子供時代【14】父はなぜ子供たちを助けなかったのか
普通の方なら、このように思うのではないでしょうか。
「お父さんはなぜ、あなたたちを助けないの?」
「親なら子供を全力で守るものでしょう?」
そう、普通なら、そうなのです。
でも私の父は、普通ではなかったということです。
虐待が起こる家庭の両親は、どちらかが子供を虐待し、もう片方は見て見ぬフリをする、止めようとしない。
どちらも頭がおかしいのです。
なぜ止めないのかというと、
「人の痛みがわからないから」
父は、毎日毎日、殴られる私たちの痛みが想像できない人だったのでしょう。
殴られたとしても、子供には母親がいたほうがいいのだと、勝手に決めつけていたのかもしれません。
そして、
「自分が可愛いから」
父は、外面が良く、見栄っ張りで、プライドが高い人でした。
だから2度目の離婚をしたくなかった、と思います。
世間体が悪いからです。
自分の子供たちが殴られて、傷ついて辛い思いをしたとしても、それよりも父は世間体が大事なのです。
父に聞いたことはないけれど、父を見てきた、娘の私がそう思ったのだから、間違ってないと思います。
そして、面倒なことや、嫌なことから逃げてしまう、「逃げ癖がある人」でした。
思い返してみても、嫌なことや面倒なことから、とことん逃げてきた人なのです。
そして、その事に自分で気がついていません。
逃げたところで、とくに問題なく生きて来られたからなのでしょう。
(とはいえ、今は問題から逃げ続けてきたツケが回ってきて、様々な事で困窮していますが)
そして「俺はいつも、あんたたちと母さん(義母)との板挟みだった」と言うのです。
まるで自分がもっとも被害者で、苦労したかのように言います。
父は、自分の弱さ甘さ、欠点とも向き合えない、それらを見たくない人間なのです。
70歳を過ぎた今でも、弱くてずるいままの人間なのです。
どちらかというと父親の人生は、うまくいっていないほうですが、逃げ癖があり、自分の弱さと向き合えない人は、いつまで経っても人生がうまくいかないものだと思います。
話が逸れてしまいましたが、
あの頃、私たちが虐待を受けているという問題を、解決できるのは唯一、父だけでした。
しかしそれを継母に言えば、離婚されるかもしれない。
継母と離婚してでも、私たちを守ろうという意思はない。
むしろ、子供たちのために母親が必要だから、離婚はしないほうが良いと、正当化していたのかもしれません。
そうやって逃げて、自分を守ることばかり考えていたのだと思います。
大人になった今、自分の父親の、あまりのクズぶりには残念な思いでいっぱいです。
*次の記事は
「慣れてしまう」
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