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猫・ケーキ

ある言語とある言語の間に、文化的・言語的つながりは全くないにもかかわらず、同音異義語が存在することがある。
例えば日本語の「アホ」、スペイン語では ajo と書いてアホと読みニンニクのことを指す。スペイン語で vaca は「バカ」と発音し牛を指す。sopa de ajo y vaca ソパ デ アホ イ バカ と言ったらニンニクと牛肉のスープ料理だ。


似たような言葉は他の言語にもある。先ほどは同音異義語の例を出したが、同音同義語と言っても差し支えない単語も存在する。
例えば、日本語の「ああ、そう」は日常会話でよく使われるが、ドイツ語のAch so も「ああ、そう」である。発音はよく聴けば「アーゾウ」と聞こえるものの、日本人が「ああ、そう」と言ってしまっても理解してもらえる程度に似ている。


スペイン語レッスンで、日本人の先生が私に尋ねた。

クリスマスに何か用意するものはありますか、例えば食べ物とか飾りとか何か特別なもの。

私はクリスマス限定のケーキを頭に思い浮かべながら、

ガトー

と言った。
先生はガトー…と繰り返したが、その顔には?が浮かんでいた。

はたと気がついた。
ガトー(gâteau )はケーキや焼き菓子を指すフランス語である。つまりガトーショコラ(gâteau au chocolat)と呼ばれるものはチョコレートケーキを指す。
一方、スペイン語でガトー、正しくはガト(gato)と言うが、その意味は猫である。
つまり私がもしスペインにいて、「クリスマスに用意したものはガトーです」と言ったら、スペイン人は「そうか、日本ではクリスマスに猫を用意するのか」と思うかもしれない。

… そんなわけはない …

いやしかし、世界は広いのだ。猫を食べる目的でなく、クリスマスにお迎えする習慣があるとか、クリスマスと猫には何かの関連があると考える文化があるとか、想像力たくましい人は何かしら思うかもしれない。


もちろん我が家でクリスマスに猫を迎えする習慣はない。

世界には、きっとこんなふうに同音異義語がたくさんあるに違いない。
偶然にしては面白すぎる。


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