結果を評価する4つの軸
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、高いパフォーマンスを実現するための「証明された」リーダーシップと経営の実践的な方法(プラクティス)を示したものです。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、「核となる価値観と概念」「質問集(MB賞審査基準、評価基準)」「評価の仕組み」の3つで構成されています。
ひきつづき「評価の仕組み」を「結果」について見ていきます。
「結果」は、組織として達成した出力(アウトプット、output)および成果(アウトカム、outcome)です。
組織の「結果」に関する質問はカテゴリーとしては1つですが、その中は5つに分かれています。
7. 結果
7.1 製品とプロセスの結果
7.2 顧客の結果
7.3 働き手の結果
7.4 リーダーシップとガバナンスの結果
7.5 財務、市場、および戦略の結果
質問に対する回答は、組織の成功に最も重要な結果について、次の4つの側面(LeTCIと覚えます)で評価します。
Le)レベル
現在のパフォーマンス。
すなわち、プロセスなどの組織活動から得られた出力および成果の水準です。これは主に数値情報です。それが良いかどうかは、次の「傾向」や「比較」がなければわかりません。まず、そうした情報が提示できていることを確認します。
T)傾向
結果は改善されていますか、同じままですか、それとも悪化していますか?
時間の経過に伴う結果の変化の方向および変化率です。
C)比較
他の組織や競合他社のパフォーマンスと比較したり、ベンチマークと比較したりしますか?
結果を、競合他社や類似組織など適切な比較対象と比較したり、業界で定められた基準や業界トップの水準と比較したりします。ベンチマークとは、組織の属する業界内に限らず、同種の活動を行う際に最良の実施方法と成果が得られるプロセスとその結果のことです。
I)統合
組織にとって重要な結果を追跡していますか?結果を意思決定に使用していますか?
示された結果が、組織が顧客や市場、製品やサービス、実行計画などに求められている要件に対応している程度です。
すなわち、結果に関する回答には、パフォーマンスのレベル、傾向、主要な評価尺度や指標との適切な比較、主要な組織的要求事項との整合性を示すデータが求められます。
このため、結果の回答は、グラフや図表などを用いて示されることが多くあります。
プロセスのADLIと結果のLeTCIはボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの評価の基本的な事項なので、度々取り上げます。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーには評点(%)はありません
でもやはり、この4つの軸(LeTCI)それぞれのの状態を評価し、成熟度の4つの段階、
場当たり的 → 初期的 → 成熟した → 模範的
のどの段階であるかを決定します。
成熟度の4段階
図はプロセスの図と同じですが、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーでは、この表の右に、「プロセス」、「結果」それぞれについての状態の説明があります。
ちょっと慣れないと「難解」かもしれませんが、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの段階(こちらは6段階)の例も参考に示しておきます。
結果評点ガイドライン
評点(%):30%, 35%, 40%, or 45% (筆者注:6段階の下から3段階目)
■審査項目の基本的要求事項に対応して良好なパフォーマンスのレベルが報告されている。(Le)
■いくつかの傾向データが報告されており、ほとんどが有益である。(T)
■比較情報の収集が初期段階であることが明らかである。(C)
■組織のミッションの遂行に重要な多くの領域で結果が示されている。(I)
(2011-2012パフォーマンスエクセレンスへ向けての審査基準書【対訳版】、日本経営品質賞委員会、2011より引用)
筆者注:0%から100%までを6段階に分けて、それぞれにこのような記述があるとうい感じです。
★★★
筆者らが翻訳した「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府機関NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。
蛇足
結果のLeTCIは、Let's see!((結果を)見てみましょう。)にかけているように思います。このため、LTCIでなく小文字のeを取り入れている。うまいですね。では、プロセスのADLIは? もし、分かる人がいましたら、教えてください。(クイズではありません。筆者も答えを知りません。)
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