’22,8,29号音粋ヒストリアvol.3-「若松宗雄インタビューEp.4」
《’22,8,29音粋ヒストリアvol.3若松宗雄インタビュー》
⇐【EP.3から続き】
【EP.4 時代へ進む・箱根カフェ】
スー)歴史的に意義のある、ちょっと大袈裟に言うとね、番組をやってる、インタビューをしたな、という自負もありますね。貴重な話ですよね。ここからはミラッキさんパートになりますが、どんな事を質問したんですか。
ミ)プロデューサー論ていう所から、新しい音楽の形、これからの音楽はどうすれば面白いんモノが生まれるのかというヒントを若松さんに頂けないかと、聞いてみました。
スー)はいはい、先週の「納涼放談」に共通するんですけど、何となく薄っすら、プロデューサー、プレイヤー、DJとかシンガーじゃなくって、何かもっと今こういう時代でもヒットを作り続けるようなプロデューサーという存在が、全体的に消失してるかもしれないという問題意識がちょっとあるのかもしれません。今回の話も「辛口」とか「開放感」とかに加えてプロデューサー論がありますよね。
ミ)ありますよね。そもそも最初からプロデューサーになりたいという人がどれだけいるのかとか。
スー)広い意味のプロデューサーっていうのは、こういうコンテンツ制作だけじゃなくってビジネス全体をプロデュースする人はたくさんいると思ってます。じゃあそういう人が今こういう時代に於いて、時代をリードし続けるようなものをプロデュースし続ける為には、どういう事が必要か的な、本質論をミラッキさんに聞いてもらいました。
☆インタビュー
スー)ミラッキさん、何かご質問ありますか?
ミ)若松さんは外の景色、南太平洋とか、憧れみたいなモノを松田聖子さんの作品にフィードバックしていたように思うんです。でも今、憧れる先が見つからない時代になっちゃってるんじゃないかなと。憧れを持ち辛い中で、作品を作り出していくヒントを何か頂きたいのですが。
若)私は、憧れっていうのは、進んだ結果、そうかこれが憧れなんだな、だと思うのね。で、今一番足んないのはね、決めつけ。
スー)決めつけ。
若)ええ、とにかく決めつけて、それでそれを継続する。だから世の中みんなね、いろんな事いろいろやってんだけど、背筋が見えないじゃないですか。
スー)芯の通った所が。
若)芯の通った所が。やっぱり独断の考え方が結構あるんだけど、その独断が跳ねのけられる時代なんですよ。今の時代が。だからせっかくバーッと出そうと思ってもバッシング受けるから進み切れないのね。だからここ、進めばいいのよ。進んだって、ケガは無いから。
スー)同調圧力、忖度じゃなくって。
若)だからこれ以上進んだら、ケガが3倍4倍になるんじゃないかなと思うんだけど、絶対なんない。却ってケガは薄くなる。
ミ)ああ、行った方がいい…。
若)行った方がいい。行けばそこにはね、希望とか夢とかいろいろ出て来んですよ。
ミ)これは、音楽以外も、ラジオ業界もそうですね。まさに。
スー)ラジオ業界も。それはもしかしたらね、「辛口」という所かもしれません。我々のラジオ、まだ甘口かもしれませんけどね。ありがとうございます。最後に今後のご活動のお知らせを。YouTube「若松宗雄チャンネル」。私も登録しました、どんな内容ですか?
若)これは、くだらない事言ってんだよねえ。
スー)ハハハ。昨日はお掃除、整理整頓が大事ってお話されてました。
若)そう、日々ね、やっぱり自分も反省しながら生きてるじゃないですか。反省しながら生きてるっては、私とっても好きで。反省するってのは、自分の素直な気持ち。素直な気持ちであれば、反省もするし、人の言う事も全部聞き入れるしあんまり否定はしないし。まず受け入れるし、ってね。YouTubeやる時にいろいろあるけど、素直でいたいなっていうのが一番の真ん中にある訳ですよ。
スー)それがYouTubeの中で表明されてると。
若)うん、だからそこなんだけど、立派な事言ってるようだけど、喋ってる事は大した事じゃないフフッ。
スー)いやいやいや、今聞いてる方々が登録しますんで。あと、箱根にスイッチバックカフェというカフェを運営してらっしゃる。
若)そう、これはねえ、自慢じゃないけど、素晴らしいんですよ。
スー)喫茶店?カフェ?
若)カフェです。カフェでねえ、風が吹いてて、とっても気分がいいです。
スー)いい場所なんですね。
若)箱根には登山鉄道っていうのがあってね。
スー)ありますあります。
若)箱根湯本から強羅までスイッチバックしながら上がって行くんですけど、その3回目のスイッチバックのちょうど角に、私の旅館があるんです。
スー)旅館はなんて言うお名前ですか?
若)箱根上の湯(かみのゆ)。その箱根上の湯の1階を去年全部改修してカフェにしたんです。なぜかって言うと、ほとんどあんまり1階は使ってなかったんですね。でも1階の目の前、1メートルぐらいを電車が上がって行くんですよ。ちょうどスイッチバックしてロケーション的に最高なのね。で前から、こんなにイイとこにあんのに全然1階が活用できてないじゃない、って言われてたんです。で去年思い切って9月に全部修復してオープンしたんですね。だからいろんなテレビの撮影とかいろんな所で取り上げてもらってて、おかげさんで非常に好評を頂いております。
スー)もう、みんな行きますよ、これ聞いて頂いてる方々が。ハッハッハッハ。
若)海抜がね大体350-60メートルだし、箱根だと山だから海が見えないんですね。でも私ん所は山が開けてるから、相模湾が見えてその先に房総半島が見える。だから風通しが凄く良くて、で敏感な方が「ここは”気“がいいね”気“がいいね」ってしょっ中来てます。
スー)あ、”気“ね。
若)そう、だからそういう場所のような気がするね。
ミ)いいですね。
スー)本当にありがとうございました。最後になりますが、多分リスナーの多くは松田聖子の音楽を聞いて「松田聖子の誕生」を読んでるかもしれませんけど、松田聖子の世界にとらわれた松田聖子ファンのリスナーに、一言メッセージを残して頂ければと思います。
若)ま、いろいろと私の本にも書いてありますけど、聖子も今年デビュー42年ですかね。やはりだんだん歳も重ねて来てる訳だから、歌の方向性って言うのかそういう事も含めて、人間愛と平和ですよね、世の中の。世界のですかね。そういうメッセージを大袈裟じゃなくて、さり気なく、うん、大袈裟になっちゃうとわざとらしくなっちゃうから。やっぱり自分が感じて自分の言葉でこういう風に歌ってんですよっていうね、そういうさりげないメッセージを発信して行って欲しいなと思いますね。
スー)松田聖子さんにはね。
若)それから、支えてくれてるファンの方々も、何につけても一生懸命だから、ひたむきな一生懸命さを引き続き見守って、ファンとして応援して頂けたら、嬉しく思います。
スー)ありがとうございました。新潮新書・若松宗雄著「松田聖子の誕生」是非、みなさんご一読下さい。できればスージー鈴木「桑田佳祐論」と合わせて買うとご利益があるとも言われています。
ミ)ハハハハハッ。
スー)今日は本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
ミ)ありがとうございました。
若)ありがとうございました。
☆スタジオ
スー)以上でございます。ミラッキさんどうでしたか。
ミ)はい。決めつけ、独断、で進めばいいと。
スー)フフフフッ。
ミ)でもケガは無いよという話。プロデュース論、面白いですね。
スー)アメリカの音楽業界では2種類プロデューサーがあって、エグゼクティブプロデューサーっていう、金勘定、とにかく儲かる事を考えるエグゼクティブプロデューサーと、サウンドプロデューサー、誰をギター弾かしてどうこう、っていう。両方持った方っていうのが、たまさかこの音粋ヒストリアVol.1,2,3に来て頂いた(※1朝妻一郎2村井邦彦3若松宗雄 筆者note過去回書き起こし参照)。それも日本最高水準の方々。
ミ)曲作りができて、という。
スー)このエグゼクティブとサウンドの両方というのが、我々を触発する何かがあるんじゃないかと感じましたね。じゃあ、最後はミラッキさんと私で、松田聖子1曲ずつ選びましょうか。ミラッキさん選曲はどうでしょうか。
ミ)はい。話題にも出て来ましたが、細野晴臣さんは松田聖子さんに8曲書いてるのかな。最初がアルバム「Candy」『ブルージュの鐘』という曲。もう1曲「Candy」に入ってる『黄色いカーディガン』って言う曲の歌詞に「HAPPY END」って出て来るんです。で、大瀧詠一さんもこのアルバムに参加していて(鈴木)茂さんも参加していたので、これではっぴいえんどが揃ったよという。
♪松田聖子『黄色いカーディガン』
スー)ハッ、「HAPPY END」ありましたね、歌詞に。
ミ)ロックですよね、松田聖子さん。だから日本語ロックをはっぴいえんどが取り組んでいたっていう話ありますけど、松田聖子が完成形じゃないかと思うくらい。
スー)はい、はっぴいえんどの逆襲、っていう意味合いがありますよね。10年前に全く売れなかったのが、ここに来て復讐してる、っていうね。じゃあ私は。好きな曲もあるんですけど、やっぱり『裸足の季節』聞いときたいなあ、と思って。
ミ)そうですね。
スー)さっきから言ってた、「野太い」とか「辛口」って言うのは、『青い珊瑚礁』もそうなんですけど、『青い珊瑚礁』はちょっと可愛い歌い方、テクニックを駆使してる所があるんですよね。本の中にもありますけど。『裸足の季節』こそ、ホントに裸足の声、って言いましょうか。野太い。サビの所コード進行がこんな感じですが。(☆キーボードと歌で)♪エクボの~ひ~み~つあげた~い~の~。固定ドで行くと、♪ソラシシ~エクボの~これねえ、女性のキーでもかなり高いです。今から聞きますのは1980年4月1日発売のデビュー曲。『裸足の季節』ネーミングby若松さんなんですけど。♪エクボの~ってフレーズが、全然高く、キンキン聞こえないんですよ。
ミ)あーそうだ。
スー)恐らく、下の倍音の成分があるからか、ホントにもう朗々と堂々と響き渡るソラシシがあって、このエクボっていうのは日本の音楽シーンを変えたエクボかなと思っています。サビに注目して聞いて下さい。
♪松田聖子『裸足の季節』
スー)若松さんホントに貴重なお話ありがとうございました。また機会があれば、音粋ヒストリアやってみたいと思います。次回なんですけど、若松さんがテープを聞いた頃ですね、1978年特集。ある意味ではいろんなモノが始まった年、ある意味では非常にきらびやかで豪華な成熟した音楽があふれた年という事でございまして、私大好きですね。‘78年。
ミ)放送中のTweet村ちゃんさん《あー僕も今1978年にタイムスリップしてる。あの時の空気匂いと》。来週はタイムスリップします。
スー)タイムスリップしちゃいましょう。 【終了】
★松田聖子の声の「辛口さ」に衝撃を受け、制作プロジェクトに数々の才能あるミュージシャンを招き、松田聖子をトップへと導く。歌手松田聖子と楽曲のイメージを明確に捉え、作詞作曲編曲メンバーに、その意見を忌憚なく伝える。メガヒットが作られて行く様子が目の前に広がって行った。そしてこういう力量と器を持つプロデューサーが、今の音楽界にはいない事が見えて来る、歴史音楽探訪でもあった。
☆来週(9/5)《1978年特集》
☆サイン入りステッカー⇒謎かけ大賞:のっぽさん シェア大賞:ミーチャンさん