4/21 オジュウの去就について(私見)
朝から大きなニュースが目に飛び込んできた。
オジュウの骨折。あの負け方は骨折による影響も少なからずあったのかもしれないが(私は流石に年かとも感じていた)まずは無事に手術を終えてほしい。しかしこれでも現役続行前提というのには少し驚いた。
ここからはあくまで、今回の去就に関して私見を述べる。
これは障害と平地の格差も大きく影響しているのではないか。現実問題、平地の方が障害より格を高くみられるのは残念ながら間違いないだろう。特にオジュウに関しては、有馬記念出走があるものの平地では3勝クラスの馬にとどまっている。
更に血統に関してだが、ステイゴールドの後継はオルフェやゴルシなど、既にその地位を盤石たるものにしている馬も多く、平地で3勝クラス程度の実績しかないオジュウは種牡馬入りしたとして、果たして交配相手が集まってくるだろうか。勿論、彼の障害競走能力を存分に受け継ぐ可能性もあるし、なによりあのステゴの血だ、突然大爆発が起きてもおかしくはないだろう。しかし、実際のところかなり厳しい現実が待っているのではないか。このことから、引退して種牡馬入りというのはあることはあるが、かなり望みは薄い。
では引退させて功労馬にしてやればいいじゃないかという声もあるだろう。これだけの馬だ。障害界に燦然と光り輝く功績を作ったのだからその道は確かにある。実際今回の件に関して、そういう声は非常に数多く上がっており、歴史的名馬なのだからこれ以上走らせず、もう功労馬にしてやれというのはファンからしてみれば当然の想いでもあると思う。
しかし、功労馬というのは思ったよりカネがかかるものだ。ウイポやらダビスタやらだと、この施設を建てるころにはプレイヤーの資金は湯水のごとく余りまくっているだろうからそんなに気にすることはないだろう(実際私も以前まではそのクチだった。)だが現実、1頭の功労馬所有でかかる費用はこんな感じ(これはリトレーニングする馬のため、実際の功労馬はもう少し違うが参考までに)
競走馬の場合、レース賞金を加えてくるためこの管理費用はそこまでかからないように感じるが、功労馬になってしまうと馬としての稼ぎはゼロに等しくなる(勿論、功労馬繋養システムなどでJRAが助成金を出してはいるが、それだけで賄えるほど簡単ではない)という問題がある。で、それをだれが負担するか?ほとんどの場合引き取り手である。勿論面倒を見てくれる馬主もいるが、引き取ったが最後、馬主は関与しないことも多い。
そしてカネが回らないと、クラウドファンディングで資金を募ったりする。昨今はウマ娘ブームだ。ホイホイ投資する人も増えてきているが、このあたりはしっかりと見極める必要がある。(私は見極められていませんでした。理由は以下に明記。)
(この方の記事を拝見させていただいて、昨日衝撃を受けた。自分が興味を持つきっかけになった人がそういうことしてたのね…はぁ…と。)
ちなみに、スーパーホーネットですら種牡馬引退後は消息不明の後処分されたのではないかという説が有力で、雪に足を滑らせて死んでしまったという説のあるトロットサンダーや、放牧地で餓死寸前になっていたこの間のレイズアスピリットの例もあるように、引き取り手の人間が酷ければ、場合によってはこのようにいくら活躍していようが最低な末路をたどることだってある。
どうだろう。簡単に功労馬にしてしまえという事もなかなか難しいのではないだろうか。
もう走らせるのはかわいそう。
もう十分。
それは私も思う。
しかし果たしてこのまま本当に引退させるのが正解だろうか。厳しいことになるが、競走馬は走ることを使命としてこの世に生まれてきた。走れなくなってしまえば、ほとんどの場合後は子孫を残すことが馬生となる。しかしオジュウにはその道は厳しい。
なら、走れる間は面倒を見てやるのも一つの馬生を辿る方法ではないだろうか。それは未勝利馬が新たな境地を求めて障害競走に活路を見出したり、地方へ転厩し実力をつけて中央へ戻ってくるのも同じことだ。そしてそれも成功できなければ、たどる道は処分か、引退馬支援を行っている(もちろん、しっかりと動いているような人や団体に限られるが)人の目に留まるかという選択肢しかないのだ。競走馬は。愛情を持って接するのはとても大事だが、結局人間によってつくられた経済動物という悲しい性もある。
要は、自分で食い扶持を稼ぐのがサラブレッドの仕事なのだ。だからこそ私は、走れるなら、陣営が走れると判断したなら現役続行でもいいのではないか、と思う。
これに関して、賛否両論あるだろう。だがこれは私の私見だ。間違っているとも思うし、正しいとも思う。この道に正解なんて恐らくない。だから、「現役続行は正しい」と言っている人も「引退させるべきだ」という人もどちらも正しく、間違っている面はあると思う。どっちも正解で、どっちも不正解なのではないだろうか。
まずは、オジュウに手術を頑張れ、と願うばかりである。