「大学院で学歴ロンダリング?」

 こんにちは。
 今回は、大学院進学とはちょっと異なるお話をさせてください。
 先日、私の質問箱にこのようなご質問が届きました。

「無名大学→東大院文系って就職良いと思いますか?」

 「無名大学から、東京大学大学院(文系)に進学すると、就職には有利なのか」というご質問でした。

 このご質問は、学部生さんなのか、もしくは一般の方なのかわかりませんが、ある意味「学歴ロンダリング」を念頭においたご質問なのではないかと思います。

出身校よりも高いレベルの大学院に進学し、最終学歴をよくすることを、「学歴ロンダリング」と呼ぶ人がいます。就職活動の際に、学歴によってはじかれる可能性を心配して行われる手法です。正式に定義されている言葉ではありませんが、通称として広まっています。

Indeedキャリアガイド編集部「学歴ロンダリングとは?就活での見られ方も紹介」
(https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/what-is-educational-background-laundering

 「学歴ロンダリング」と一般に言葉が広まっているように、ネット上で検索すれば、就活サイトなどでこれらを扱うページも散見されます。
 さて、冒頭のご質問に戻れば、「無名大学→東京大学大学院」へと進学すれば、「中退」であれ「修了」であれ、「最終学歴 東京大学大学院」と書くことは可能になります。

 では、それが就職に有利なのか。
 単純な答えを言えば「有利」ではあると思います。
 ただ、それは「最終学歴が東大だから」というよりは、「東大大学院に合格、修了するできるために必要な能力が身についていること」が、就活を有 利に働かせると考えます。

 大学院における入学試験は、筆記試験(専門・語学)、卒業論文、研究計画書などがあります。
 このうち、東京大学大学院の試験をみてみると、「2科目の語学科目受験が必須」となっている専攻分野が結構あります。

「令和5(2023)年度 東京大学大学院人文社会系研究科 修士課程学生募集要項」(https://www.l.u-tokyo.ac.jp/assets/files/HP/bosyuyoukou2023M.pdf)

 大学院試験の語学力は、一般的な大学入試よりも高いものを求められます。
 具体的に言えば、他言語で執筆された学術論文を読解できる程度のものです。それを2言語分受験して、突破する必要があります。

 ここで思うのは、
それだけの能力があるなら、東大大学院の最終学歴なくても就職できるのでは?
そもそも『無名大学』に在学していないのではないだろうか?(編入で他大学に進学しても良いのでは)
ということです。

・学部時代の留学の方がよい?

これは単純で、学部生時代に語学力をもとに諸外国の大学に留学したほうが、「海外有名大学に留学経験あり」「語学力あり(留学にはある程度のスコアが必要なので)」という履歴書を書けるのではないでしょうか。

・MBAなどの資格ならいい?

 とはいえ、大学院に進学しないと得られないものもあります。
MBA(経営学修士)のような肩書を得たいのであれば、大学院に進学する意味はあります。
 ただ、このように、大学院進学によって得られる学位や資格が「東京大学でないといけない」「東京大学がその分野において、日本で一番定評がある」かどうかはまちまちです。

・大学院進学を「就職のため」とみるか「研究のため」と捉えるか

 最後に言いたいことは、大学院を「研究をするところ」と考えるのか「就職までの期間を延長するため」と捉えるのかでは、大きく異なると思います。
 いずれにしても大学院は研究をするところなので、単純に就職での肩書云々で、学部時代までの「勉強」の延長戦として大学院を考えると痛い目に合うとは思います。
 特に、学部時代の卒業論文が「苦痛だった」「卒論は嫌だ」と思う方は、少なくとも、就職浪人のために大学院で過ごすことはおすすめしません。
 大学院では、2年間の間に卒論の延長戦をずっと戦うことになります。

 もちろん、「無名大学が理由で就職に詰んでしまった」ならば、それを打開するために進学もありだとは思います。
 しかし、ただ学部生として「就職に失敗した」「就職を有利にしたい」という意味での進学は、おすすめしません。
 できれば、学部での留年や留学を挟むような選択のほうが、苦労はないのではないかと思います。


 今回は短いですが、ここまでとしたいと思います。
 「学歴ロンダリング」云々に関しては、ネットでもたくさん情報がでてきますから、それらをご参考にしていただけたらと思います。



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