bayfm月曜「9の音粋」2022年音粋隊新春放談を書いてみた-3

→2から続く

スー) アツく語っておりますが選曲リストだけ見るとフツーのラジオ番組ですね。
ミ・太) アハハハハハハ
スー) 9の音粋でございます。
△リスナー(冬来たりなば春唐辛子さん)←「上手い!」からのメールです。
《紅白藤井風クンを見て黙っていられなくなりました。とにかくあの才能をこの日本でよくもまあ潰さずに来られたということに驚いている》ということでございます。
これ何かというと藤井風という特異な才能が、日本の音楽環境の中で潰される日の目を見ないということがあったかもしれないけど、よくぞあそこまで育ってくれたという。親目線のメールですね。
ミ) 藤井風さんは12歳の頃からYouTubeに動画アップしてた。
スー) 親父がねえ、これからはYouTubeだって言ってアップしろとけしかけたらしい。
ミ) そこが正しいですよね。強制されずに済んだ。この時代なんだからこうしろって一切強制されずに済んだ結果、10年後に出て来たのが今の藤井風さん。
太) デビューした時がコロナとリンクしているんで、レコード会社もこの人を売り出さないと、って他のメディアと協力して売り出したところはありますよね。日産スタジアム一人でやったのもそうですよね。
スー「寝そべり紅白」も少し見ましたけど、寝ながら弾くキーボードとか、あれねクラッシックのトレーニングとは違う弾き方。僕ね「鍵盤に指がまとわりつく感じがした」って書いたんですけど、とにかくずーっと弾いていた人のプレイですね。いやホント特異な才能を育てていただいてありがとう、って感じです。楽しい番組にしたいんですけど、ミラッキさんがさっきから怒ってるんですよ。喝!喝!って言ってるんですよ。ミラッキさん何を怒っているんですか?
ミ) 怒っているんですよ怒ってはいるんですけど(笑)このままでいいのかなっていうのがあるんですよ。
スー) はい。ここからは真面目にやりますよ。
ミ) ラジオと音楽ということに関して。9の音粋月曜日ではまあ新しい曲をかける割合は多くなくて、あの頃の歌あの頃の背景があったから、という解説を楽しんでくれてる方が多いとは思うんですけど。
今ラジオ業界全体を見回した時に、新曲がいっぱいかかるラジオ番組がどれだけあるのか。正直少なくないかと。9の音粋はいいよ、新曲はかけない番組だものと言い切ってしまってもいいんですけど、じゃ他であるならいいよと。無くないかと。若いDJ若いディレクター選曲の番組が無くていいの?って。10年くらい思ってるって話です。
太) あー。
スー) 僕ら若い頃ってラジオから新しい音楽、新曲を聞いたもんだ。ヒットチャート番組はあったし、確かによく考えたら最近FMを含めてそういう番組が無くなって来てるかもしれませんね。
ミ) そうなんですよ。それでなにか例えば藤井風さんがいいぞとなったら、横並びで藤井風さん…
スー) いきなりね。
ミ)そう。いきなり。プライドとかないのかなっていつも思っちゃいます。藤井風さんもいいんですが、って言ってウチはこのアーティストを推しますということをやらない限り、昔あったのはラジオからヒット曲が生まれる、ラジオから火がついて全国に波及してきました。もうそんなものはラジオにそんな力がないんだよって言われたらそれまでなんですけど、いやいや。やっていかないといけなくない?と思うところがあるんです。
スー) ラジオ番組をたくさん持ってらっしゃって、いろんなラジオ局も行ってらっしゃるでしょうが、やっぱり全体にそういう空気って無いものなんですか?
ミ)そうですね。どうしてもこの季節なんでこの曲かけましょう、ていうのが同じ放送局の中で別の番組でかぶっちゃう。
スー) それー言っていいのかな、さっき言ってた甲斐バンド「安奈」問題?
ミ)(笑)クリスマスの時期にね。「安奈」が時間ズレてかかったりとか。同じ放送局の中で。
スー)(笑)同じ放送局の中で?2回かかった?
ミ) まあ、時間離れてるし、片方は生放送で片方はそうじゃないとかいろいろあるんですけど、にしても、かぶっちゃいかんと思うんです。それはチェックミスとかじゃなくて、どちらかの番組が若い人、別の世代に向けて選曲しないといけなくないのかな。
スー) 啓蒙という言葉は最近あまり上品な言い方じゃないとされていますが。選曲する人もしくはDJがある意思とか考えを持って、ま、9の音粋はそういう番組だと思うんですけど、確かにそういう意気込みの番組が無くなって来てるかもしれませんね。                    ミ)そうなんですよ。ゲーム音楽が紅白で流れた話をしましたが、ホントだったらゲーム音楽とかボーカロイドの曲がもっとラジオで流れないと。ウチの子どもなんかラジオ聞いてもわかんない曲が流れてる。わかんない曲を我々がどうにか楽しい曲だと言葉を尽くさないといけないんですけど、言葉を尽くしても我々オジサンなので、20代のDJがいまの10代に伝わる言葉、感覚で語りかけなきゃいけないんだけど。20代DJが曲を選んでかけてる番組が今ラジオ業界どれだけありますか。それで若者が聞いてないだ、若者が増えていかない、どうやったら増えて行くんだって話をしてるけど、簡単な話じゃないか。と。20代DJの9の音粋がひと曜日あってもホントはいい。それで僕はわかんないオジサンとしてその場にいたいんです。スージーさんに対する私のように50代半ばの人が語るあの頃の音楽に対して、40前後の「ベストテンのハイポーズってなんですか?」ていう自分がいる。同じように20代前半くらいの「水曜どうでしょう」出だした頃の大泉洋さんみたいな人がいて、男性でも女性でもいいんですが、いろいろアツく語って、こっちの40のオジサンはわからないという番組が無い限り、ラジオは新しい曲はかからない、オジサン達が懐かしいって言ってるそういうメディアだよね。たまに最新の曲が流れてると思ったらTickTokで流行っているのでかけました。みたいな理由でいいのか。
太) あ~。
スー)ディスクジョッキーの原義はディスク=レコードをかけるジョッキー=騎手なんですよね。だから自分が意識的にどの曲を選ぶかどう説明するのかDJが全権委任さていて、他のDJがやらないような紹介をするというのを、僕は昔糸居五郎の本で読んだんです。
こうしましょう。各人の選曲ポリシーを聞きましょう。
僕は年寄なのでさっきの話と逆ですけど。スージー鈴木=マニアックだと言われがちなんですけど、わりと意識的に9の音粋では、メジャーな、あれでも(笑)メジャーな曲をかけてるつもりです。ただマイナーな曲だったらこれこれこういう理由でこの音楽は聴く価値があるんだよ、郷ひろみ「恋の弱み」って言ったり、もしくは逆にめっちゃみんな知ってる曲でも例えば「安奈」でもコード進行がこうで、とかこういう視点で聴くともっとおもしろいよとかね。メジャーな曲の別の側面とか、マイナーな曲の場合はメジャーな根拠っていうのを説明することによってバランスとりながらなんです。
基本的にミラッキさんの言ってることはまさしくそうで、ただ僕は逆に若者のマニア指向「オレこんなん知ってんだよ」競争には絶対コミットしたくないと思っていて。
ミ) なるほどなるほど。若者が陥りがちなことですね。我々も若い時は知識がどれだけあるかの競争になりがちだったと思います。それはもう、若干目をつぶってでもいいのかなと思って。
スー) あのね若者はやってもいいです。若き日のアレとして。勉強になるから。ただね、今サブスクとかなんとかで情報を簡単に知り得るので、その競争はわりと不毛かなとも思います。
ミ) そうですね。
スー) 少なくともさっき言った理由で私はマニアックって言われがちですけど、割とメジャー指向?でもないかな、そういうDJだと思ってます。
ミ) じゃ僕と太郎さんの選曲ポリシーは1曲挟んで話しますが、まさに知識自慢はうんざりだという歌詞が出て来る歌を私選んでいます。
スー) あーいい曲だなあ
♪YO-KING 「審美銃(しんびがん)」
△リスナー(ゆうなさん?ようなさん?)Twitter スー)過去曲を掘り直すだけの番組は増えたけど、定番だからオンエアしました。詳しいことは知らんけど、みたいな感がある》と書いています。
ミ) あーーーまさに。
太) まさにそうです。
スー) まさにそうですよね。
ミ)みんなが知ってるこの5分間の曲をかけていれば、5分間は変えずにラジオ聞いてくれるでしょう、ぐらいの感じでかかっている音楽が多すぎないか、っていう。もちろんそういう力が抜ける時間があってもいいんですけど。無いといけなくて。24時間ずっとラジオやってる放送局って。全部が力入ってろとは思わないけど、高カロリーなあまりにも圧が強くて聞くだけで疲れちゃうなという番組ばかりだとダメなんですけど。
スー)太郎さんは選曲ポリシーは考えたことはありますか?
ミ)教えて下さい。
太) 僕あまり言ったことないんですけど。隠してるわけではないんで(笑)日本初のクイズルーム・ソーダライトという専門店でイントロクイズをずっと出題してるんです。水曜9の音粋はイントロクイズの出題もあるんです。その時の初級中級上級って、そこでの出題の感覚でやっているので。この曲は凄くヒットした有名な曲だけど、イントロだけ聞いたらあんまりみんな知らないみたいな、というのはあえて中級にしたりしてます。
ミ) なるほど。曲のメジャー度でなくて。
太)そうですね。曲の知名度を加味しつつ、これも初めて言うんですけど、僕は地元なんでbayfmをずっと聞いて育ったんです。僕が中高の時に聴いていたbayfmの感じ、この曲がかかってこの曲を知ったみたいな僕の中での気分をちょっと意識してミックスしてるんですね。さっきのスージーさんのメジャーな曲をかけるようにしているというのと一緒で、それを自分色に…
スー) bayfmらしさ
太) そうbayfmらしさ、それは僕の中でですけど。あとは知名度っていうのは、さっきの「安奈」はクリスマスにかけたらみんなが知ってる曲だよね、というのを知っている上で、でもこの曲もそうだよねっていうのは、毎月の出題のノウハウがあるんで。「安奈」いけるなら「安奈」という選択肢もあるんならこっちも行こうかな「僕だけのメリークリスマス」長渕剛でもいいんじゃないいうのを考えて、選曲してますね。
スー)ミラッキさんどうですか?
ミ) 私はスージーさんの言ったことの言い換えになるんですが、ほぼ同じことを思ってるんだなって先ほど聞いてたんですが。私は新曲を旧譜のように旧譜を新曲のように紹介する。
スー) 新曲を旧譜のように旧譜を新曲のように…あーはいはいはいはい。
ミ) 我々の中で旧譜って思ってる昔の定番の曲も、リアルタイムの人でもそのバンドその曲避けてたわ聞いてないわという人もいるわけで。全く旧譜じゃなくて今回初めて聞くようになるし、若い人にとっては新曲なんですよ。昔発売されている新曲なんですよ。だから今それを聞いてこういう感覚が呼び起こされるかもしれませんよ、っていう新曲のように紹介する。逆についこの間出た新曲はいろんな歴史があってこの曲が2022年に出たんですよ、って紹介することでまるで旧譜のように聞こえてくる。昔からあった曲。ていうか昔があったから、今回の曲ができたんだ。急にポッと出て来た新しい曲じゃない、って言うのを伝えようと思って選曲してます。
スー)Twitter(のっしいさん)で
《DJというのは選曲家としての矜持、「矜持」いい言葉ですね。を持っていないとアカンと思います。》
昔、選曲家連盟っていうのがあって桑原茂一さんていうのがいたんですね。
選曲家っていうものの矜持かな、我々が今言ってることはね。
あの、スノッブになるといけないと思うんですよ。僕が言いたいのは繰り返しになりますけど、こんな曲俺は知ってるんだぞ偉いだろ持ってるんだコレクターだぞっていうのは、もうほとんど有効になってない。みんなサブスクで聴いてるから。知識競争っていうのがいよいよ無効化している時。
個人的にこの番組で緊張するのは、この前のガレージGSとかスパイダースとか、説明いるだろうな、っていうね。ただどうしてもね。
あと歴史観みたいなのがあって、これは僕に特化するかもしれないけど、歴史を知ってる身として多分リスナーも含めて皆さん私より年下の人が多いと思うんで。やっぱりかまやつひろしや加藤和彦の功績っていうのをね、ついついムッシュはおちゃらけた人とか、加藤和彦スノッブな人とか言われる中で、なんとか歴史的知識を総動員してこの曲がすごいんですよというのを歴史に残したい、私寿命短いんで(笑)
太)いやいや(笑)
ミ)先に話しとかないと。
スー)そうそうそれはありますね。それが私の選曲の矜持かもしれません。
ミ)わかります。曲を選ぶ時の恐怖ってとってもわかりますよ。こういう流れだからこの曲を選んでいるんだけれど、もしかしたらTwitterのタイムラインもスッと止まるかもしれない。メールの反応も無くなるかもしれない。
スー)何回か止めましたね。我々ね。ハハハハハ
ミ)まあまあ去年の今頃ステップナーゲイシャガールズっていうコントをかけた時ですけど。
スー)タモリ3かな ハハハハハ
ミ)あれはコントなんで別なんですけど、曲にしてもあるわけで。怖いなって思いながらも、これはかけなきゃいけないんだって言い聞かせてきちんと言葉を尽くしてかけないとな、と思っています。
スー) でも奇跡だと思うのはね。今ずっとTwitter見ていて我々話してるじゃないですか。でも本当に知識面での揚げ足取りとかそういう下卑た競争に誰もしないじゃないですか。リスナーが。Twitter量、めっちゃ多いでしょ。最近特にね。
太)トレンド2位とかですよ。
スー)でもそういう人がいないっていうのが、パラダイスだなと思います。
ミ)パラダイスですし、新しい時代なんじゃないですかね。
スー)あ~
ミ)知識競争ってのはもういいんじゃないかって。我々もだし、聞いている皆さんも思って既にそのパラダイムで喋ってるんじゃないかなと。
スー)我々若い頃とか80年代ホントに先輩に「これも聞いてないのか」って怒られたんですよ。「ピンクフロイド聞いてないのか」って。聞いてねえよ!って思いながらね。
太)「聞いてないのか」って言うその時間すらもうサブスクで聞くよバカって思いますよね。
スー)今ここで聞きますよ。ピンクフロイドって。(笑)         太) それは思います。
ミ) あともう曲の数が「聞いてんのか」時代と比べたら膨大になってるので、旧譜もそうだし新曲も膨大な数生まれてるし、そして聞けるようになってる手が届くようになっているということで、もう全部聞けてる人なんているわけがない。
スー) 話戻すと、今ここで選曲の矜持って言葉がありましたけど、今のラジオ界にはそういう矜持そういう選曲が無くなって来てるということですね。
ミ) そうですね。全部が全部そうであるとは思わないですけど、そういう番組が核としてポンポンとあったら、選曲がかぶってもまたかかってもこんな聞き方あるんだっていうラジオの楽しさが倍増する。
スー) 子どもの頃サウンドストリートがあって山下達郎がいて佐野元春がいて大阪ではマーキー谷口、今でもいますけど、非常にそういうこと教えてくれる。確かに今DJ不在の時代なのかな。
ミ) そうかもしれないです。
△Twitter(くるくる寿司リターンさん)で《bayfm日曜深夜にやっていた邦楽系の番組「ネオストリーム」あれはとても良かったです》とつぶやいているんですけど、私もその番組聞いて知ったミュージシャン多い。僕もなんとなく夜中に聞いていただけですけど。ただ深夜に追いやられちゃうのはどうかと思っていて。新曲がかかる若者向けの番組。深夜が若者の時間だよっていうのも正直もう、いつの話だよっていうところがある。なんで部活が終わった帰り道に聴けるラジオ番組ふっと聞ける番組が無いのっていうところもあったりしますが。そんなネオストリームで私が知ったユニットの曲が流れます。そして私の思ってることをこのユニットが歌ってくれています。
♪ONIGAWARA I don’t wanna die
スー)「ノスタルジックのその先へ」
ミ)そうです。ONIGAWARAというユニット自体が結構過去の名曲のパロディとか、岡村靖幸大好きだったりして、これ岡村ちゃんじゃんとか嵐が歌ってそうな曲を一杯作っているんですけど、この曲で決意表明してるんですよね。『ノスタルジックのその先へ僕はもう行かなくちゃ』ラジオ業界も「ノスタルジックのその先へ」という気持ちがないといけないんじゃないかと。たまに思い出すからいいんじゃん。たまに開くから卒業アルバムって楽しいんじゃん、って思うんですけど。
スー)いや…いい話すんなぁ ハハハハハ
太)(笑)ノスタルジックのその先ですね。
スー)でもついこの間ずっと1988年だったらいいのにって言いましたけど。
太・ミ) アハハハハハハハ
スー)あれ、ノスタルジーじゃないですからね。
太) 真逆の方向に進んでますけど。
スー)(ノスタルジーの)ふりをしてますけど。
ミ)あれを、毎週やってるわけじゃないんですよ。我々。たまに来るワンクールに一度くらい来るのがちょうどいいんじゃないの。ワンクールに一度って季節に一度ってことですから。
スー)「もうすぐクリスマスイブですね。じゃこの曲ですよね。甲斐バンド「安奈」」っていうのを一緒のステーションで。(笑)
ミ)よーし!今年の年末かけるぞ「安奈」を(笑)
スー)逆にやりたいのは、フツーのラジオ番組をやりたいんですよ。そういう感じの。(笑)                          ミ)だからフツーってなんですかって話なんだけど(笑)よく言うね、スージーさんが。
スー)これを契機にですね、今日はネタバレっぽいところはありますけど、こんな感じで3人が選曲しているってことをお見知りおきしていただいて。
最後は軽く楽しく聴かせ初めということで、単に好きな曲をかけようじゃないかと。
太)ハハハハハあ、そんな感じだったんですね。
スー)あ、あなたの1位か。
太)私の1位がリンクしている話を。
スー)わかりましたよろしくお願いします。じゃあと30分頑張りましょう。
《   C M   》

→4に続く



 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?