文系のための大学院進学準備 その4 試験対策をしよう!
こんにちは。
「文系のための大学院進学準備」も「その4」まで続いてきました。
大学院試験の、それぞれの試験対策や準備(特に語学)について、私の経験談を書いておきたいと思います。
【大学院入試に向けた準備】
1、基本的な仕組みを理解しよう
2、スケジュールをたてよう
3、研究室の情報を集めよう
4、研究室や指導してほしい教員に連絡してみよう
5、試験対策を始めよう(今回)
6、本業の研究は怠らずに
7、さあ、試験本番
まず、試験の概要です。これは「その1」で書いた通りですので、そちらを参照してください(文系のための大学院進学準備(1) 大学院入試の仕組みを理解しよう|文系大学院生のアーニャbot|note)
試験に関しては、①「専門科目試験」②「語学試験」③「口頭試問」の3種類が主なところです。①、③は専攻分野や研究室毎に独自問題が出題されます。対して②の「語学試験」は研究科毎に実施、採点されることもあるようです。
・①「専門科目試験」②「語学試験」に共通の対策
対策といっても、正攻法として考えられるのは「過去問」を読むくらいでしょうか。
過去問に関しては、大学によって公開してくれているところもあります。以下は大阪大学文学研究科の例です。
入学試験の過去問題 - 大阪大学文学部 (osaka-u.ac.jp)
他にも、ネット公開に限らず、大学教務課にて「閲覧」可能という大学もあります。この場合は、メモを取ることは可能な例が多いですから、メモをとっておきましょう
※必ずしも自分が受ける大学に限らず、他大学の同分野の試験問題も参考になりますから、「自分の受けたい大学は公開してない!」と嘆かずに、複数の大学の試験問題をチェックしておくことには意味はあります。
・現役生の先輩から情報を得る
これは裏技かもしれませんが、重要な方法です。どこまで教えてくれるかはわかりませんが、試験問題の形式や「対策にどんな本を読んだか」等を教えてもらえるだけでありがたいものです。
先輩との知合い方はそれぞれで、学会に顔を出してみたり、SNSの繋がりだったり、様々な手段を用いてみてよいと思います。
①「専門科目試験」対策
これは分野ごとに内容はそれぞれです。先述の通り、専攻分野や研究室が独自の問題を作成することが殆どだと思いますし、試験内容もそれぞれの専門分野に分かれます。
形式は「記述式」です。
内容は、専門分野に関する問題ですから、大学院進学をしたい人にとっては基本的に「解けて当たり前」といえるかもしれません。
対策としては、その分野の概説書をしっかり読みこんでおくことが何より一番です。また、人文学系の場合は史料読解なども含まれることがありますから、そうした能力も持っておく必要があるでしょう。法学の場合は、事例の解釈や判例の記憶といった学部時代の試験対策に似た準備が必要です。
基本的には、記述式の試験ですから、「学部時代に受けたテストやレポート課題が記述式で出題される」ようなものだと思っていたら良いかもしれません。
たまに、試験問題の中に「自分の研究テーマを説明して研究上の意義を書け」といった問題があったりします。研究計画書や志望理由もある程度、暗記して説明できる必要もあるかもしれません。
※自分の研究計画や志望理由は、「口頭試問」でも問われますから、暗記して自分の言葉で説明できるようになっておきましょう。
②「語学試験」対策
語学試験(特に英語)を念頭に書いておきます。
基本は英語の長文読解です。
内容は、「一部分の翻訳」や、ある単語を「文章に則して説明せよ」など、「英語を読解して、日本語で答える」問題形式が多い印象があります。
すると、必要なものは「単語力」と「英文法読解力」です。特に、文法力は徹底的に鍛えておけ!と、大学院生の先輩から口酸っぱく忠告された思い出があります。
ちなみに先輩からおすすめされたのは、『英文解釈の技術100』という本でした。「入門」編、「基礎」編もあるので、全て繰り返し対策しました。
大学受験スーパーゼミ 徹底攻略 英文解釈の技術100[CD付新装改訂版] (大学受験スーパーゼミ徹底攻略) | 杉野 隆, 桑原 信淑 |本 | 通販 | Amazon
他に、英単語は『キクタン』をやった記憶があります。
※以下、私の「語学試験」対策の体験談
ー中学英語の総復習から、大学院試験へー
私は中学生の頃から英語が苦手でした。高校受験も、大学受験も、英語が足を引っ張ってきました。包み隠さず言えば、高校時代の模試で偏差値50を超えたことがありませんでした。つまり、平均点以下を取り続けていたということです。
大学院試験で久しぶりに英語に取り組むことになったわけです。
私の受験は以下の通り
つまり、12月、1月の卒論提出後に大学院試験を受けることになったわけです。研究に集中しすぎていた私は、卒論を書き終わった段階で試験勉強をしていませんでした。
つまり、語学能力は大学受験時のまま。それも数年前ですから、より落ちていたでしょう。
試しに解いてみた第一志望大学院の語学試験(英語の長文)は、一切理解できませんでした。
活用したのは「スタディサプリ」と、先に挙げた英文法書。大学院試験対策ではなく、「復習」から始めなくてはいけませんでした。
「つまづいている所」「わからない所」まで遡って学習しよう!と思ったのはよかったものの、さかのぼってゆくと、中学英語の英文法から少々怪しいことに気が付きます。
※この段階で、試験(大学4年の1月末)まで1ヶ月
全くおすすめしませんが、ここからはほとんど寝ずに学習をはじめました。スタディサプリの動画授業で「中学校総復習」の科目から履修して、英単語帳、英文法書も休みなく続けました。
1日3時間睡眠でも人間の集中力は結構大したもので、1ヶ月の間に中学英語の総復習から、大学受験の英語長文が読めるようになっていきました。
ただ、注意してほしいことが一点あります。
私の場合、「専門科目試験」対策はもとから準備していましたから、語学対策に労力の95%を割けました。「口頭試問」はそもそもあまり対策できるものでもないので、直前に、質問予想に対する考えをまとめてワードに書き出した程度です。
つまり運良く、語学以外の科目は準備が進んでいたから「なんとかなった」だけ。
さすがに、人におすすめするような「成功体験」とは言えません。
学部の4年間を通して、語学の学習は続けておくことを強くおすすめします。
③口頭試問
これは前にnote「その1」で書いたとおりです。
特に答えられるようにしておきたいのは
卒論での研究内容とその意義
修士課程での研究計画と、その研究分野としての意義
つまり、自分の研究について、「先行研究にはどのようなものがあるか」「学説としてどのようなものがあるか」「自分の研究の独自性は何か」「どのようなことが導き出せるか(たか)」などなど、研究については口頭でも説明できるようになっておく必要があります。
その他の質問内容は、簡単にまとめると以下の通りです。
・「なぜ大学院進学なのか」
・(他大学からの進学の場合)「なぜ、うちの大学院に入りたいのか」
・「修了後の進路予定は?」
といった、一般的な質問から
・「自分の卒論の研究について説明してください」
・「大学院での研究計画、スケジュールについて説明してください」
・「その研究の学問上の意義を説明してください」
といった、研究計画やこれまでの研究に関する説明を求められたりします。
さらに、
・あなたの研究分野である〇〇について、△△という説がある。この説を説明してみてください。
・あなたが研究しようとしている〇〇は、××という観点からはどのように評価できますか?
といった、研究の側面からの質問などもあります。
まとめ
個人的な体験をまとめると、専門科目試験は「卒論執筆の段階である程度知識が頭に詰め込まれている」し、口頭試問は「ある程度の対策はできるが、何か月も前から準備するものでもない」と思います。
対して、語学試験は「事前に準備しておこう!」と強くおすすめしたいと思います。
どの分野の大学院入試でも基本的には外国語の試験は必須ですから、卒論執筆の段階でも外国語文献を用いる方に限らず、大学院進学を検討している皆さんは語学対策は重要です。
またこれは推測ですが、研究室毎に採点する専門科目試験、口頭試問は、教員たちの「救済」が効きます。対して、語学試験は研究科などで共通の採点を行うことから、「救済」が効かず、結果として「足切り」科目になることがあります。
次に書きますが、大学院で重要視されるのは「研究計画書」や「卒業論文」での研究能力だったりします。その点で、試験問題は全て「足切り」でしかないかもしれません。
次回予告 「研究計画書」「卒論」
これらは次回書きますが、2年間の研究計画書に関しても、口頭試問などで話題になります。出願時には提出が必須の場合が殆どです。
何より、筆記試験以上に「入学した後、何をやりたいか。その計画は立っているのか」ということですから、試験結果よりも指導教員たちにとっては気になるところではあります。
また、「卒業論文」も、試験においては提出を求められることもありますし、その場合これらも審査対象になります。これは自分自身の研究能力の証明にもなるものです。
これら2つは、実質的な「足切り」でしかない筆記試験よりも大事なポイントじゃないかと思います。
これらは次回「文系のための大学院進学準備 その5」にて書きたいと思います。
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