子供時代【10】なぜそこまで憎まれるのか
ある日の夕食の時のことです。
私は女の子だからという理由で、家事手伝いをやらされていました。
継母の食事作りの手伝い、食後の洗い物は、私の仕事でした。
器に料理を盛り付けるとき、味噌汁が入った鍋が置いてあったので、それを温め、家族分を盛り付けようとしました。
継母は、
「あんたとお兄ちゃんの分だけでいいよ」
というので、その通りにしました。
そして食事が始まり、味噌汁を一口、飲んでみたら、とても酸っぱくてあきらかに腐っていたのです。
「お母さんこれ、変な味がするよ」
そういうと、継母が、
「私は、今日は味噌汁は作ってないよ。それはきのうの味噌汁だよ。鍋を洗い忘れた奴が悪い」
と、私を睨みつけながら、口元は笑っていました。
そのときの、気持ち悪い表情は、今でも忘れられません。
人は、あんなにも醜くて、気持ち悪い顔ができるんだ、って、思いました。
きのう作った、腐った味噌汁とわかっていながら、私たちに食べさせるなんて。
たしかに私が鍋を洗い忘れたから、100歩ゆずって、私はそれをやられても仕方ない。
でも、兄は、関係ないでしょう?
なんて意地悪な人なんだろう。
なんで私たちは、こんなにも憎まれて、嫌われなければいけないのだろう・・・。
あまりのショックで、父に目を向けて、目線で助けを求めました。
父はテレビをじっとみて、こちらを見ようともしません。
でも、継母と私の会話が、聞こえてないはずがないのです。
お父さん、何で、何も言ってくれないの?
見て見ぬフリをする父を見て、そちらのほうが、私にはショックが大きかったかもしれません。
それでも私は父のことが好きで、守りたかったのです。
*次の記事は
「虐待はエスカレートする」
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