4/19 皐月賞回顧②
今週も改めて、各馬をパトロールビデオを通して振り返った。上位陣を中心に振り返る。
エフフォーリア
改めて見ても見事の一言に尽きる。ワールドリバイバルとタイトルホルダーを見ながらの道中。レッドベルオーブの引っ掛かりによりダノンザキッド、アサマノイタズラにやや内を締められたが、武史は全く焦らず4コーナーでできた隙間をしっかりついた。抜け出すと後は引き離すだけ。全4戦中一番大きな着差をつけてのゴールイン。いわゆる「先行抜け出し横綱相撲」の王道勝利。派手さはなくとも、強さを十分に見せつける勝利だった。
馬の強さだけでなく、武史もかなり冷静に乗っていた。横山一家の人間が、クラシックで1番人気に乗る重圧を理解していないわけがないだろう。ほんの些細なミスでレースの展開に影響が出るような存在だ、ガッチガチに固まってもおかしくない。それが出なかったというのは、ひとえに武史の大きな大きな成長の証だろう。2年前のダービーでリオンリオンを暴走させた時の彼はもういない。この伸び脚なら府中でも十分通用するはず。2400の適性がどうかという焦点はあるものの、この馬に関しては東京で既に2勝を挙げており、現段階で最右翼の存在なのは間違いない。中間さえ順調に過ごしてくれれば、2冠は目の前に転がっているであろう。武史、頼むから騎乗停止になるような真似だけはしないでくれよ。
タイトルホルダー
エフフォーリアだけに注目せず、こちらにもしっかり注目しておきたい。ワールドリバイバルと共にマイペースで進みながら、向こう正面で後続3頭につつかれた。しかしその急激に上がったピッチにも動じることなく(12.1ー11.4)最後まで粘り通した。ワールドリバイバル、アサマノイタズラ、レッドベルオーブ、ダノンザキッドら先団につけた、もしくは道中で上がってきた馬達は大敗していることから、この馬のスタミナもかなりのものと見ていいだろう。同じコースを逃げ切っていた実力は確かだったというわけだ。この馬を先に行かせた武史は、前走乗っていたこの馬の強さをもしかすると一番に警戒していたのかもしれない。事実スタートしてから4コーナーまでずっと、真後ろでタイトルホルダーの出方を窺っているような恰好だった。
そして中山の田辺のうまさは今年も健在。ひとたび実力がある馬に乗ればその馬の実力を余すことなく発揮してくる。それは、皐月賞で乗った馬の殆どを人気より上位に持ってきているという数字に如実に表れており、今後も中山開催の田辺は要注意だ。
ステラヴェローチェ
自分にとって、今週の最大の致命的なミスはこの馬だ。サウジアラビア1着、朝日杯2着といった実績がありながらも共同通信杯で5着に敗れたことから、2000は無理と思い込んで切ったのが最大の痛手。ヴィクティファルス、シャフリヤールらを評価しているのだから、せめて掲示板内のこの馬を拾うという発想はなかったのだろうか。ここまで拾えていれば3連複2万もあっさり的中できていただけに、心底悔やまれる。
とまあ、馬券の話はそのくらいにして、今回後方勢からぶっこんできた唯一の馬がこの馬。4コーナーで前のルメールが外に出したのを見て進路を内へ。今回の皐月賞は3着までが軒並み内側で残っていたように、芝のベクトルが内に傾いていたのだろう。そこを読み切ったかどうかはわからないが、内を突いた隼人の判断は間違っていなかったことになる。不良のサウジや阪神の朝日杯であれだけの脚を使えていたのだから、不利のあった共同通信杯を度外視すればこのくらい走れていい馬なのは間違いない。前2走で見せていたスタートの出負けも今回はなく、スムーズな競馬の上での3着。東京の方が適応できそうなのは間違いない。ただこれは昨日も書いたが、エフフォーリアにかなうかどうか。そのあたりは中間の成長次第となるだろう。
アドマイヤハダル
先に書いておくと、掲示板勢でもっとも軽視していたのがこの馬。若葉Sを勝っただけだったし、特筆した強さも見せていない。何よりアイビーSでラーゴム、オーソクレースどころか、その後1勝クラスも勝ち切れていないスパイラルノヴァに見せ場もなく負けているのはいかがなものだろうと思って切ったが、掲示板もないと思っていた自分にとってはかなりびっくりした。これはルメールの手腕と見ていいだろう。他の騎手だとここまでの結果は残せていないように思う。中団からお手本通りの競馬で伸びてきたが、直線で若干ヨレてヨーホーレイクの進路を妨害していた点は気にかかる。まだまだ成長途上にも感じるし、ヨーホーレイクにも不利がなければ差されていたのでは。本格化は秋以降なようにも感じる。
さて、ルメールはダービーではどうするのだろう。一応松山は乗れるはずなので、このままハダルに継続騎乗になるのか、はたまた別の馬に乗り替わるか。ディープモンスターあたりに乗り替わる可能性もありそうだなぁ。
ヨーホーレイク
望来は大健闘の5着。馬自身も昨年から一線級を張ってきただけあって、簡単に根負けしない。道中は後方3、4番手を進み、直線で外に出して一気に加速するところでアドマイヤハダルの不利を若干食って狭くなる場面もあった。それでも怯むことなく追った望来も、3年目にしてかなりの強心臓を身に着けている。とてもじゃないが、もはやとっくに「アンちゃん」ではなくなっていた。そしてこの馬は最後まで脚も上がらず、並んでからの勝負根性も光るものがあった。こうなると高速決着のダービーよりむしろスタミナ勝負になる菊花賞の方が向くタイプではないだろうか。(まぁ、全兄弟のマウントシャスタの例もあるから何とも言えないのだけれども。)
ダノンザキッド
不可解。友人とも「1着か大敗か」という会話をしていたが、それにしてもこの負け方は理解不能。パドックで発汗がひどかったし、向こう正面でエキサイトしていたのが大きな原因ではあると思う。しかし、レース内容があまりにも悪すぎるだけに、この負けを「度外視」と捉えていいのだろうか。判断に困るが、「軽視」だけはしてはならない。どれだけ負けようが「G1ホース」だ。ホープフルではオーソクにもヨーホーにも勝っている。あの時の走りは昨日のエフフォーリアに似通ったものがあった。年が明けてからは不振だが、「来るわけがない」と決めつけるのだけはよくないのではないだろうか。次走も引き続き注意する必要は大だ。
特筆して取り上げてはいないが、イルーシヴパンサーもノリが新馬戦からずっと乗ってきただけあって最後は内から確実に伸びてきていたし、ラーゴムは1コーナーの不利が全てか。グラティアスは外に回ったのが痛手。ルメールのコメントを軽視せずにこれから先も注目して見ておきたい。
今週からいよいよ東京開催となる。ダービーまで、一瞬たりとも目が離せない1か月間になりそうだ。
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