【エロースとプシュケー】逆境を乗り越えた愛の神と人間の純愛物語
今回はギリシャ神話シリーズです!
ギリシャ神話にはゼウスやポセイドンの色話や女神たちの嫉妬など愛憎のエピソードが目立って、
あまり綺麗な愛のお話は知られていないかも知れません。
今回はご紹介するのは、
愛を掌る神、エロースのと人間のプシュケーの純愛物語。
そこには、恋愛、妬み、嫉み、裏切り、哀しみ、試練、情け、など人生の全てが詰まっていました。
私はギリシャ神話の中でもこのお話が一番好きで、
心震えて涙が出ます。笑
長文になりそうですが、世界の美しい絵画とともにじっくりとお楽しみください。
エロースはローマ神話でいうクピドで、
天使の「キューピット」の事です。
背中に翼を生やした美しい顔立ちの青年で、
弓矢を持ち、その矢で抜かれたものは始めに見た者に恋に焦がれて仕方なくなってしまいます。
ある国の王様には、美しい3人の姉妹がいました。
特に末っ子のプシュケーは言葉に表せないほどに美しいと評判でした。
その噂は天界にも届き、
美の女神アプロディーテーはその事に嫉妬して、
息子のエロースに
「あの娘を醜い男と結ばれるようにしてこい」
と命じます。
アプロディーテーは『パリスの審判』で
ゼウスに一番美しいと認められ、讃えられていたため、
プシュケーに自分よりも脚光が浴びている事が許せませんでした。
母アプロディーテーに命令されたエロースは仕方なくプシュケーの元へ向かいます。
が、しかし、あまりのプシュケーの美しさに動揺してしまい、手にしていた恋の矢が自分に刺さってしまいました。
途端にエロースは自分の矢によってプシュケーに恋に落ちてしまいます。
しかし、神と人間の結婚は認められていない為、エロースは苦しみます。
そこでエロースはアポローンに王様へ神託を授けるように頼みます。
「プシュケーを山へ生贄として捧げよ」
神託は絶対なため、王は泣く泣くプシュケーを山へ連れて行き、生贄としました。
一人残され、生贄となったプシュケーは悲しみに暮れていると、
西風の神、ゼフィロスが崖から吹いてプシュケーのを持ち上げ美しい森の中へと誘いました。
その森にはこの世のものとは思えないような立派な宮殿と澄んだ泉がありました。
宮殿に入ると姿は見えない声だけの主が話しかけてきました。
「ここにあるものは全てあなたの物です。お好きにご自由にお過ごしください。」
「今日から私はあなたの夫です。しかし、絶対に私の姿を見てはいけません。」
こうしてプシュケーは姿の見えない声の主と結婚する事になりました。
それからの生活は、豪華な食事をお腹いっぱいに食べ、
澄んだ泉で湯浴みをし、綺麗な宮殿で心地よく過ごしました。
その生活はとても豊かで満ち足りた、
贅沢な暮らしでした。
姿の見えない夫は
夜、蝋燭の灯りを消すとそばに来て、
プシュケーに優しく語りかけ
二人寄り添って幸せに眠りにつくのでした。
プシュケーは夫との約束を守り、
宮殿で幸せに暮らしていましたが、だんだんと家族が恋しくなりはじめます。
夫は渋りましたが強くお願いして、姉の2人を宮殿に招くことになりました。
プシューケーの豪華絢爛か暮らしぶりに嫉妬した姉達は、
「 姿を見せないなんて変だ!
夫の本性は恐ろしい大蛇で太らせてから
食らうつもりよ! 」
夫が寝ている隙に殺すべきであるとけしかけました。
それを信じたプシュケーは
自分が食べられてしまう前に夫を殺そうと決意します。
ある日の夜、夫が寝ている間に蝋燭を灯して、
その姿を見てしまいました。
そこには大蛇ではなく、
翼の生えたとても美しい青年が眠っていました。
あまりの美しさに見惚れてしまったプシュケーは、
手にしていた蝋燭を思わず落としてしまい、
エロースの翼に火傷を負わせてしまいました。
妻に約束を破られ、裏切られ、負傷までもしたエロースは
「 愛は疑いと一緒にはいられない 」
そう言って、夜空へ翼を広げ天界に飛び去ってしまいました。
悲しみに暮れたプシュケーは、エロースを探し彷徨いますが、
天界に昇ってしまった彼を見つけられるはずもありませんでした。
姉達に陥れられたとようやく気づいたプシューケーは姉達の元へ行き、
「今度はエロースは姉達と結婚するつもりだそうです。」
と嘘を教えました。
それに喜んだ姉達はゼピュロスが宮殿へ運んでくれると思い、
断崖から身を躍らせましたが、
風は運ばず、
姉達はそのまま墜落してばらばらに砕けてしまいました。
一方、母アプロディーテーは息子が火傷を負わされ殺害されかけたと聞いて激怒していました。
「皆の者、プシュケーを捕らえた者には私の口づけを褒美にやろう」
と、自分の口づけを懸賞をかけ、プシューケーを捕らえようとしました。
アプロディーテーの怒りを買ってしまい、
恐れたプシュケーは同じくオリュンポス12神の
デーメーテール(豊穣の神)
に助けを求めますが、
「アプロディーテーを敵に回したくない」
と拒否されてしまいます。
行き場をなくしたプシュケーは
アプロディーテーの神殿へ自ら謝罪に出向きました。
アプロディーテーはプシューケーを捕らえ折檻しました。
それでもプシュケーはひたすら謝罪を続けながら
「もう一度だけエロースに会わせてください。」
と懇願しました。
「 不誠実な女め。そんなに私の許しが欲しいのなら、私の言う事をやってのけてみろ。」
そうして、アプロディーテーはプシュケーへ
13の無理難題を課しました。
次回、
プシュケーの13の試練からラストまで
また美しい世界の絵画を添えて届けします。
お楽しみに(^^)
ではまた!