4/26 先週の重賞回顧・福島牝馬SとマイラーズC
先週はG1がお休みだったとはいえ、5月以降のG1戦線に向けて重要なレースが3つ続いた。まずは福島牝馬SとマイラーズCからパトロールビデオを見ながら振り返りたいと思う。
福島牝馬S
②ムジカが出遅れる以外は全馬好発進。④ロザムールが先手を主張するが、⑪ディアンドルが外からそのまま前へ。単騎先頭のまま道中は経過する。1番人気の⑬ドナアトラエンテは5.6番手へ。⑧シゲルピンクダイヤがそれをマークするように位置取りをとり、2,3番人気の⑯パラスアテナと⑦ミスニューヨークは後方に位置。
直線に向いても⑪ディアンドルは楽なまま。内に突っ込んだ②ムジカ、⑥フィリアプーラらの伸び脚がよく、反対に④ロザムールは後退。外から⑫サンクテュエールが伸び、200を通過したあたりでようやく⑬ドナアトラエンテが突っ込んでくるが結局⑪ディアンドルの逃げ切り勝ち。2着に⑬ドナアトラエンテ、3着は先団から脚を伸ばした⑫サンクテュエール。4,5着も先団につけていた⑥フィリアプーラ、②ムジカで、後方につけていた馬達には全く見せ場がないままに終了した重賞だった。着順およびラップタイムは以下の通り。
福島8Rでジューンロールオンが追い込んで勝っていたとはいえ、2位以下は先団の馬達が多かったように、今の新潟は馬場が荒れてきていることも相まってか上のクラスに行けば行くほど前傾の馬場コンディションなのかもしれない。事実、福島牝馬は後ろに行った馬は軒並み惨敗。
直線に向いた時点でこんな様相なのだが、ここから④ロザムールは後退。外からまくってきたカリオストロもここから伸び負け敗戦。
残り400mで隊列は変化。後ろにいる馬でここから上位争いに加わってくるのは⑬ドナアトラエンテのみ。
②ムジカにとってはここが痛すぎる。⑪ディアンドルが右鞭を打たれ、左にヨレてきたあおりで⑥フィリアプーラが内に。その走行状況をもろに喰ったことでインのスペースが塞がれ、急ブレーキをかけざるを得なかった。立て直している間に外の各馬に加速され、上位争いから脱落。外に出した⑫サンクテュエールよりも内のディアンドルが粘り通した事実があるように、内が伸びるのは確か。確実にエンジンがかかって、さあここからという時にこれは悔やまれる。秋山を責めることはできないだろう。しかしこの馬の場合、新潟よりもむしろ阪神や京都などのコース形態の方が真価を発揮できるような気がしなくもないようなレースぶりでもあった。
下位に終わった馬達の中でもったいないと感じたのは⑦ミスニューヨーク。下記の画像を見てもらえれば分かりやすいのだが、400m地点で加藤は大外を選択。
しかし最終的には内へ。この間も馬を左右に移動させすぎで、上り3Fはドナアトラエンテに次ぐコンマ1秒の33.6を叩き出しているのにも関わらず後方の入着で終えてしまったのは左右移動のブレーキの可能性も否めない。藤勘の⑨アブレイズの前方が詰まったとはいえ、少し我慢すれば進路は開けていた。結果論かも知れないが少し悔しさの残るレースとなった。
勝った⑪ディアンドルは前での競馬に地力がついた。3歳の北九州記念以降不振だったが、前走から見違えるような好走。団野含む陣営が彼女の闘争心を復活させたか。とはいえ、過大評価は避ける。今回のメンバーはハイレベルとは呼びづらく、展開と馬場に恵まれた点もあるためこの勝利でG1も!とはなりにくい。本番に連戦するとして、グランアレグリアやデゼルら、一級品のキレを持つ馬達相手に逃げきれるかどうか。
むしろ上位に食い込んできた⑬ドナアトラエンテの方はレース回顧でも触れたように、良馬場の牝馬限定戦ならやれる実力は確実に持ち合わせている。その証拠に、前残りの中ただ1頭勝ち馬を後方から追い詰めた。東京などの高速馬場の適正も十分そうで、秋の府中牝馬Sなどに出てくるようなことがあれば本命級になるだろう。ヴィクトリアマイルに連戦してくるならば、注意しておきたい1頭でもある。
マイラーズC
①ベステンダンクが好スタートから逃げに持ち込むところに、外から⑮フォックスクリークが競りかけ、そのまま縦長の展開に。⑦ボンセルヴィーソは控える。600m33.3というハイペースとなる中、800を切ったところでベステンダンクがさらにペースアップ。⑩エアロロノア、⑤ケイデンスコール、⑥アルジャンナら人気各馬は後方から前方を眺める展開で最後方に⑫ラセットと⑪ブラックムーンが位置。
このハイペースでは前は壊滅するかと思いきや、直線に向いて後退したのは前述の2頭のみで、抑えていた各馬が殺到。④カイザーミノル、⑭ザイツィンガー、⑧ダイワキャグニー、⑤ケイデンスコールの争いに、内を突いた⑯ギベオンも参戦。⑩エアロロノアは若干遅れ、先頭争い圏外に。最後に抜け出したケイデンスコールに追いすがる2着争いへ残り100mあたりで急加速した⑥アルジャンナが急追しゴールイン。古川吉洋騎手は見事に代打依頼に最高の形で応えた。
クソハイペースになった今年のマイラーズCだが、これでも桜花賞のタイムである1.31.1を上回っていないあたり、今年の桜花賞のレベルの高さが改めて窺える。ちなみに今年の桜花賞のラップタイムは以下。
最初の200m以外、11秒台を一度も下回っていないのだから相当なハイラップだろう。
勝ったケイデンスコールの覚醒っぷりも勿論だが、アルジャンナに一番驚いているかもしれない。4歳世代という事で完全軽視していたのだが、叩き2戦目で馬が変わってきたか。特に最後の急追には目を見張るものもあった。エアロロノアに寄られながらも闘争心をなくすことなく突っ込んできているのも、馬が確実に成長している証だろう。ハイペースになり得るようなレース展開が想像できるようなときにこの馬が出走してきていたら、要注意かもしれない。
同距離重賞で実績を残していたラセットは残念な結果に終わった。というか、後ろすぎやしませんかね。いくらハイペースだろうとあんなに後ろだったら無理だろう。せめてもう少し前目のポジションがとれていれば…と思わざるを得ない。
エアロロノアは、上位陣とは少し離れた5着。まだまだこれからの馬という感じも若干するし、リステッド、もしくはOP特別あたりからコツコツとやり直しといった印象だ。
しかしこのレース、勝ったケイデンスコール含めて10回やれば10回とも順位が変わりそうなレースでもある。抜けた実力の馬がいない以上、馬券検討にこのレースを使うときは着順だけにとらわれず、タイム差までチェックしたほうがよさそうだ。特筆した走りを見せているような馬もおらず、ハイレベルだったとも言い難いだけに、微妙なG2クラスではないだろうか。本番に直結するかどうかも判断が難しい。
フローラSはまた明日。本番に直結してくる重賞の為、しっかりと時間を取って振り返りたいと思う。