閏vision特番ニュースフラッシュ
本当は先に私にとっての林檎やら事変について、整理しておきたかったんだけれど、体験してしまったものは仕方ない!と思い、9月5日実施された「東京事変 閏vision特番ニュースフラッシュ」の混沌とした感想を。映画館での上映と配信と二種類あったのだが、私は映画館で鑑賞した。
東京事変をみた!と思った。2020年の元旦に再生を発表した東京事変。しかし記念すべきツアーは最初の東京二日間を除いて全て中止となってしまい、正直なところ中々再生の実感がなかった。勿論新曲がでてその都度、新曲を聴けるという事実に震えたし、MステやらFNSやら音楽番組に出演してくれて、ああ東京事変が存在している、と何度も思った。それでもこの日ほど東京事変をみたと感じた日はない。衣装、二十曲もあるセットリストとお馴染みの曲のつなぎ、バックに映る色とりどりの映像、五人の表情、どれをとっても私たちファンのために全身全霊でライブを拵えてくれたと感じ、生とはいかないけれど現時点で可能な限りで東京事変のライブを体感できたと思った。
当日、ライブビューイングというものが初めてだった私は、どんな感じなんだろうとドキドキしていた。映画館に入るとツアーTシャツや着物を着た人がいてシアターの中は黄色の手旗を持った人でいっぱいで、もうそれだけで嬉しかったしここだけじゃない他の映画館でも同じ光景が広がっていて皆が同時に観れるんだ!と思うとライブ特有のあの一体感を感じられた。内容はネタバレになるので曲名には触れないが、とにかく圧倒的すぎて私は最初から最後まで旗を振る余裕なんてなかったし、背中と胸と旗を握りしめる手が熱すぎて終わったあとは暫く動けなかった。まさしく椎名林檎のライブに初めて行った時と同じ事を繰り返したような。本当に息つく暇のない怒涛のラッシュもあったし、やっと曲間で少し時間が空いた!という時も拍手出来ない苦行のため、急な静けさの中ふーーーっと深いため息をつく事しか出来ずひたすらに90分間打ちのめされた。始まってすぐは全体的にやや固い空気で探り探りの感じがあったが、後半になると林檎さんの動きに合わせて旗を振る人も増え、その目の前に広がる旗の波に無言の盛り上がりをしっかり感じた(私はカチカチに固まっていたわけだが)。
良かったポイントなんてものを挙げ始めると、林檎さんの絶妙なタイミングでの超不敵な笑みとか、刄田さんのスティック一回転とか、これ全員立場離れないのかな?と思ったら四人揃って前にでてきたのとか、浮雲が自分のソロ中にギターフレーズを口ずさみ始めるのとか、師匠の汗とか、泣かせにかかってくる曲のアレンジとか、わっちのにやにやとか、この時期に刺さりすぎる歌詞とか、林檎さんの巻き舌とか、、と本当にキリがないのでこの辺で止めておく。終始カメラワークが最高でドラム目線であったり、楽器隊の手元をうつしてくれたりと全ての映像が、そして音のバランスが素晴らしかった。楽しくて思わず笑みがこぼれることも沢山あったし、同時に三月頃の色々なことを思い出して泣きそうになる瞬間も度々あった。映し出される空白の観客席と、歌いながらカメラではなくその空席をみつめる林檎さんの目がとても印象的で、私にはその先にファンの存在があるように思えてひどく心揺さぶられた。
ツアーが中止になり、オリンピックも延期、全ての予定が狂い一番辛く苦しい思いをしたのは他でもない東京事変のメンバー五人だっただろうと思うと、本来なら開会式があった日にこんなに完璧で最高のステージをつくってくれていたなんて、と感謝の気持ちでいっぱいになる。東京事変を好きでいて本当に良かったなあ、ありがとう。いつか、東京事変が実際にファンの前でライブが出来る、この目で五人の姿を見てめいっぱいの拍手を送ることが出来る、そんな日がくることを心から願っている。
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