アイドルというお仕事と、卒業のはなし
現実のアイドルではなく、Vtuberのおはなし。
先日、湊あくあさんが卒業の意向を発表し、ラストライブまでもうあまり日数も残されておりません。
僕もだいぶホロライブにはまっている人間だし、何なら割と救われたところもあったので衝撃でした。
ここからは本当に個人的なお話として聞いてください。
決して活動に文句があるとか、業界に物申すとか、推し方にアレコレ言いたいとかそういうことではありません。
ぶっちゃけ、ホロライブって異色なんですよ。
ネット業界、特に流行り廃りの激しい芸事のお仕事って、ものすごい勢いで回転していくんです。
現実のアイドル業なんか最たる例で、毎年卒業と入隊が発表されるようなグループがあったり、数字保つために大変だなあと思ったりなど、ブランディング込みでの戦略のために恐ろしい勢いで人間を回していたりします。
ぶっちゃけ、17でデビューしても6年やったら23です。アイドルとして売り込むには無理がある数字に差し掛かるなとか考えて当たり前です。
ましてステージで歌って踊ってのハードスケジュールともなれば、ある程度のところで「これ以上はつらい」という判断が出るのは人として自然なところです。
でもどうせVなんだから顔見えないしいけるんじゃね?
なんて考えてる人も居ると思いますが、そこがホロライブの異色性なんです。
例えばバラエティ路線であれば多少声色が変わろうと、若干活動内容が変化しようと、続けようと思えば続けられるんです。ステージでのダンスを控え、歌方面やネタを磨いてファンサを続ける方向性を開拓するのは、永遠に踊り続けるよりは現実味があると言えるでしょう。
ところが、ホロライブは割とアイドル事務所を公言しています。アイドルである以上、それなりには歌って踊ってを続けないといけないわけです。
そう考えると、5年以上活動を続けてるメンバーが非常に多く、スタート時期から変わらずアイドルをしているって、なかなか居ないんですよ。
また、三期生が対談で「まーホロライブあともって2年かなーとかよく話してたよねー」なんて言ってましたが、あれもギャグではなく本当に思っていたんだろうと思います。
はるか昔に「バーチャルさんは見ている」という地上波の放送がありました。今も活動されているヒメヒナさんや電脳少女シロさんなど、当時活動していたVtuber がいろんな垣根を越えて集まっていた番組です。そこにはホロライブのときのそらさんも居ました。
しかし、爪痕を残せたかというと…という感じ。
まあ、あのカオスの中で真人間だったそらちゃんが目立つのは難しかったのではとも思いますが、ホロライブの扱いが軽かったのは否めません。
そういう過去も相まって「もって2年」というのは割と現実を見据えた数字だったのかなと。
もちろん、今は流石にそんなことを言える状態ではありません。
何しろ27億のスタジオ作っちゃいましたしね。
箱の外に目を向けてホロ以外のVtuberはどうなのかって言うと、本当に毎日のように誰かがデビューして、その裏でひっそりと誰かが辞めていたり休止してたりというのが当たり前のように起こっている状態です。ニュースになったり卒業発表をするなんてのは本当に業界の一握りの更にひとつまみの部分で、その裏では星の数ほどの進退が溢れているわけで、長期にわたって応援できるというのはファンとして僥倖なのだと思うことしきりです。
そもそも、5年も6年も同じ会社で同じ仕事してる人って今の時代それほど多くないんです。
そんな中で、しかもアイドル業で、流行の回転が速いネットベースで、数えるほどしか卒業者が居ないことことがどれほど珍しいか。
これが良いことなのか悪いことなのかはわかりません。
タレントは幸せそうですし、ファンとしてもうれしい限りではありますし、会社も成長を続けていて今後の展望も明るいので悪いことなどなさそうではありますが、物事の良し悪しとはすべての風呂敷が畳まれて初めて決まる側面もありますので、ここではそこに言及しません。
ただ、何年も仕事をしてきて、そこがたとえどんなに良い会社であったとしても、誰も辞めたがらない素敵な職場だとしても、「私のやりたいことは別にある」という判断のもと、仕事を離れる人は必ず居るわけで、そんな人の裾を掴んでしがみつくのは、双方にとって幸せではないのかなとも思うのです。
正直なことを言えば、まだ会長の卒業は衝撃の一つとして残ってますし、今回もきちんと見送れるのかと言われると難しかったりはしますが、それでも個人の決断を称賛して送り出すことは、ファンにできる最後の推し活なのかなと。
そう思う次第です。