文系のための大学院進学準備 その3 「研究室・教員訪問」

 【大学院入試に向けた準備】
1、基本的な仕組みを理解しよう(その1)
2、スケジュールをたてよう(その2)
3、研究室の情報を集めよう(今回)
4、研究室や指導してほしい教員に連絡してみよう (今回)
5、試験対策を始めよう
6、本業の研究は怠らずに
7、さあ、試験本番


 こんにちは。
 今回は「大学院進学準備 その3」ということで、大学院の研究室訪問や教員訪問について書いてみたいと思います。

 ネットで調べると「大学院入試は研究室訪問が命!」なんていう記事も出てきます。参考になるサイトは他にも一杯あるので、私の記事もついでに読んでみてください。
 特に「他大学の大学院に進学したい」という方向けのお話になるかと思いますので、そうした方向けです。
 いずれにしても、ケースバイケースでその対応や仕組みは大学、研究室、教員の先生方それぞれで異なりますので、あくまで「私の経験談」としてお読みください。


・研究室、教員訪問とは
・時期はいつ頃がよいのか?
・どのように連絡すればよいのか?
・どのような話をしたらよいか?準備は?
・そもそも入学希望者向けイベントがあったりもする

・研究室、教員訪問とは

 まず、「研究室訪問」「教員訪問」とは何かということです。
 例えば、現在所属している大学の学部とは、異なる大学の大学院へ進学しようとします。すると、大学も変われば、指導教員も変わります。ゼミの仕組みや研究室の雰囲気なんかも異なりますよね。
 そこで、「実際に他大学院を訪問して、指導を希望する教員の方とお話したり、研究室の見学をさせてもらったりすること」がこれにあたります。
 
 学生側にとっては、自分の研究したいテーマや希望を、指導を希望する教員に相談したりすることで、入試時や入学後のミスマッチを防ぐことができます。また他大学のゼミや研究室の雰囲気や人数、先輩がどのような研究を行っているか、就職先等も知ることができる機会にもなります。
 教員側にとっても、試験よりも前の段階で、試験の面接よりも時間をとって、学生の人柄や、どのような研究をしたいのかを聞く機会にもなります。そこでは、「私は指導できない」とか「別な大学の方が…」とかえってアドバイスをされることもあるでしょう。いずれにしても、試験を受けるより先に知っておいたほうがよいことではあります。

 ※ただし、これら教員との面談は必須ではありません。

「出願に際して教員とのコンタクトは不要です。」

2023年度京都大学大学院文学研究科修士課程学生募集要項

 このように、募集要項にも書かれているように、必ずしも事前に連絡や面談をしなければ受験できないわけでは全くありません。そこは注意が必要です。

・時期はいつ頃がよいのか?

 訪問時期は特に決まっているわけではありません。ただ、基本は卒論のテーマが固まった大学3年次の終わり~4年次に行くのが一般的かと思われます。
 例えば8、9月の「前期(夏季)入試」受験を考えている場合は、その前の春休み~6、7月など、相手の先生方も忙しくなさそうな時期(2,3月のレポートや試験採点時期、学期初めは避ける等)を考えつつ連絡をとってみましょう。
 私は6月、7月ごろに連絡をして訪ねてみました。


・どのように連絡すればよいのか

 連絡方法ですが、これも様々です。
 私が経験した訪問は3種類ありました。
 ①教員が公開しているアドレスに直接メールする
 ②研究室で「見学希望はこちら」と書かれている情報に則って連絡する
 ③どうしても連絡先が見当たらない教員の場合

 まずは①です。指導を希望する教員の名前でネット検索すると、大学のホームページや教員紹介、研究者紹介のページなどがヒットします。ほかに、大学院〇〇学研究科の中にある、ゼミや研究室の個別のホームページが出てくる例もあります。
 大抵の教員はそこにメールアドレスを載せておられる場合が多いですので、ここにメールを送ります。
 というと単純なのですが、当然緊張しますよね。
 メールの文面作成は他のサイトを調べればたくさん出てきますので省略しておきます。
 簡潔に「〇〇大学の者です」「△△というテーマで研究していて、大学院進学を検討している」「先生にご相談したい」といった形で連絡を送ってみることがベストでしょう。ゼミの見学もしてみたい、とか伝えておくのも良いかもしれません。(※当日どのような話をするのかは後述します

 私の経験上は、日程調整をしてくれた上で、どの教員の方もお会いしてくれました。
 ②は親切な例です。大学院〇〇学研究科の中にある、ゼミや研究室の個別のホームページに「見学希望の場合はここに連絡を」と書いてある例です。
 これも①と仕組みは同じで、教員に対してメールを送るだけですが、見学希望者を受け入れる準備がある分、少々親切です。
 私の経験で言えば、教員との面談後に当日のゼミに見学者として同席させてくれたりしました。

③どうしても連絡先が見当たらない教員の場合
 ちなみに、大学ホームページはおろか、SNSもなくてどこにも連絡先が掲載されていなかった教員がいました。この場合は「〇〇大学〇〇学部〇〇学科 △△様」で大学の学部学科宛てに、名刺と手紙を送りました。
 手紙をご覧になったその教員からは電話をいただいて、無事に進路相談をすることができました。

・どのような話をしたらよいか?準備は?

 では、具体的に「どのようなお話をするか」です。
 あくまで私の体験談を書いてみたいと思います。

 まず訪ねる前の準備ですが、私は教員の論文はあまり読んでいませんでした(読んだ方がよいとは思います)。それは、私の研究内容は、研究室や専攻内では合致してますが、教員とは必ずしも合致していなかったからです。
 何よりやっておくべきことは、「どのような研究をしてみたいのか」を話せることです。
 教員にとっても、訪ねてくるこの学生がどのような研究をしてみたいのか、それを指導できるのか、を考えたりする機会になります。
 何より、試験と違って、学生の側から訪問しているわけですから、受け身ではなく、こちらからの質問や相談、聞いてみたいことを準備しておくとよいでしょう。

 私の場合は、外部からの進学ですから「外部からの進学者数」「卒業後の進路」など、研究室ホームページにもあまり詳しく書いていなかった点について聞いてみたいと思っていました。

 さて、実際に訪問してみます。
 そこでの会話は、大学院での口頭試問で聞かれる内容に少し似ているような気がします。(以下複数の研究室訪問の経験をまとめて書き出しています)

 教員からの質問は、
「出身はどこか?」
「大学ではどんな研究をしているのか?」
「うち以外にも進学を考えているのか?」
「現在在学している大学の大学院じゃない理由は?」
「卒論の進捗はどうか?」
「うちの研究室について質問はあるか?」

また、教員からは質問はされませんでしたが、先に書いた通り
「自分が、どのような研究を考えているか」
については、しっかりと話しました。
①先行研究にどのようなものがあるか
②ここから、どのような研究ができると考えているか
③修論で、最終的に目指す目標は
などなど。

 他に「研究室の体制(教授・准教授など)」についての説明があったり、「修士進学後の進路は?」といった質問もありました。
 これらは、殆ど大学院入試における口頭試問で聞かれる内容にも被ってきます。実際に私の受験の際には、「研究室来てくれた時にも聞いたけど~」と口頭試問が始まったのは懐かしい思い出です。結果として試験にもプラスにはたらいたんだろうと思います。

 また、たまに試験に関しての情報をくれる方もいます。もちろん試験問題は教えてくれませんが、参考書として何を読んでおくとよい、とか。
 それに、相手も大学教授である前に研究者ですから、研究分野に関する質問もぶつけてみるのも面白いかもしれません。進路相談に限らず、現在の研究や考えていることについて相談にのってくれた教員もいました。これは、研究分野について、実際に知識をもっておくことが必須です。

 ただし、ここで大事なことは「教員の人柄による」ということです。誰しも、上記のように親切であるかはわかりませんし、かなりぶっきらぼうに対応されたこともありました。もちろん、外部からの進学に消極的な教員もいるかもしれません。

・そもそも入学希望者向けイベントがあったりもする

 ここで、例外もあることを紹介しておきます。
 研究室訪問をして、試験の実施内容などを直接尋ねるということを先に紹介してきました。しかし、「大学院入試説明会」などを実施している大学院では例外も見受けられます。
 以下は東京大学大学院人文社会学研究科の例です。

なお、どの専門分野あるいは独立専攻に関しても、この説明会以外では、試験の実施内容に関する問い合わせを受け付けることはできません。また、当日の説明会場でも質問の内容によってはお答えできないこともあることをご承知おきください。

東京大学「令和5(2023)年度 大学院人文社会系研究科 冬季入試説明会日程」
https://www.l.u-tokyo.ac.jp/graduateschool/briefing2023winter.html

 東京大学の同研究科では、この入試説明会以外の場で「試験の実施内容に関する問い合わせを受け付けることはできない」という決まりになっているようです(事例は2022年開催)。ですから、個別に研究室や教員を訪問したとして、お話はできても試験のヒントをくれる可能性は無いということもあります。
 もちろん、入試説明会を開いてくれる大学院だけではないですし、説明会や個別相談では時間が限られます。実際に時間をとってもらって、お話ができるに越したことはないと考えます。


 長くなりましたが、今回はここまでとしたいと思います。
 急いで書いたので、少々粗いところが多くてすみません。今後追記していきます。




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