抗がん剤治療したくないと言われた
去年の12月。
母の胸に、石のようなかたいしこりが見つかった。
病院にいくと乳がんのステージ2〜3ということで
お正月に手術することになった。
大好きな母の身体が痛んでいくのが悲しくて
母が入院した日から、私の目にはオートマティカルに涙があふれた。
手術が終わったあと、布団をかけてもかけても「さむい」という母。
全身麻酔の影響で体温がとても低くなるので、電気毛布にくるまれても本人はさむくて仕方がないようだった。
「布団はかかってるよ」といっても伝わらなそうだったからかかったままの布団をぽんぽんと叩いて「今かけてるよ」と伝えた。
真っ赤に泣きはらした目で布団をかける私に主治医の先生が「すぐ死ぬとかないから」と微笑んだ。
好きでたまらない父と母が、いつかは死ぬという事実を受け入れる準備にも思える。
いろいろあって手術を2回受けた母は、すっかり弱ってしまったらしく
さっき父から母が「抗がん剤治療は受けたくない」と言ってると聞いた。
「これ以上身体を痛めつけたくない」と。
ネットで見た食事療法で体温を上げてガンを克服したという治療法を受けたいそうだ。再発の可能性を大きく減らせる抗がん剤治療を捨ててまで、そっちを選ぶメリットがあるのかわからない。
明日、とおい実家に帰る。
どんなに好きでも、親でも結局他人だから、どう向き合うか考えてる。
抗がん剤は身体を痛めつけるから、これ以上苦しい目にあいたくないという母の主張を尊重してあげたいし、基本的に「本人がしたいようにすれば」という気持ちになってきた。