高いパフォーマンスの組織
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、組織のパフォーマンスを向上するための最も重要な質問集です。質問に答えることで自ら気づき、改善を繰り返していくことで、現在と未来の成功を確実なものにしていきます。
5.2 働き手のエンゲージメントでは、すべての働き手が効果的かつ最高の能力で貢献することを可能にし、それを促すために、働き手のパフォーマンスを管理し、すべての働き手メンバーの能力を開発するための仕組みについて尋ねます。
パフォーマンス管理の仕組みを見てきました。その中で、パフォーマンスは一般的に使われる言葉だが幅広い意味を持つので、ボルドリッジでは主要用語集で定義してパフォーマンスという用語を使っていることを紹介しました。
高いパフォーマンスについても、同様に、用語集に定義されています。
高いパフォーマンス(High Performance)
品質、生産性、イノベーション率、サイクルタイムなど、組織全体および個人のパフォーマンスがこれまでになく高いレベルにあること。
(Baldrige Key Terms より。翻訳筆者)
高いパフォーマンスにより、顧客やその他の利害関係者にとってのサービスと価値の向上を実現することができます。
高いパフォーマンスを生み出すアプローチは、その形態、機能、動機づけの仕組みによって異なります。
高いパフォーマンスは、働き手エンゲージメントによって生じ、また、働き手エンゲージメントを強化します。
高いパフォーマンスへのアプローチには、
・経営陣と労働組合を含む働き手との協力
・チーム活動を含めた業務単位間の協力
・個々人に結果に対する責任を持たせることを含む働き手への権限移譲
・計画立案への働き手の参画
などがあります。
それにはまた、
・個人および組織のスキルの学習と形成
・他の組織からの学習
・柔軟性を持ったジョブ設計と業務アサインの作成
・意思決定が分散化され、意思決定が最前線に最も近い、フラットな組織構造の維持
・他との比較を含むパフォーマンスの評価尺度の効果的な使用
などがあります。
多くの組織は、組織のパフォーマンス、チームや個人の貢献、スキル形成などの要因に基づいて、金銭的あるいは非金銭的な動機付けを用いて、高いパフォーマンスを奨励しています。
パフォーマンス開発
今日の組織には、多面的な才能を持ち、自身の仕事のスキルを継続的にステップアップできる従業員が必要です。高パフォーマンスの組織は、キャリア関連の学習と能力開発に対する従業員の期待の高まりに応えることで、このニーズに対応しています。
パフォーマンス開発では、従業員は社内外の学習を通じて個人の成長と組織における成長を追求します。この学習には、
・仕事の割り当て
・学習機会の提供
・個人学習
などがあり、いずれも組織的および個人としてのパフォーマンスの次のレベルに到達することを狙っています。
パフォーマンス開発のニーズ
組織の業務特性、働き手の責任(言い換えれば、権限移譲の程度)、組織と個人の能力開発の段階によって、パフォーマンス開発のニーズは大きく異なります。
これらのニーズには、
・知識の共有やコミュニケーション、チームとしての仕事の仕方、および問題解決のためのスキルの習得
・データの解釈と活用
・顧客の要求を超えること
・プロセスを分析し簡素化すること
・無駄の削減およびサイクルタイムの短縮
・ボランティアとともに働き彼らを動機づけすること
・戦略的な一貫性あるいは費用対効果分析に基づいて優先順位を設定すること
などが含まれます。
教育のニーズには、
・新しい技術における先進的なスキル
・読み書き、言語、算術、コンピュータスキルなどの基本的なスキル
も含まれます。
★★
本記事は、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク(Baldrige Excellence Framework 2021-2022 からの引用です。翻訳筆者。
ボリドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。
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