出願期間は「2022年7月21日から28日」になっています。約一ヶ月前くらいが願書の締め切りですね。
大学生にとっては、期末試験や夏休み直前くらいの時期でしょうか。
基本的にはこのように1~2か月前の願書締め切りが主だと思います。私立大学などによっては、数週間前まで受け付けている例もあります。
・後期試験の出願期間例(京都大学文学研究科)
つぎに「後期(冬季)試験」です。
おそらく、他大学よりも少々厳しめな試験を課している京都大学大学院文学研究科を例に見てみます。
試験日程は以下の通りです。
この試験の願書出願期間は「2022年12月13日(火)から12月19日(月)」です。試験の約二か月前くらいには提出する必要があります。
今回事例に出した京都大学の場合は、受験者が執筆した「論文」(主に卒業論文)も出願時に提出が求められます。これは「口頭試問」において、その研究成果をチェックされるからです。京都大学の場合は、「論文」別日程の締め切りが設けられています。
「論文」は「2023年1月4日(水)から1月6日(金) 」が締め切りです。
この日程の違いは、おそらく世間一般の大学の卒論締め切りが年末~1月頭くらいであることを考慮しているのでしょう。ある程度完成した卒論を提出してほしいという思いがあるのだと思います。
・少々特殊な大学院試験の形態
京都大学文学研究科の場合は、一次試験、二次試験と分けて合格者を発表しています。一次試験は「語学試験」もありますから、こうした点での足切りがあるのでしょう。
ただ、他の大学院ではこのように試験を分けることなく1日間、もしくは連続した2日間にわたって全試験を行う場合が多いように思われます。
③卒論のスケジュールとの兼ね合い
大学院試験ももちろん試験ですから、語学や専門科目の試験対策を行う必要があります。他にも、出願時に「研究計画書」や「論文」、「論文要旨」を提出する必要もあります。
・大学院入試の出願期間、試験日を全てメモしておく
まず、大学院ごとに試験日程は異なります。先に挙げた京都大学のように、冬季試験しかない場合は「卒業論文提出後、すぐに大学院試験」というスケジュールに陥ります。
まずは、「手帳」や「スマホのスケジュール帳」を用意します。
次に、興味のある大学院の日程を調べてみましょう。なければ、自分の大学の大学院を例に調べてみましょう。
試験日程が前期、後期とあるのか、定員の振り分けは前後期でどうなっているかの基本情報を踏まえた後に「出願日程」「試験日程」をスケジュール帳に全て書き出していきましょう。複数の大学院を考えている場合も、全て書き出しましょう。
・卒業論文の締め切りと受験勉強の並立スケジュールを考える
次に、卒業論文です。基本的には大学4年次の1年間をかけて仕上げていくものになります。
概ね、大学卒業論文の締め切りは12月末~1月ごろくらい。
すると、大学院の後期(冬季)試験と日程がほぼ被ることとなります。
先に紹介した京都大学大学院のように、冬季試験しかない大学院の場合は、「卒論と試験勉強の同時並行」を求められることとなります。
受験一か月前、二か月前から大学院受験勉強だけできれば良いのですが、大学院でも研究を続けたい人の場合、卒業論文も一生懸命最後までミスなく整えたい衝動に駆られることでしょう。
それに卒論指導も、夏を過ぎて秋〜冬に書けて本格的になっていきます。何より、締め切りが近づかないとやる気が出ない人もいるでしょう。
ここで重要なことはスケジュール感です。卒業論文を書くうえでもある程度持ち合わせていなければならないことですね。
まずは、大学院入試の情報を早く手に入れつつ、卒論が忙しくなる前の時期には、試験対策をスタートさせておくことが重要です。
・専門科目も大事だが、語学はもっと大事
大学院入試の試験内容は「語学科目」「専門科目」「口頭試問」が基本になります。
各分野の「専門科目」試験の対策知識は、そもそも卒業論文を書く段階である程度身についているはずです。そうでなければ、再復習として概説書を読み直してみましょう。その分野に関連した広範な知識が求められます。
それ以上に大事なのは、「語学試験」です。これは修士課程に限らず、研究にあたっての資料読解や博士課程入学試験でも必要となってくるなど、語学は切っても切り離せない課題です。
「語学」(例として英語)といえば大学では必修。とはいえ「学部1、2年生の頃に単位を取りきってしまって、それ以来勉強していない」という方も多いのではないでしょうか。
私の経験でいうと、数年ぶりに入試対策で語学を勉強し始めると、思った以上に「忘れている」ことが多いものです。
note「文系のための大学院進学準備 その1」でも書きましたが、語学科目は足切りが発生する場合があります。早めに対策を始めていても問題ないと思います。
特に、「前期(夏季)試験」の場合は学年が4年次にあがるとすぐにやってきます。
例えば、就職活動と並行して大学院入試を考えている場合3、4月の多忙な時期から間隔がありません。
スケジュール感というよりは、「一刻も早く語学科目の学習を始めておくべき!」ということはおすすめしておきます。
・最後に
今回はここまでとなります。
どうしても、大学院によって入試の時期や内容が異なる分、スケジュール編成も個別で考えていく必要があります。
今回のnoteも、少々抽象的な内容になってしまいました。詳しくは個別にご質問ください。
お読みいただき、ありがとうございました。
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