アプローチが体系的であること
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークに含まれる「パフォーマンスエクセレンスに向けた審査基準」は質問集であり、その質問に答えて、その回答を評価することで、強みと改善の機会を特定します。
プロセス(カテゴリー1~6)の回答はADLIで評価します。
各段階のアプローチ(A)、展開(D)、学習(L)、統合(I)それぞれを読み比べて見ることで、それぞれのもつ意味をより深く理解することができます。
アプローチ(A)に求められていることを、この方法で理解します。
アプローチ(Approach)
組織がプロセスを実行するために使用する手法。手法そのもの加えて、アプローチは、審査項目の質問事項および組織の事業運営環境に対する手法の適切性、および、それらの手法を組織がどのように効果的に使用しているかを指します。
(ボルドリッジ主要用語集より。)
プロセスの評点の仕組みでは、「アプローチ」とは以下を指します。
・プロセス遂行に用いている手法
・ 審査項目の要求事項および組織の事業運営環境に対する手法の適切性
・組織が活用している手法の有効性
・アプローチの再現性と、信頼性の高いデータや情報に基づいているかの度合い(すなわち体系的)
評点ガイドラインから「アプローチ」に関する記述を拾ってみました。
0% or 5%
・審査項目の質問に対して体系的なアプローチが見られず、情報が逸話的なものにとどまっている。(A)
10%, 15%, 20%, or 25%
・審査項目の基本的な質問に対する体系的なアプローチの初期段階であることが明らかである。(A)
30%, 35%, 40%, or 45%
・審査項目の全般的な質問に対応した、効果的で体系的なアプローチが明らかである。(A)
50%, 55%, 60%, or 65%
・審査項目の全般的な質問に対応した、効果的で体系的なアプローチが明らかである。(A)
70%, 75%, 80%, or 85%
・審査項目の多面的な質問に対応した、効果的で体系的なアプローチが明らかである。(A)
90%, 95%, or 100%
・審査項目の多面的な質問に完全に対応した、効果的で体系的なアプローチが明らかである。(A)
(Baldrige Excellence Framework 2021-2022(冊子)より引用・抜粋)
0% or 5%段階にある「逸話的」とは、ある意味「体系的」の反対で、一回限りの事例、こんなことをしたことがある、というような個々の活動の記述で終わっている状態です。
逸話的(Anecdotal)
審査基準への回答において、特定の手法、評価尺度、展開の仕組みや、評価、改善、学習に関する要素が欠落している情報。逸話的な情報は、事例で構成されていたり、体系的なプロセスでなく個々の活動を説明したりすることがよくあります。例えば、経営幹部がパフォーマンス予測をどのように展開しているかに対する逸話的な回答では、ある経営幹部が組織のすべての施設を訪れた特定の場面を記述します。一方、体系的なプロセスを記述する際には、すべての経営幹部がすべての拠点およびすべての働き手に対してパフォーマンスの期待を定期的に伝えるために使用する方法、リーダーが方法の有効性を評価するために使用する評価尺度、および、手段を評価し改善するために使用するツールと技法を含めることができます。
(Baldrige Excellence Framework 2021-2022(冊子)より引用)
10%以降は、アプローチが体系的であることが求められ、その程度によって成熟度が決まります。
体系的(Systematic)
秩序正しく、繰り返し可能で、学習が可能になるようにデータと情報の使用が示されている。
手法に評価、改善、および、共有の機会が組み込まれており、その結果成熟度が高まることが可能であるならば、その手法は体系的です。
(ボルドリッジ主要用語集より。)
★★
質問が、基本的な質問、全般的な質問、多面的な質問に段階的になっていることについては、別の機会に紹介します。
ちなみに、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは、この基本的な質問と全般的な質問で構成されています。
「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。