痩せるという意味とダイエットの話

予め記載しておきますが、本稿は
「夏までに憧れの水着を着て彼氏とデートしたい」
とか
「去年買ったジーンズ入らなくなっちゃったからワンサイズ落としたい」
とか
「腹筋を鍛えて痩せマッチョになる」
みたいな話は取り扱いません。そういうのしたい人はジムへ行け。

 じゃあどういう人向けなのか。
「健康診断で注意マークが出た」
「ドカ食い気絶部退部したい」
「歳を取って代謝が落ちてきたけどどうしたらいいかわからん」
という、割と健康に差し迫った方向けのお話。

 美ボディとかそういうのは知らん。

 そもそも生物にとって痩せるとはどういうことなのか。
 まずはそこを理解しておく必要がある。

 基本的に生物というのは肥え太ることに抵抗を感じない。
 何故ならこの現代においても先進国の一部を除いては、飢えと渇きが生命危機のトップランカーをひた走っているからだ。

 動物園の飼育動物は寿命が野生に比べて2~3倍長くなることがあるらしい。水槽飼育でも環境がマッチすれば本来一年未満で死んでしまう魚が数年生きながらえる事例もある。
 理由は外的要因の少なさや心身のストレス、病害虫への対応が早いなど様々だが、その中の一つに飢えたり乾いたりすることが少ないというのがある。
 そのぐらい、食糧というのは生命にとって大切であり、それを制限して脂肪という貯蓄を捨てることはDNA的には緩やかな自死を選択していると錯覚しかねない。
 これがダイエットが失敗しやすい一番の要因なのだろうと考えた。

 何故そんな結論に至るのか。
 人間は食事を制限してダイエットをしようとすると、脂肪と共に筋肉を消費し始める。
 筋肉というのは基本的に一部だけ動かすということができないので、負荷を考えなければ筋繊維は一束を1単位として0か1でしか動かない。
 つまり省エネモードに入りたいなら筋肉を削るしかない。
 マッチョな方々はこの省エネに対抗すべく、筋肉に負荷をかけて筋繊維の断裂と修復を繰り返し、痩せる以上に筋肉を作らないとやばいという指令を体中に出し続けることで、あの体形を維持するわけ。

 ほならば一般人も同じことをすればええんやね

 結論から言うとそれは間違い。

 基礎的なトレーニングを続けている人というのは筋肉以上に骨格と腱が鍛えられている。これらは一朝一夕で手に入るものではなく、筋肉のように負荷と回復を繰り返してやっと得られるもの。

 医者から「運動しろデブ」と言われて急に朝のランニングを始める人が居るが、普段動いてなかったデブが突然そんなことをしても筋肉痛と疲労感のやばさで三日も続かないのは明白。
 ソースは俺。

 じゃあデブは一生デブのままなのか。
 それをどうにかして、少なくとも他人からあーだこーだ言われたときに反論できるぐらいにはなろうって言うのが本稿の目的。
 あと、長生きしてくれ。特にフリーのクリエイター諸君。
 君たちの不摂生は消費者としても心配な側面があるんだ。

 ということで、まずは自分が何のデブなのか理解をする必要がある。
 お手元に最近の健康診断データがある方はそれを見ながらが良いかも。

 ここ数年検診受けてないってやつは今すぐ人間ドック日帰りコースへ行け。

①皮下脂肪デブ
 テレビタレントにもいらっしゃいますが、見た目は太ってるけど健康診断でいろいろ言われたことのないタイプがこれ。
 特に健康的に問題なければそれなりの量の皮下脂肪は大事なので無理はしなくてもOK。
 移動や運動に支障が出る様なら少し気を付ける。

②内臓脂肪デブ
 肝機能低下とかコレステロール異常、高脂血症に関わる数字が怪しい人はこっち。
 お肉や揚げ物が好きとか、酒をよく飲む人もこのタイプが多い。放置すると肝硬変とかになるので注意。

③糖質デブ
 血糖値(HbA1c)が高い、飯食った後すぐ眠くなる、夕食後すぐ寝ている、甘いもの(特に洋菓子)が好きな人はこのタイプ。意外と見た目が痩せてる人もこっちが怪しい人はいる。
 インスリン抵抗性という「太りやすく痩せにくい体質」の原因を作るのがこっちのタイプのデブなので、怪しいと思った人はなるべく早く対策を。

 もちろんこれらにはそれぞれの複合タイプもあるし、御三家勢ぞろいといった救いようのないデブも居る。俺もそう。
 基本的には医者に掛かってまずは処方されるレベルなのかを確認し、その上で体質改善を促されると思うので、そこからの話が重要になってくる。

そう、医者はそこまでのメソッドは与えてくれないことが多いのだ。

 まず、脂肪系デブの場合。
 これは実はかなりつらい。というのも油分というのは調味料でもあり、旨味の一つでもあるからだ。
 加えて油というものは代替が効かない。オリーブオイルもアマニ油も魚油も基本的には油であり行きつく先は脂だったりするのだ。
 このタイプのデブを患っている場合は、調理法を変えるのが一番の近道になる。焼く、炒めるを蒸すに切り替えたり、ドレッシングをノンオイル系に切り替えることで多少は油分を減らせる。他に鳥皮は食べない、豚バラをロースに変える、揚げ物は控え、フライものと天ぷらなど、衣に油を含む料理を我慢するしかない。
 ただ、これを過剰にやりすぎると関節を傷めたり肌質の劣化に繋がったりする。段階的な変化を踏みながら、自分の中のベストを模索するしかない。

 対して糖質デブの場合。
 まずとにかく甘いもの、特に甘い飲み物とエナジードリンクを全面禁止にする。特にドカ食い気絶部は今すぐそのエナドリを投げ捨てろ。
 次いでよく言われるのが白いものを避けること。白いものとは
「精白された砂糖」「小麦粉」「精白米」
の三つを指す。同様に糖質の高いものに芋類があるのだが、これに関しては節度を守れば問題ないと考えたほうが良い。正直そこまで制限を掛けると、本当に食うものがなくなる。
 ベジファーストも全面的に間違いではないが、あれを守れば痩せるというのもまた幻想なので気を付けたほうが良い。
 あくまでも「野菜を先に食べるから肉や米を減らしやすい」程度の効果とするべき。(実際に大きな効果は得られないとする論文もある)
 甘いものは少量かゼロシュガー系でごまかし、特に夜の糖質摂取量を抑えることで健診結果は飛躍的に改善されるはずなのでしばらく頑張るべし。

 そして両デブに共通する運動の話だが、まずはストレッチとラジオ体操からをお勧めしたい。特にラジオ体操はだらだらやるのではなく、指先まで整える、勢いで動くのではなく、骨から動かすことを意識することで効果が高まる。
 キレッキレのダンスというのは指の先までビッと決まっているものだが、あの意識をラジオ体操でも保つようにすると全身運動としての効果が高まるのでお勧めしたい。

 ある程度動けるようになり、ラジオ体操でも疲れを感じなくなったら散歩やサイクリングにシフトする。ジョギングやマラソンなどは膝と足のばねを使うので、デブの体にはリスクの方が大きい。散歩も時間を決めて歩くというより、大きめのショッピングモールやデパートを物色したり、推しのグッズを探しに中野や秋葉原をうろついたりといった目的のあるウォーキングがおすすめ。
 また、自転車は普通のママチャリで構わない。ちょっと遠めのコンビニまで行くとか、読書や音楽、動画鑑賞を居心地の良い公園やカフェにするとか、そんな理由を付けて少し遠出をするといい。

 最後に、これらの行為にできれば記録が伴うのがおすすめだ。
 最近のスマホは移動距離から歩数を記録してくれたり、消費カロリーの目安を算出してくれたりする。アプリを使えば食事の記録も、その時食べた栄養素の一覧も簡単にだが確認することができるようなものもある。
 記録をすると普段の食事の傾向が見え、それに対する対応策も考えやすくなる。
 また、時々ハメを外してドカッと食べるのも悪くないが、その帳尻を合わせるのにも記録行為というのは良い指針になるはずだ。
 

 で、お前は結果出てんのかって話だけど。
 一応この半年で9kg痩せて血液検査の結果もかなり良好に。
 あと10kgは最低でも落としたいけど、現在は過度な制限を止めて緩やかに痩せ続けるラインを模索中。
 なのでそれなりの効果は期待しても良いと思う。とだけ最後に記しておく。

いいなと思ったら応援しよう!