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【ルヴァン決勝 名古屋‐新潟】集大成

ルヴァン優勝の記録として、その2

ルヴァン優勝の余韻に"まだまだ"浸ってます(11/22執筆中、3週間後!)。もう、だいぶ時間が経って需要がないと思うのですが、遠征記に続き、もう個人的な記録としてですね、残しておこうと思います。

後々ブログを読み返す時に思い出す用にダイジェストを置いておきます。

ブログの構成としては、この対保持専用スカッドがいつから仕込まれてたのか?について、に続き、スカッドの特性を存分に活かしたハイプレスについておさらいして、最後に簡単に試合のレビューをお届けします。

いつから仕込まれていたのか?

だって、選手も頑張ったけど、コーチやハセケンも頑張ったでしょ。(優勝した時ぐらい、もっとハセケンを褒めてくれ!ハセケンを褒めるのはダサいムーブ反対ムーブ)

思えば、この対保持専用スカッドは11/2のルヴァンカップ決勝から逆算して、どこから仕込まれていたのか?そんな内容を書こうと思います。

最初に、同スタメンがお披露目されたのは、ルヴァン準々決勝の広島戦9/12が終わり、ルヴァンベスト4が横浜FM、川崎、新潟に決まった直後の9/18の29節新潟戦(だと思う)。新潟戦は、それに先立つ27節広島戦から着想を得ていると考えているのですが、その広島戦が8/17。(下のブログでも触れています。)

さらに、徳元が居なければ成立しないスカッドと言え、徳元の期限付き移籍のリリースが8/15。準決勝マリノス戦のスリーアシストで決勝進出を決めたも言える活躍を見せたので、フロントも志事したな!って感じですよね。

同じく成立しないと言えば、右CB内田と右WB野上のコンビ。私が内田CBの方がいいよっていうブログを書いたのが9/21だったので、それ以前には、内田と野上が右CBとして交互に起用されていたのだろう。(そして、何度かやらかして…)

そもそも内田はプレシーズンの岐阜戦2/10から右CBですからね。22分に野上と交代するという経験を経ているわけで。シーズン通した経験と成長の賜物ですね!

実は、この岐阜戦のスタメンに、三國と野上と和泉と徳元とを入れるとルヴァン決勝のスカッドになるので、このころからやりたいことは大きく変わっておらず、バランスをチューニングした印象をチームとしては持っているのかもしれません。

また、攻撃の生命線ともいえる和泉と森島のインサイドハーフも開幕当初から続けています。アンカー&2トップでは、やはりIHの負荷が大きすぎて、ダブルボランチ&1トップに落ち着いた感じですね。

というわけで、どこから仕込まれていたのか?と言えば、ルヴァン準決勝に残った名古屋以外の3チームが決まった時点ともいえるし、年初からの集大成ともいえる、ルヴァンカップ決勝だったと思っています。

対保持型専用スカッド

もう、いろんな所で言われていると思うので、その焼き直しというか、再編集というか、ぱくr…みたいな内容かもしれませんが、まとめてみます。

まず、チーム全体の守備意識を統一したモードとして、ローブロック、ミドルブロック、ミドルプレス、ハイプレスの4つがあるとします。

それを試合の時間帯や流れや、相手のバックパスなどによるボールの位置によって変えるわけです。そのなかで、2つのブロック守備は名古屋は伝統の堅守と言われるやつで、今でも得意な方なんだと思います。(はい、そこ!劣化してるとか言わない!)

一方、裏抜けとセットプレーが2大攻撃ルートで、ボール奪取位置がブロック守備で低くなると、2大ルートが使いにくくなります。しかし、永井、キャスパー、中山、山中などの理不尽でなんとかできるのが、良いときの名古屋でした。

絶妙なバランスの追求

ただ、この攻守のバランスは持続的ではないよね、ということで、ミドルプレス、ハイプレスの比率を増やし、ショートカウンターのためのボール奪取位置やセットプレーのための被ファール位置を上げることで全体バランスを整えようとしたのが、対保持専用スカッドでした。

プレスの連動を作るため、一人もさぼることができないのは当然のこと。マンツーマンで後ろの方でリスクを取る分、後ろが過剰なリスクにさらされないように、前の3人は中央を締めながら、3人共にプレスのスイッチになれる和泉、永井、森島が選ばれています。

このスカッドを実現するために、永井がベストコンディションであったのは福音でした。パトリック、ユンカー、山岸とともにコンディションが揃わない中、エースを通年で分業している中で、「MVPは俺だろ」と自認するのにふさわしいパフォーマンスでした。

IHの森島と和泉は攻撃面では間で受けるウマさを活かし、左右前後両側で出口を作れるという意味で、二人揃った時は安定感が増しました。

和泉と稲垣で相手のダブルボランチをマークする関係で、森島の高さを維持できるという効果も。(代表で鎌田が列を上下して仕事ができると話題ですが、森島もなかなかですよね!)

WBの連動

前3枚のプレスに続きサイドにボールが出たところで、野上と徳元の両WBが相手のWBやSBに連動してプレスを掛けます。最初から前にいると一気に裏に通されるため、相手SBとWGの間でぼかした立ち位置をとり、ボールがSBに出ると、かなり長い距離のスプリントを求められるという大変なポジションです。(お疲れ様です

そして、ハイプレス回避の対策をされても、なんとか形にできるWBが、野上と徳元しかいない…課題。基本的な対人守備が強く、共にクレバーな選手です。

徳元は、セットプレーのキッカーとして欠かせない選手となりましたし、大外からでも精度の高いクロスが武器になりました。内に絞ったボランチの守備サポートも気が利いてます。

野上は、可変442の際にSHの位置に上がり、高さを生かしてロングボールの受け手にもなれますし、左からのクロスに対し大外でヘディングで飛び込めるところもGOODです。

DHの連動

以上の5枚が連動して動くとDHの稲垣・椎橋のところでかなりボールが取れるようになります。ともにプレーエリアが広く、椎橋は開幕当初よりも“健太み”が増していますw

椎橋が和泉と相手ダブルボランチを受け渡す役で、稲垣が相手のトップ下や降りてきた2トップの一角を見る役で、マンツーマンを行います。

稲垣はベストシーズンでしたね。攻撃では、課題とされていたボールさばき卒なくこなし、21年にも勝るゴール前でのフィニッシュワークに貢献していました。(決勝の2点目のヘディング位置なんて「CFかよっ!」)

椎橋は、試合を重ねるに従って健太色の強いボール奪取能力を備えつつ、長短のパスで攻撃のタクトをふってくれました。もともと、これぐらいできると思っていたので、数年間は名古屋安泰だなと。(デジっち係も)

相手は稲垣と椎橋の所で勝負したくないので、WB裏を狙いたくなります。

CBの連動

前からマンツーマンでプレスをかけているので、CBは同数を受け入れているのです。(知ってた)

相手は裏に走ることもあれば、手前に降りることもあり、WBの裏も狙います。そんな中、相手の前3枚を捕まえる機動力で、河面、三國、内田が選ばれています。

裏を返すと、攻撃面で優れるこの3人を活かすためだけではなく、CBながら重量級ではない、高身長ではない、というデメリットを補うという点から逆算しても、プレスの比率を増やす必要があったと思います。

降りる相手にはどこまででもついて行くルールなので、迎撃で当たり切れる3人が選ばれています。稲垣がカバーに入るなどの整備もしっかりしています。

内田は、GK以外ならどこでもやる和泉の系譜を受け継ぐ貴重な選手に。今年の可変442の象徴的な起用だったと思います。やはり、リンクマンとしてショートパスをつなぎながら、インナーラップしてニアゾーンに侵入できるCBという異能が魅力でした。

河面は、左利きでビルドアップができて、ある程度のスピードもあると言う、いるといないとで勝率が変わるという、補強ポイントなのですが、そんな選手そうそう居ません。賞金1.5億の使い道としては最良なのではないでしょうか?河面が2人いれば優勝してると思っているファミリーもいるので、一度検証してみては?

三國は、辛い開幕から急成長のシーズンとなりました。、前に出る、跳ね返す面でこの戦い方が"ど"ハマりしました。ゼロトップの小野をどこまでも追いかける姿が頼もしい。三國の高さ、スピード、カバーエリアがないとハイプレスは成り立たないので、どうか来年も…

GKランゲラック

対保持専用スカッドと言う文脈では、プレー内容を変えているのか素人目にはわからないランゲラックですが(生きる伝説に失礼)、最後のシュートストップに安心できるからこそ、CBがどんどん前にアタックして行けるものです。

余談ですが試合翌日、会社のサッカー経験者の上司に「ランゲラックってPKも蹴るんだ」と言われ、「そーなんすよ。実は、準々決勝でも蹴ってましてね…」と盛り上がり、改めて大会MVPと言えばやはりランゲラックなんだなと。ハセケン的にはもう少し、ビルドアップでマンツーマンで嵌められた時のプレス回避のプラスワンとして、仕込みたいのだろうと思いながらも、蹴るのか繋げるのかの判断ミスはなく、そういう勝ち点を落とさないことの大事さを来年以降感じるのかもしれないなと思うわけです。

(ハイプレス、ミドルプレス解説から選手短評みたいになっちゃった…)

ここからやっと決勝戦レビュー

名古屋がハイプレスのマンツーマンで来ることをわかっているので、当然新潟もプレス回避の対策をしてきます。お家芸とも言える精緻なショートパスを主体としたビルドアップに加え、選手間の距離を広げ、マンツーマンのほころびを狙います。

新潟のビルドアップ隊は、2CBとボランチのどちらかと左SB橋本を残し、ビルドアップ時左SBと左WGの谷口の距離を広げ野上を困らせ、谷口がかなり高い位置のサイドに張って、ロングボールの出どころになっていました。また、右WGの太田もサイドに張り、ロングボールで陣地回復を狙います。そして小野もゼロトップ的に名古屋WBの裏を狙います。

そうすることで名古屋の3バックを広げておき、中央はST長谷川とCF小野が広範囲に動き回り、間で縦パスを引き取るという形も狙います。特に、小野は三國がついてくるので引っ張り出しておいて、空いたスペースに、ボランチなりSTが入ってくるイメージを持っていたと思います。しかし、三國がかなりの勝率だったところが大きかったっすね。

ハイプレスが実った先制に続き、ボランチ間の浮き球ロングパスを起点に和泉永井ときれいな連携で追加点を奪い、これ以上ない順調な前半でした。

続く、2-0になった後半もハイプレスで入ったのは正直面くらいました。しかし、その後の新潟の猛攻を考えると、ただ耐える時間を減らすのは得策だったと思います。名古屋は少しづつ運動量が続かなくなり、ローブロックで時間を進めようみたいなモードのなか、新潟がダニーロ、星、長倉を入れ、試合の流れが変わってきます。

ダニーロの右からのドリブルで再三チャンスを作り押し込み反撃ののろしを上げると、小見、奥村を投入してさらに圧力を強めます。一方、名古屋はゲームのテンポを意図的に下げることが出来ていなかったので、交代が必要でしたが、個人的に疲れの見えた森島永井を、守備力の面でなかなか変えられないのだろうなと見てました。

後半35分、菊地と中山を投入。丁寧にボールホルダーに寄せながらローブロックで耐え、機を見て左の山岸や右の中山を使って押し返すというプラン通りの中、中山が小見をこかします。(涙

まー、落ち着く時間が無いぐらい責められっぱなしだったので、こういうこともあるよなと。あるある。

反対サイドで遠目にプレーを見ていてVAR確認中もただ祈るだけだったのですが、テレビで見ている友人から「PKっぽいなあ」とLINEが。それにひとこと「うるさい」と返し、祈り続けます。OFRの頃には「延長楽しむわ」と、また一言返信しました。強メンタル。(小見の小股トコトコPKにイラっとして、「アイシテルニイガタ」をエンドレスで聞かされるのは、さすがに不安になりましたが…)

延長になり、ユンカーと山中を投入。そして、名古屋は延長に入ってもオールコートハイプレスで入りますw体力は名古屋の方が分があるよと。そして、2度の中山の持ち上がりで、中山吹っ切れてるなーと思いながら、こぼれ球をシュートし、リフレクションもありながら気迫でゴール。ゴールセレブレーションのパフォーマンスも何もない、心から出たガッツポーズ。良かった〜〜。

オープンな展開から、裏に出る能力と全体の押し上げでは名古屋、一旦押し込んでしまえば、長倉を中心に崩しの局面の動き出しで勝る新潟という展開が続きます。

お互い交代選手に、山岸・ユンカー・山中、長倉・ダニーロ・小見とフィニッシュにつながるプレーで違いを出せる選手を残す、ビハインドを跳ね返せるスタメンで臨み、延長まで織り込み済みだったんだなと。後半、得点以外で可能性のあるフィニッシュを打てたのはユンカーだけだったと思うのですが、さすがだなと。

そして、オープンなカウンター合戦の中、長倉のセンスしか感じないスルーパスを、冷静に小見が決めて同点。2人で名古屋守備陣4人の間を斜めに通すことで、体を当てることもできない素晴らしいパスでした。仕方ない。

そして、PK戦へ

延長が始まる前に友人と以下のようなやり取りをしていました。おそらく、延長に入った時点で、名古屋サポなら誰でも口にできる予言が実際に起こるベタ展開wそしてMVP!という忘れようのない筋書き通りの展開で優勝を勝ち取りました。

後半ロスタイム中の予言

PKが苦手で有名な、山岸のイップス解消も添えて…

かくして、シーズンの集大成に相応しいフィナーレを迎えましたとさ!(レビューというより日記になっちゃった)

さいごに

J1シーズン残り2試合を残した平均ゴール数は1.14、平均被ゴール数1.22に対し、対保持型専用スカッドがお披露目された新潟戦からルヴァンを含めた10試合(延長を含めず)の平均ゴール数1.50、平均被ゴール数は1.10。皮算用的には平均得失点差0.4x38試合=年間得失点差15。シーズン通せば、優勝には足りないけどACLぐらいは狙える出力が出ていると言えます。

今のところ1人でも抜けると成り立たない、対保持専用スカッドです。山岸、菊地、重廣、小野あたりは適合する選手だと思いますが、それ以外の選手は、サブにするのか、それとも…

もちろん、今年の様に相手によってスタメンを変えて、際立った個性を組み合わせた、変幻自在の戦いをする必要も出てくると思います。また、決勝後の鹿島戦を見ても、決勝のテンションを毎試合続けるのは無理なんだと思います。

来年に向け、長いシーズンもあと2試合。少なくとも来年には、ランゲラックのいないチーム編成が必要です。また、2025のJ1は2/14開幕とオフも短いです。

残りシーズンでの変化も楽しみにしたいと思います。

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