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イノベーションのジレンマ

 ボルドリッジが最終的に目指すのは、イノベーションを生み出す組織です。もちろんイノベーションは目的ではありません。イノベーションにより、顧客や社会、すべての利害関係者に新しい価値を提供することです。
 イノベーションは重要な概念であり、DXセミナーの準備として、ボルドリッジに拘らずイノベーションについて確認しています。

 先に「イノベーションのDNA」を確認しましたが、それに先立つ「イノベーションのジレンマ」を後追いで見てみます。

 「日本のイノベーションのジレンマ」に、「イノベーションのジレンマ」の冒頭、「日本語版刊行に寄せて」においてクリステンセン教授が、「本書の理論から考えて、現在のシステムが続くなら、日本経済が勢いを取り戻すことは二度とないかもしれない」という恐ろしい予言をしているとの記述があり、気になったのでまずそれを確認することにしました。

 「日本のイノベーションのジレンマ」では、その直前に「優れた経営者
は、市場の中でも高品質、高収益率の分野へ会社を導くことができる。しかし、会社を下位市場へ導くことはできない。日本の大企業は、世界中の大企業と同様、市場の最上層まで登りつめて行き場をなくしている」とのクリステンセン教授の分析を示しており、それとの結びつきで上記予言に至ったようにも読めます。
 けれどクリステンセン教授の分析では「世界中の大企業と同様」とあるので、これが氏の予言の根拠ということでないことがわかります。日本固有の問題ではないからです。

 では、何か。「イノベーションのジレンマ」の「日本語版刊行に寄せて」を読み直すことで、それが理解できました。
 「個々の企業が市場の最上層で行き場をなくし、やがて衰退するとしても、それに代わる新しい企業が現れるため、米国経済は力強さを保っている。これは日本では起こり得ない。」
 すなわち、大企業の問題ではなく、それにとって代わる新興企業の出現が日本では活発でないことが、クリステンセン教授の「恐ろしい予言」の根拠でした。
 その背景には、終身雇用を基本とした雇用慣行、投資より融資が中心の金融市場の仕組みなど日本特有のシステムがあるとしています。

 納得したところで、中身に入っていきます。

 つづきは別の記事で。

★★

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、 ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー(Baldrige Excellence Builder)は日本語で読むことができます。
 「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトから無償でダウンロードできます。

 

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