エンゲージメントと幸福の関係
働き手のエンゲージメントは、働き手の定着や高いパフォーマンスの重要な原動力として認識されてきました。
同じような働きをするものに幸福(wellbeing)があります。
幸福感の高い働き手は、創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高いという研究結果があります。また、幸福度が高い従業員は欠勤率が低く、
離職率が低いと言われています。
(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー2012年5月号「特集:幸福の戦略」より)
ボルドリッジでは、働き手エンゲージメントに焦点を当てて、組織と個人の成功を達成するために働き手のエンゲージメントを高めることを目指しています。幸福については、核となる価値観と概念の一つ「人を大切にする」の中で、働き手を大切にすることは、働き手のエンゲージメント、育成、幸福にコミットすることであると述べています。それ以外の特別の記述はありません。
最近、エンゲージメント調査などを手掛ける米国ギャラップ社から、「エンゲージメントと幸福を高める10の方法」という論説が出たので、そこからエンゲージメントと幸福の関係を、少しひも解いてみたいと思います。
ここで取り上げている幸福(WELLBEING)は、原義は「良い状態にあること」であり、幸せ、健康、福利、福祉などとも訳されます。
ボルドリッジでは、ほかにも、リーダーシップの社会貢献の中で、環境、社会、経済のWELLBEINGに貢献することを重要としていますが、こちらは「福祉」という言葉が近いように思います。
ボルドリッジに幸福(WELLBEING)の明確な定義はありませんが、ギャラップでは、「幸福の習慣」という2010年の本で幸福について次のように定義しています。
ウェル・ビーイング(=幸福・人生の満足)とは、
①仕事に情熱を持って取り組んでいる
②よい人間関係を築いている
③経済的に安定している
④心身共に健康で活き活きしている
⑤地域社会に貢献している
こうしたさまざまな要素が一体となっている状態です。
(「幸福の習慣」トム・ラス&ジム・ハーター、2011より。原著はWELLBEING, Tom Rath and Jim Harter, 2010, Gallup)
すなわち、幸福は、経済的な満足(お金)と心身の健康(健康)だけでなく、仕事、人間関係、地域社会も含めた5つの要素によって決定されるとしています。
ギャラップ社は、この5つの要素を測ることで幸福度を測定し、エンゲージメントとの関連を見つけました。
その結果わかったことは次の2点に集約されます。
・エンゲージメントと幸福はどちらが先ということでなく、非常に相互的である。すなわち、それぞれが互いの将来の状態に同様の程度に影響を与える。
・エンゲージメントと幸福の両方を高めることで、エンゲージメントだけでは到達できないレベルに働き手のパフォーマンスを引き上げることができる。
(10 Ways Leaders Can Improve Engagement and Wellbeing, DAN WITTERS,2020 より引用。翻訳・集約筆者)
ギャラップの論説では、このあとにさらにリーダーが働き手のエンゲージメントと幸福を高める10の方法を紹介していますが、こちらはまた項を改めて、紹介したいと思います。
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